羽生クンのスケートは昼見たので、
夕べは大分前に録画してあった映画「小さいおうち」を見る。
原作は中島京子による直木賞受賞作。
監督は山田洋次で、主演が松たか子、
尚、この映画に出演した黒木華はベルリン国際映画祭・銀熊賞を受賞している。
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元女中のタキが、
自身の回想録を元に、
かつて奉公していた
「赤い三角屋根の小さいおうち」に住んでいた平井家のことを顧みながら、
ある「密やかな恋愛」について回顧する物語。
1930年代から1940年代前半の、
昭和初期から次第に戦況が悪化していく中、東京の中流家庭の生活が描かれる。
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映画を見だしてすぐ気が付くのが、
この時代の空気の描き方が他の映画とちょっと違うこと。
この時代を背景にした映画と云うと、
その殆どが「軍国主義日本の暗い影に覆われた時代」として描く。
ところがこの映画では、
昭和十年ごろを、
「あのころのウキウキした気分を思い出すと楽しくなる」とか、
「南京陥落や真珠湾攻撃の勝利で国民が快哉を叫ぶ」場面が出てくる。
つまり、
戦後長らく続いて来た「反戦平和映画こそ正義」と云う趣きとはちょっと違うのだ。
映画を見ながら思った。
確かに戦後の価値観から見れば、
アメリカに戦争を仕掛けた軍国主義は愚かであり、敗戦後に振り返れば平和は貴重だ。
しかし、
その時代の渦中に生きた人々にそんな結果論のような事は分からない。
おそらくその時代にあっては、
今の私たちと同じ日常があり、その中で泣いたり笑ったりしたはず。
だから普通にこの時代を描くと、
「なんだかいつもの映画と違う」と云う感想になってしまうのだと思う。
つまり、
この映画こそが「リアルな昭和十年台代」を描いているのだろうと思う。