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猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

佐藤 史生 「やどり木」 「魔術師さがし」 

2007年10月19日 15時07分20秒 | マンガ家名 さ行
 「やどり木」 新書館 ペーパームーンコミックス 1988年2月10日初版 
 「魔術師さがし」 小学館 PFコミックス 2000年12月20日初版


 つるさんに佐藤 史生氏のコミックスを5冊と佐藤氏責任編集の本を1冊お借りしています。で、しばらく佐藤 (砂糖) と史生 (塩) 漬けになってます。(佐藤氏の世界で固まってます。笑)


 「やどり木」

 「やどり木」
 表題作はグレープフルーツ1987年34~37号に掲載された作品。最初からどっぷり佐藤氏の作った世界に放り投げられるので、読む方もここはどこ、何がどうなってこうなるか、を読み解くのに大変だが、作者も自分の作った世界を説明するのに大変そう。自由経済と共産主義の話も入っていたりして・・・。
 結構有名で人気のある作品らしいのですが、ちょっと消化不良のような終わり方だし、続編はあるのでしょうか ?

 「まさかのときのハーレクイン・ロマンス」
 上に比べれば、グレープフルーツ 1986年31号掲載 の本作は今の日本が舞台だし、SFじゃないし、分かりやすい。少女まんがらしい展開とも言える。

 美貌の夫 (!) を養うのに疲れた母が亡くなった後、息子の ユキオ は今後の生活の画策を父の取り巻き中年有閑金持ち婦人連に託す。銀座に画廊を開いてもらい、そこでアルバイトをしていたユキオは客の年上の女性を気に入るが・・。
 最後の1ページを使ったイラストは、これを描きたいがためにこの話を作ったんじゃないかと思う程気合が入っているし、綺麗で、そして・・・とても・・・素敵だった。

 「バナナ・トリップに最良の日」 1985年 ASUKA 9月号掲載
 これは、同じペーパームーンコミックス 「春を夢見し」 の中に入っている 「ミッドナイトフィーバー」 (1979年作品) の続編で学園物 ? 
 ここに出てくるちょっと見イケメン男の子、2見、3見すると男にも見えなくなる (!) 宝塚歌劇のような女の子をもっと見たいものです。


「魔術師さがし」

 「魔術師さがし」
 表題作は2000年5月発表と今のところ一番新しいのですが、いよいよ佐藤氏のSF世界は複雑で、ここまで来ると夜仕事から帰り、猫の介護作業も終わらせてぼーっとした頭で読むのは至難の業。
 外伝含み3回くらい読んで何とか分かったようなわかんないような。佐藤氏がコンピューターにもの凄く興味があるのは分かった。表紙見返しにパソコンの前に座った作者が、早く本当の意味での人工知能が誕生して話をしてみたいと言ってます。

 「やどり木」 もそうだったけれど、佐藤 史生の作った世界をここはどんな世界なの~と読み解いていくうちにもう物語の半分はすでに終わっている。
 
 パンタレイ島に住む偉大な魔術師がいなくなってしまった。この島はその魔術師パングロスが創造し、しかも島から出られないように しばり が架けられていると言うのに。名だたる魔術師が3人、パングロスを探しにやってくるところからお話は始まります。。。が・・・。
 
 昔々の中世の魔術師達のお話かと思っているとどうやらこの世界は今流行りの仮想世界、「セカンドライフ」 やパソコンゲームのような世界の中らしい。コミックスだけに収められている描き下ろしの外伝を読まないと、本当の意味は分からりづらい。でもこの外伝が又哲学的で、はぁ~。
 好きな人はこの何度も読まないとわからない、というところにも惹かれるのですね。私も 萩尾 望都氏の 「銀の三角」 は何度も読んでしまいますもの。

 「まるたの女」 (○に た が入っている) プチフラワー 1988年7月号掲載
 舞台になっている四国は私の勤めている会社の発祥の地であり、古きよき日本の残っているところに思えて個人的に大好きなところです。
 本四架橋(本州四国連絡橋)が児島・坂出ルート (瀬戸大橋) に架かり、本州と四国がつながったために、千年にわたるある種族同士の戦いの封印がついに解かれてしまったのだった。
 うっ凄い有りそうな話。人間の預かり知らぬところで、絶対あるよ~。対人間だけど、スタジオジブリの 「平成狸合戦ぽんぽこ」 を思い出してしまった・・・。



