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小規模多機能物語20

2006年11月24日 | 日本生活介護
スウェーデン型福祉の見直し③-「普遍主義」と「自由の制限」

 それは、福祉国家自らが作り上げた豊かな層の出現もさることながら、まったくの外部から発生している。庶民階級よりもさらに貧困な層の流入、すなわち外国人移民の流入に伴う階級構造の変化であり 、そのことが、「階級を超えた連帯」の内実を問う問題として登場しているのである。事実、北欧諸国からは、流入する移民が高負担なしに高福祉を享受しているということへの不満の声が聞こえてくる。
 「スウェーデンが伝統的に同質社会であったことも、『私たち意識』の基礎をつくり出し、非常に質の高い『社会連帯』を結成することになった」(訓覇法子『スウェーデン人は今幸せか』NHKブックス621 日本放送出版協会)とされるその「同質社会」が崩れ始めているのである。
 「給付は平等で適度に限定された水準を保つ」とされた社会的な合意の存在こそが、まさに福祉の「普遍主義」が維持される根拠であったのだが、その黙示的な合意が壊れつつある。
 ところが、流入する移民に対して、移民の制限、社会への同化を条件とした受け入れなどの施策を実施することは、そのまま「普遍主義」の理念に反する「自由の制限」に他ならない。だから、こうした「自由の制限」を「普遍主義」は自らの内に位置付けることができない。なぜならば、ここで掲げられる福祉国家の理想は、一国の理想でもヨーロッパの理想でもなく、人類の理想として普遍化されたものであり、諸国民がこの理想の実現を目指して奮励努力することによってやがてはグローバルに実現されるものとみなされるものだからである。
(続く)

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