江戸小咄です。
尚、
「九つ」は、深夜零時。
「ご新造(ごしんぞ)」は、若奥さん。
「癪(しゃく)」は、胸や腹のあたりに起こる激痛の総称。さしこみ。
当時は、婦人に多いとされていた。
「南無三宝(なむさんぽう)」は、「それは大変」と云う時に発する言葉。
~~~~~~~~~~~~~~~
ある医者ドノの家
九つ過ぎの寝入りばな、
トントントン、
「ハテ、誰じゃイや」
「伊勢屋からにて、至急、至急、
御新造が癪で引き付け、目をむいておりますれば」
「南無三宝」
羽織引っ掛け、
ひも結ぶもそこそこに、駈け出でて、
伊勢屋の玄関、
ズットはいれば、家内は上を下へ、
医者ドノ、
寝起きのうろたえ眼なれば、
いきなりに下女の手を取りて、脈を見る。
「アア、申し、私ではござりませぬ」
「ハテこんな時に、誰かれの差別はないてや」
~~~~~~~~~~~~~~~~
「南無(なむ)」は、
お釈迦さんの国、インドの古代語の漢字表記。
「あなたを信心しております」と云うような意味。
「三宝」は、仏、法、僧、を指す。
あわせて、
「日ごろから信心して、
仏さん拝んで、お経もあげて、坊さんも大事にしてますさかい、
どうぞ、助けておくんなはれ」
と、云う処。
尚、
「九つ」は、深夜零時。
「ご新造(ごしんぞ)」は、若奥さん。
「癪(しゃく)」は、胸や腹のあたりに起こる激痛の総称。さしこみ。
当時は、婦人に多いとされていた。
「南無三宝(なむさんぽう)」は、「それは大変」と云う時に発する言葉。
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ある医者ドノの家
九つ過ぎの寝入りばな、
トントントン、
「ハテ、誰じゃイや」
「伊勢屋からにて、至急、至急、
御新造が癪で引き付け、目をむいておりますれば」
「南無三宝」
羽織引っ掛け、
ひも結ぶもそこそこに、駈け出でて、
伊勢屋の玄関、
ズットはいれば、家内は上を下へ、
医者ドノ、
寝起きのうろたえ眼なれば、
いきなりに下女の手を取りて、脈を見る。
「アア、申し、私ではござりませぬ」
「ハテこんな時に、誰かれの差別はないてや」
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「南無(なむ)」は、
お釈迦さんの国、インドの古代語の漢字表記。
「あなたを信心しております」と云うような意味。
「三宝」は、仏、法、僧、を指す。
あわせて、
「日ごろから信心して、
仏さん拝んで、お経もあげて、坊さんも大事にしてますさかい、
どうぞ、助けておくんなはれ」
と、云う処。