とりさま! ワイルド・キャット 天才柳沢教授タマとの生活

2007年10月16日 19時24分24秒 | マンガ家名 さ行
 以前から私が動物好き好きと公言しておいた甲斐があってか ? 満天さんからごっそりと動物ものマンガ満載のマンガ箱が届きました。

 まだ全部は読んでいないのですが、まずは3冊左から

① 清水 玲子 「WILD CATS」 白泉社 JETS COMICS

 詳しくは満天さんのブログ記事 → WILD CATS で可愛い・可笑しい紹介が有りますので、私は何も書くことがない。(とサボる) 弱虫ライオンのシーザーのしぐさが超可愛いです~
 
 ライオンを飼う、というと私が思い出すのが 西谷 祥子氏の 「ジルとMr.ライオン」 (週間マーガレット 1966年) ジルという可愛い少女が寄宿舎で子ライオンを飼う、でもあっという間に大きくなって騒動が・・・というお話です。
 リアルタイムで読んでいたので印象が強いのですが、先日夜さんから大量に西谷作品を貸していただいた時に入っていて、とても懐かしかった。けれど、他の作品に比べて古いせいもあるのか軽い感じがして、好きだった作品なのに後から読むと思い込みほどではなかった、という思いをしました。

 
② 今 市子 流水りんこ 他5名 「とりさま !」 あおばコミックス 

 コミックス未収録のまんがばかり、鳥に魅せられた女性マンガ家たちのとり様との愛の日々 
 個人的には抱ける小動物のもふもふ毛が好きなので、鳥さんは大昔に団地に住んでいたとき、犬猫は飼えなかったので、迷い鳥を2羽保護して飼ったことがあるくらい。自分からは好んで飼ったことないのですが、これを読んでいると、種類は違え私が猫に、だんなが犬に対する愛情とまったく変わらないペットへの情愛が感じられますね~~
 最近この手のコラボ本というのか、一つのテーマでいろいろな作者の作品を読めるコミックスが出ていて楽しいです。中でも猫本はつい手に取ってしまいますね


③ 山下 和美 「天才柳沢教授タマとの生活」 講談社

 10篇あるタマとの交流の話は、モーニングコミツクス 「天才柳沢教授の生活」 及び 「猫本 ねこもと」 からの抜粋らしい。ただ可愛いだけでない猫の不思議がちりばめられていて、作者は猫好きなんでしょう、見方が違いますね。タマちゃんのチシャ猫 (不思議の国のアリス) のような笑いが目に残ってしまいましたよ~。
 こんな企画コミックスもいいですね~。 「天才柳沢~」 は全部見ていないのですが、ここに出てくる教授の奥さんも素敵だし、全部読みたくなってきましたよ~

さそう あきら 「神童」

2007年09月19日 10時40分39秒 | マンガ家名 さ行
             双葉文庫名作シリーズ 初版 2003年12月25日~ 
        1999年度 文化庁メディア芸術祭優秀賞・手塚治虫文化賞優秀賞受賞
              
                 つるさんにお借りしています。


 これは以前映画で見ましたけど、原作の方が実写映画よりいいですよ。 → 映画 「神童」

 映画はなんか・・・印象が暗い・・・。うたちゃん母娘の自信まんまん破天荒ぶりが映画には全然出てない。まんがの方が明るくて楽しい。うたちゃんの天才ぶりもまんがの方がよくわかる、納得できる。映画は実写なので、あまり大げさでもと抑えているんでしょうか。又、うたの奏でる音楽がこの世のものではないくらい素晴らしい、うた の手で奇蹟が起こる、という場の表現はCGでも使って表してもよかったんではないかと。

 この作品、文庫で全3巻のボリュームでしたが、3巻になってからぐっと盛り上がってきます。1巻はピアニストとしての神童である小学生 うた が野球好きということで、野球シーンが後半ほとんどのページを使って有ります。音に関係するシーンなので全然ストーリーに関係ないというわけでもないのですが、これは野球マンガかい ? と錯覚しそう。
 夜さんのブログ → さそうあきら 「神童」 でもそういってましたね。

 3巻で うた が世に認められてその後音楽家として致命的な病気に見舞われるところはドラマチックで面白い。
 最後の方に出てくる、聾者の若い女性ダンサーが聾者の子供のワークショップをやっているところなどは実際こういう人がいるのだろうと想像できる。とてもリアルです。

