むすんで ひらいて

YouTubeの童話朗読と、旅。悲しみの養生。
ひっそり..はかなく..無意識に..あるものを掬っていたい。

まわり道

2011年10月14日 | 日記
秋空高く浮かぶ色とりどりの気球、黄金色の田んぼのあぜ道に群集する彼岸花の紅、陽射しを透かせほんのり色づき始めているもみじ。週末出かけた鈍行列車の車窓には、山里の秋がゆっくり移ろっていきました。

湿原の板道をどれだけ歩いた頃か、到着した山頂の休憩所で、温かい湧き水コーヒーをいただきました。出番も近そうな薪ストーブを囲む木机で、パキンと割り箸を割っている男性の前には、受け取ったばかりのぜんざいのお椀から湯気が立っています。

ふと正面の格子窓に目を移すと、その向こうには、風になびくススキとうっすら波立つ湖面が、まるで絵画のように広がっています。と、ガラスの手前に小さな黒い蝶が留まっていて、次の瞬間パタパタとジャンプしました。羽の端には、ビーズの飾りのような白い点々が添えられています。思わず、開けられるものなら開けて出してあげたくなりましたが、あいにくその窓は、はめ込み式。

日が暮れて部屋に灯りがともったら、目の前の景色から離れて電灯の方へ行くかしら。そしたら朝が来た時、今度は後ろで開け放たれている入り口の方へ飛んでいったらいいんだけど。明日じゃなかったら、明後日でも、しあさってでも。同じ入り口からまた外へ踏み出す時、そう願って、いくつもの帽子に見え隠れする窓を振り返りました。

まだ日は高いけれど、風はさっきよりひんやりしたようで、途中でリュックにしまったストールをもう一度取り出して巻きました。

下りの山道には、登山者たちの身につけた熊よけの鈴が、チリンポロンと響き合っていました。



かうんせりんぐ かふぇ さやん     HP 

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