 そうそう、私の好きなおじいちゃん ヴィルトゥーゾ・ホロヴィッツ は似顔絵そっくり、晩年の日本に来た頃のままで可愛かった~~。これも実写ではおとなしめの本物のピアニストさんがやっていて、つまんなかったよ~ぅ。日本人調律師はまんがではカッコよすぎ。若く描いてたし。

 映画を先に見ていましたけれど、やっぱり小説でもマンガでも、原作つきを映画にするのって難しいんですね。


 ※ 最近又、拙ブログをお訪ねくださる方が多くなり、大変ありがとうございます。多分昔のまんが関係を見に来られる方が多いと思います。
 画面左のカテゴリー マンガ 及び マンガ家○行 をチェックして、マンガ雑誌 COM の表紙や石森(当時) 章太郎、水野 英子、西谷 祥子氏などの表紙絵だけでもご覧になっていってくださいませ。
 又、記事にまさったコメントを下さる方も数多く、ぜひそちらもお見逃しなく、よろしくお願い申し上げます。m(_ _)m 



※ PSのPS
 よく行くBBSさんで 「トーマの心臓」 について語ってるよ。そんで ギムナジウム カフェ の話題も 萌えぇ~ → おしゃべり広場 スタジオライフ公演「トーマの心臓」

佐藤 史生 「夢見る惑星」 の番外編3篇 

2007年09月18日 12時51分32秒 | マンガ家名 さ行
          ↑ 「星の丘より」 「雨の竜」 つるさんから頂いたコピー


 以前、ブログお仲間の 夜さん からお借りして、佐藤 史生氏 のコミックスを何冊か読みました。それ以前は まん○らけ で名前を見て興味はあったけれど、全然知らない方だったんですよ~。活躍していた時期が私の少女まんが読まない時期と重なってて。
 
 記事アップしたところお好きな方がたくさんいることが分かって、コメントもいっぱい頂きました。その中に つるさん がいらして、詳しく説明してくれて、佐藤氏初心者の私にはとても興味深いお話でした。その後いろいろあって、今回 「夢見る惑星」 の番外編 「竜の姫君」 の載っている 「アリスブック Ⅰ」 を譲っていただきました。そうしたら、他の番外2編 「星の丘より」 と 「雨の竜」 をコピーして一緒に送っていただきました。感謝です~。m(_ _)m


                    

                     ↑ 「竜の姫君」


 話の順番としては、「星の丘より」 1977年別冊少女コミック5月増刊 → 「夢見る惑星」 1981年プチフラワー秋の号から1984年5月号まで → 「雨の竜」 1984年グレープフルーツ第15号 (4月25日) → 「竜の姫君」 1991年 「アリスブック Ⅰ」 (描きおろし) になるのですね。佐藤さん、作品が壮大すぎて一ぺんにも描けないし、描ける場所もないという感じ。でもずっと頭の中にはその世界があるんでしょうね。
 以前 「星の丘より」 は読んだことが有りましたが、借りていたものだったので今手元にはなく、コピーを頂けて全部揃った  状態でマジ嬉しいです。
 読んだことない方には何のことやらですが、佐藤 史生氏の、SFというには古代史のような、古代史にしてはロマンチック過ぎるお話の数々。

 「星の丘より」 でこの星の初代の王の始まりを描き、「夢見る惑星」 の始めで文明の隆盛と王家の繁栄及びお定まりの王位継承争いを描き、後半はその滅びと救いを描き、「雨の竜」 と 「竜の姫君」 ではその子孫の姫君を描いている。
 5千何百年にわたる歴史の興亡を神の目のように切り取って見せてくれる佐藤 史生氏って改めて凄い しかも、他の作者なら何十巻と長~いお話になりそうです。

 「夢見る惑星」 を初めに読んでいる時から、私は イリス が主人公と思わず読んでいました。確かに イリス を中心に話は進んでいくのだけれど、周りの人たち (カラとかシリンとか) の物語でもあったし、もっと大きく群像劇というよりもこの星、そう惑星の物語なのです。

 「星の興亡」 とか 「惑星の夢」 とかでなくて、「夢見る惑星」とした作者の題名センスにうっとり。


 他の佐藤 史生作品の記事は以下に ↓

「死せる王女のための孔雀舞」

「羅陵王」

ふたつの「バビロンまで何マイル」

「打天楽」 (ワン・ゼロ番外編)

「ワン・ゼロ」

「夢見る惑星」

「金星樹」

佐藤 史生 「死せる王女のための孔雀舞 (パヴァーヌ)」 

2007年09月11日 17時20分03秒 | マンガ家名 さ行
 
 新書館 ペーパームーン・コミックス 1983年3月10日 初版 ちゃととさんにお借りしています。

 佐藤氏の作品を集めている方などには、大変評判が良い 「七生子(なおこ)シリーズ」 の短編連作4つと、名作 「ワンゼロ」 の主人公の一人 明王寺 都祈雄 (みょうおうじ ときお) の番外編一遍を収録しています。
 佐藤氏の 非SF 作品で、私は全部始めて見ました。(佐藤氏は去年から読み始めたんですが) この本はいろんな古書店でも全然見当たりません。佐藤氏ファンががっちり手元に置いて愛読していると推察しますが、ペーパームーン・コミックスって、数も少ないような気もします。まん○らけ なんかに出てもすぐに高値で売れてそう。ちゃととさんのおかげで 「棚からマンガ本」 で読むことができ、ありがたや、ありがたやと東の方角に手を合わせ・・・。

 あとがきで、作者は
「プロを目指していた自分がデビュー前10年で5本しか描けなかったのに、年に13本も描いていた、悪夢としか思えない1982年の作品群をまとめた」 
 ものがこのコミックスだと言ってます。え~全然せっぱつまった感じはないし、絵柄も荒れてないし、お話複雑、心理描写微に入り細にわたり、佳作ぞろいと思いますがね~。
 また、
「私は遅筆ではない。ペンのスピードはむしろ速い。遅いのは創作意欲がわいて出て、私を動かすに足る量に達するまでのその時間」
 とも言ってます。これは分かる。佐藤氏の作品は作品世界がよく練り上げられていて、最初から世界が出来上がっている。最初は分かりづらいけれど、はまると2度読んでも3度読んでも面白い。
 男性人気作家の長期連載があちこち世界を広げて勢い余ってて面白い時もあるけれど、そういう作品とは対照的な静謐な面白さというか。
 
 佐藤氏はストーリーテラーなのだと思う。そしてそれを惜しげもなく短編に使ってまんがを描く。もったいないくらい。おかげで2度3度読んでも発見があって、面白くて手元に置いておきたくなる。読み捨てられないまんがとはこういうもの。


 えっと~ 「七生子シリーズ」 のお話の方は、大人びた女子高校生の 七生子 を中心に、今は学校の教師で、七生子と子供の時同じ美術教室で一緒だった七生子に恋する青年とか、美貌の女子高校生で異父兄と駆け落ちする友人とか、七生子のハーフの異母妹の顛末とか、七生子の出生の秘密、子供の時の親子の葛藤とか。
 舞台は普通の日本の家庭とか学校なのに、愛憎心理劇渦巻いてます。が、あんまりおどろおどろしく見えないのは作者の筆致がさらりとしているからでしょうか。

 「ワンゼロ」 の番外編 「夢喰い」 は 都祈雄 が マユリ と初めて会った話なんだけど、ちょっと設定が違うなぁ。時代が現代みたいだし。 (ワンゼロは近未来) 「夢喰い」 は1982年の作、「ワンゼロ」 が1984年作なので、番外編というより前哨戦で、ここから 「ワンゼロ」 の発想が広がったと考えた方がいいでしょうか。

ご参考 → 佐藤 史生データベース
 

佐藤 史生 「羅陵王」 

2007年09月04日 18時24分25秒 | マンガ家名 さ行
 白泉社 JETS COMICS 1988年1月31日初版 写真のものは1989年1月20日の6刷のもの 

羅陵王・アレフ・タピオ・緑柱庭園(エメラルド・ガーデン) の4作収録

 ちゃととさんにお借りしています。ちゃととさんのブログ → シネマるマンガぁ?byちゃとと

 このうち羅陵王 (初出 LaLa 1985年12月号)と緑柱庭園 (初出 吉祥花人 単行本 1987年8月)が未見でした。特に 「羅陵王」 が前から見たかったので、借りられて嬉しかったです。ちゃととさんありがとうございます。

 実は・・・お借りしてひと読みした後、地元のブック○フで同じものを見つけ、迷ったのにその日は買わなかったのです。後でやっぱり手元に置いときたいと3日後くらいに行ったら案の定見当たりませんでした。
 逃がしたマンガは大きい (byアガサさん)夜さんのブログ → 漫トラ日記 のマンガいろはカルタ そのものでございました・・・古書とは一期一会だって分かっていたのに・・・

 羅陵王って昔の中国の王様で、あまりの美男子ぶりにこれじゃ戦の時に押しが利かないと怖いお面をかぶって戦ったという王様だよな~、舞楽にあったし、山岸 凉子氏は 「日出処の天子」 の厩戸の王子様にその衣装をつけて魅力的なイラストを描かれているし。(チェリッシュギャラリー 白泉社 自選複製原画集) 
 源氏物語の中でも若菜下巻の朱雀院五十の賀の試楽で髭黒大将の三男(玉鬘腹の第一子)が童舞で舞う場面が有りますな、と早速 はてな で検索しました。


 羅陵王 とは、以下はてなダイアリーより引用 ↓

 中国・北斉後期の武将;「高長恭」〔カウチャウキョウ〕のこと。東魏・興和年間(539~543)ごろ生まれ。現代人好みの、中性的な、凄いイケメンだった。ために部下が従わず、その対策として「恐面」〔こわもて〕で奇抜な面を着け、それで戦場へ赴き、無理から部下をきっぱり指揮して連戦連勝、大いに話題になり、重用され→尚書令↑太尉と出世していく。だが強引すぎる無慈悲な命令と、その美貌および名声に対して反感をもち、第五代皇帝・後主など恨みを抱える者があって、鴆酒〔チンシュ〕という毒酒を飲まされて死んでしまう。573年に亡くなっている。よって30~34歳という若さで亡くなった訳だ。この悲運話は当然、人口に膾炙して、京劇の題材として偲ばれていく。この際、遺品の鬼面が当然もちいられたのだ。そして日本の舞楽にも伝わり、「蘭陵王」・「欄陵王」・「羅陵王」・「陵王」(+入陣曲)などの題で演ぜられている

 なるほど~、美形オレ様の元祖みたいな王様ね。でも30~34歳で毒殺されたって可哀想。

 
 さて、佐藤氏の方の 「羅陵王」 のお話はと言うと、作者独特のSF宇宙物です。独特と言うのはSFだし宇宙空間の未来のお話なんだけど、どこか地球の古代か中世初期を思い出すような設定と衣装などが雰囲気を醸し出している作品群だからです。
 念願かなって読めた期待にたがわず、佐藤氏のSFの中でも面白いほうだと思います。前も書きましたけど、やっぱり私個人的には、原作付きのものよりこの方のオリジナルなSFのセンスが好き。もちろん原作付きも氏の感覚と似ていて、佐藤氏もだから作品化しているし、読ませて面白いもの多数なのだけど。
 感覚としか言いようのないところで好きなんです。こう思っているファンは多数と踏んでいるけど ? 

あらすじを簡単に。

 帝国と呼ばれる国家郡の中でもユニークな都市国家ラーフ・シティ (蝕市)。そこに帝国協議会から租税としてアムリタ (不老長寿の薬) を取り立てに来た 大使 と名乗る男とその従者。
 実はラーフ・シティの専売薬であるアムリタを盗み出し、帝国と有利に取引して独立国を立国する腹積もりの悪人だった。(もちろんエネルギッシュな美青年)しかし、アムリタには二面性が有り善の顔は不老長寿、悪は疫病として瞬く間に全帝国に広がる恐れのある恐ろしい物だった。

 まんまとアムリタの盗み出しに成功したかに見えた 大使たち は、しかしラーフ・シティの少女の姿をした祭主 (女王みたいなものですな) に疫病を広める役をやらされただけだった。実はラーフ・シティはこの事態を利用して帝国を封鎖させ、帝国以外の国にはアムリタを供給して罹患者を救い、帝国についてもラーフ・シティの言い分を認めればただちに供給する用意がある、と脅して帝国からの独立をもくろんだのだ。

 最後にもう一ひねりあるのですが、とにかくストーリーをかいつまんでもまんがにするには多くのページを必要と思われるのに、40ページにまとめているのはいつもの佐藤氏らしい。最後の方、種明かし的な所では説明書きが多くなってしまうのはしょうがないところです。

 
 4作の最後に収録されている 「緑柱庭園」 は絵物語的な短編作品で、残酷なおとぎ話で、好き好きこういうの。

篠原 烏童 「1/4&1/2」 クォートアンドハーフ 及び そのR丸付き

2007年08月06日 10時51分03秒 | マンガ家名 さ行
 篠原 烏童(うどう) 「1/4×1/2 クォート&ハーフ」 及び左側 R丸付き 朝日ソノラマ 

         たれぞ~さんにお借りしています。

 一見してなんで大きさ違うのかなと思いましたが、この作品なんと右側の文庫本の1話目と左側の本の最後のお話とでは、実に15年の隔たりがあるのです。
 右側の文庫の方は 一話目 1991年、6話目 1995年、11話目 1996年発表。
 左側R付の方は 一話目 2005年3月~2006年11月号まで。飛び飛びに6話

 そりゃ、表紙の主人公のお顔も違って来て当たり前ですよ~でもそれってファンは忘れずにいてくれた、続編を望む声が高かった、と言うことですよね。熱心な編集の方もいたのかも。おかげで私も好きな作品、好きな作家さんに出会うことが出来ました。
 黒猫ちゃんが出てくるのでも、(もちろんそれもあるけど) 主人公がイケメン霊媒師だからと言うのでもなく、(も、もちろんそれもあるけど) 私いっぺんでお気に入りです~

 あっ~クォートさんの紹介ならわたくしにお任せくださいよ~。

 あれれ、はいはい、そうですね、ではバトンタッチ。

  はっあ~いわたくし、レポーターのトム・ライミーでございます~。本日は私の大々親友、動物霊媒師のクォート・フラナガンさんをご紹介いたします~~。彼はめったにTVに出ては下さらないのですが、私とのよしみでTV出演してくれているんですよ~。今では人間専門のラクシャスという毒舌美形霊媒師と一緒にわたくしの番組の二本柱になっています~~。
 なんたって、可愛いペットを亡くされた奥様方にペットの霊を呼び寄せ、心のこりを無くして上げる技と話術はその甘いマスクと相まって天下一品でございますよ~~



 あーあ、ライミーめ、勝手なこと言っちゃって・・・。すみません、私上でご紹介いただいてるクォートですがね、本当の所を申しますとね・・・。

 代々霊媒師の家に生まれながら、霊感が家族の1/4しかなく、(だからクォートなの) 霊は呼べても自分には見えないなんて知られたくない。でも依頼主の手を握るとその人には霊が見えるんですよ~。(泣)
 人間の霊相手ではなく動物霊専門となり、霊の見える愛猫のハーフに助けられ、ホスト張りのイケメン振りと商売上手の話し方で何とか食えているなんて、誰にも言えない・・・。

 あっ黒猫のハーフは前世が犬なんです。(だからハーフなの) そのときの記憶が半分残っているので、飼い主への忠実さでいろいろ教えてくれるのですよ。霊の見える猫と犬の忠実さでわたしを助けてくれるハーフは無くてはならない私の恋人なんです。

 まったくライミーったら、親友親友とうるさいが、実はね、うちの大家さんの親戚なもんで、無理やり自分の番組に出演させているんですよ。TVは嫌いだというのに~~。私のファンのお金持ち奥様達を相手にしてるだけでも結構商売になるんだから。
 偉大な霊媒師のおばあちゃんにバカにされ、励まされながらも僕の動物霊媒師家業は続くかに見えたのに~~

 ライバル登場、毒舌美形、しかも人間相手の人気霊媒師ラクシャスと言うんですが、デモね、私とハーフにはわかっちゃったんです。彼には昔飼っていたスパイスというハムスターの子がついてて、彼を守ってあげているんですね~。あーー、言ってあげたいけどなぜか言えない。


 はい、ライミーさんは勝手にしゃべっててね、クォートさんは悩んでてください。

  昨年猫の息子を亡くした私 (トミー。(管理人) にとっては、動物達が霊になって飼い主にコンタクトするところとか、霊になっても飼い主を守っている馬とか、最後の命令を忠実に守ろうとする犬の話とか、人間の都合や欲も絡んで、もうもう涙無しには読めないお話のオンパレード。
 
 オイオイ泣きながら1回目を読み、慣れたかと思いながらやっぱり泣く泣く2回目を読み、ここがいいのよね~と3回目で又涙し、毎日のようにパラパラ読んでいます。

 ペットを死なせた飼い主が陥るペットロスって、死んだことが悲しいのもあるけど、もっと一生懸命介護してあげられたんじゃないのか、という後悔が強いと思うんです。(私もそう) どんなにいろいろやってあげても死んでしまうとその思いは残るの。親の介護もそうかなと思うんですが、そんな事も考えさせるところがあって、結構深いんですよこちらの作品は。

 絵柄も綺麗だし、動物達、特に黒にゃんハーフの可愛さは特別で、さすがにたれぞ~さん、私にぴったりな作品をセレクトしてお送りいただきましたわ。隠れた名品ってあるのね~。 (私が知らないだけでしたか?) 
 もっと続いて読みたい作品ですわ~

せどり ル

2007年07月12日 15時11分06秒 | マンガ家名 さ行
 これは以前記事にした 佐藤 史生氏の 「打天楽」 というコミックスです。


 過去記事はこちら  →  佐藤 史生 「打天楽」 (ワン・ゼロ番外編)

 以前 「ワン・ゼロ」 をお借りして読んでからどうしてもその番外編を読みたくて まん○らけ へ行った折に見つけて購入したもので、価格は800何十円でした。定価より高いですが、佐藤氏の作品は入手が難しいと聞いていたので納得して購入。
 
 それが・・・・・・先日地元のブック○フで105円で見つけてしまいました。掘り出し物というわけです。ムズムズ、こ・これはネットでよく聞く せどり ができるかも知れない…。始めはあっ、同じもの、しかも初版だわと手にとってながめていたのに、いくらかでも元を取りたいという不埒な気持ちがふつふつと…(笑)
 
 もちろん せどり を本格的にネットで始めるつもりは有りませんが、まん○らけ ではどの位で仕入れているのか興味もあったので (言い訳言い訳)

 で、しばらく後に行ってまいりました まん○らけ渋谷店 さん。

結果は・・・・・・300円でした~。

 本格せどりさんたちはもっと高いお値段つけてネットに出しているのでしょうね、まん○らけさんには仕入れですから。1冊や2冊で交通費使ってやるもんじゃ有りません。私はついでに 探していた 山田 ユギ氏の 「最後のドアを閉めろ」 ② をネットより数段安く見つけたので当日は大満足でしたけれど。

せどり → 同業者の中間に立ち、注文品などを尋ね出し、売買の取次をして口銭を取ること。また、その人(岩波書店『広辞苑』)。

 最近では、古本屋で掘り出し物を仕入れてネットオークション等で転売している人たちのこと、又はその行為を指すようです。
 背 (せ) 表紙を見て一瞬で判断して 取り (とり) 仕入れる、というところから来た、という記事を見ましたが本当かな~ ? 広辞苑の由来からは本とは限らないようだし。どなたか知っていたら教えてください。


 近況報告

 7月1日から新しい部署に転部となり、6月の立ち上げからその後の処理まで大変忙しくしています。しばらく飛び飛びの記事アップになるかも知れませんが、お見捨てなく~(泣)気長にお待ちになっていてくださいませ~(泣・泣)
 それでも夜のマンガ読書はやめられず、ただいまたれぞ~さんにお借りした 秋乃茉莉氏の 「Petshop of Horrors」 を読んでいます。これ、新 (日本編) もあるんですね~。続けて読みたいですわ。

佐藤 史生 「打天楽」 (ワン・ゼロ番外編)

2007年01月12日 15時56分53秒 | マンガ家名 さ行
        すいません、前の写真は文庫の方でした。私が持っているのはこちら。

 前に記事UPした佐藤 史生氏の傑作SF 「ワン・ゼロ」 の番外一遍と、後2編収録。 私が読んだのは、小学館刊 プチコミックスの方。

 セブン&ワイの画面では2001年の文庫版なのに絶版でした。 →  打天楽

 これ、買えてよかったです。「ワン・ゼロ」 の番外編というか後日譚一遍 初出プチフラワー 昭和62年(1987)4月~5月 と「ムーンチャイルド」 初出 プチフラワー 昭和61年(1986)12月号、その続編である 「楕円軌道ラプソディ」 初出 プチフラワー 昭和62年(1987)9月号 の3篇収録。

 「打天楽」 相変わらず哲学していますが、本編より面白く読めました。何が出てきても、ああ夢の中だからねと楽しめる。でもこの作品だけでは人間関係や情況がイマイチ分からないだろうから、やはり 「ワン・ゼロ」 を先に読んでないと楽しめないかも知れない。ひげ面のスフィンクスみたいな ニヤニヤ顔の 開明獣 というのが出てきて薄気味可愛い (?) 中国の神様のお使いかなんかかしら。

 「ムーンチャイルド」 とその続編 「楕円軌道ラプソディ」 はとっても気に入りました。「ワン・ゼロ」 や 「打天楽」 より分かりやすい。話は分かりやすいが、セリフが・・・詩的というか、比喩的というか、含蓄有りすぎというか。考えながら読まないと (それが面白いんだが) 「難しいまんが」 と思わず声に出して言ってしまった。大体 「楕円軌道ラプソディ」 なんて題はいろんなことを考えさせて、まんがにしては難解な題だわ。

 先日、「イグアナの娘」 のUPの中で、母と娘の関係を考えていたが、「ムーン~」 では、図らずも父と息子の関係が出てきた。この親子のように13年経って突然息子 (と思われる子供) が目の前に現れて、という程ではないにせよ、父親なんて始めは自分の子という実感はわかないだろうな。一緒に暮らしていくうちに可愛くなるものなんでしょう。そして母親にとっては息子は永遠の恋人なのです。猫だってオスの方が恋人で可愛かったもの。
 この作品は未来のお話なので、SFです。現代の親子の心理劇ではありません。(笑)

 「ワン・ゼロ」 の感想をUPした時、頂いたコメントで番外があるよ、と教えられて探したのですが、ネットでは絶版だったので半分諦めてました。先日 まんだらけ に行ったらありましたしかし、定価の2倍近くしてましたよ。この方も内田 善美氏のようにこれからどんどんコミックスの値が上がって行ってしまうんでしょうか。

 佐藤氏の膨大なデータを集めているHPを見つけました。ファンの方には既に有名かも知れませんが、一応 ↓


    佐藤 史生データベース


 大泉サロンについての記事などたっぷりあって佐藤氏ファンなら必見です。


 これを買った時、長らく探していた 「しまりんごスペシャル」 と、「草迷宮・草空間」 「ブライトの憂鬱」 を買う事が出来ました。私にとってはお年玉でした~

佐藤 史生 「ワン・ゼロ」

2006年12月20日 17時06分33秒 | マンガ家名 さ行
 これは、現在売っている小学館文庫の方の表紙。私は夜さんにお借りした1985年発行の方を読みました。

 これはマンガなの? いや、確かにマンガだが。ひとつ部屋で登場人物たちが延々としゃべっている場面が続いたりすると、マンガを見いてるというよりも、小説を読んでいる感じ。しかしイメージ映像のような綺麗なイラストも有るし。話はSF好きならたまらない、コンピューターと、神と魔の話。?こう書くとどう繋がるのという感じですけど。繋がるんだよね。神と魔の戦いというと、萩尾 望都氏の 「百億の昼と千億の夜」 を思い出しますけど、戦いってもなんかぴりぴりしてるのは一部の神様だけでトップ同士は仲良くクラブでお酒飲んでたり、話し合ったりしてるし。変な展開といえば変。
 
 ここまで来ると哲学ですよ。「風の谷のナウシカ」 の原作と並ぶ哲学と思いました。ナウシカは始めの頃はそうでもなくて、巻が進むにしたがって哲学入ってくるんだけど、これはきっちり最初から揺るがない佐藤 史生の哲学問答。

 「0と1の間をどんなにこまかく分割してっても埋めることできないってことをね」

 「1と0の間には何も存在しないんだよ」

 これを哲学と言わずして何を言う? 個人的には、前に読んだ 「夢見る惑星」 のほうが題名どおり夢があって好きです。ハッピーエンドな終わり方だし。
 「ワン・ゼロ」の方は主要な女の子の登場人物が死んじゃうし、ちょっと寂しい終わり方。佐藤氏の作品の中で、これを一番と押す人と、「夢見る~」を一番とする人で分かれそうです。