むすんで ひらいて

すべてが帰着するのは、ホッとするところ
ありのままを見て、気分よくいるために

瞑想の入り口

2012年12月08日 | こころ
こんにちは。 
あっという間に12月、寒さも本格的になってきましたね。
庭を温かな赤や黄色に彩っていた欅やまゆみ、アプリコットの木たちも、木枯らしに葉を散らし、冬の準備に入ろうとしています

わたしは、11月後半に10日間のヴィパッサナー瞑想コースに参加してきました。
携帯やパソコン、本、考えを書き留める筆記用具、音楽や会話。
そういう日常を取り囲むものいっさいから離れた修行生活は、わたしにとってすこおし死に近い場所にいるようでした。

途中、これまでの心の習慣を突破するのに忍耐が必要な場面もありましたが、後になってみると、そのおかげで、本や対話から頭で理解していたつもりのことに、新たな感覚として出会うことができました。

そこで、わたしの個人的な体験でのインパクトを記してみようと思います。

まず、ずっと根源的な課題だった、物事に反応して、渇望や嫌悪からどうにかしようとするのを止めること、に向き合えた気がします。


そのためここでは、反射的に感情に突き動かされる前に、注意深く、心の反映による体の「感覚」に意識を向けます。
たとえば、肩に力が入ったり、ドキドキしたり、胸がキューッと締め付けられるようだったり、安らかな時なら、もっとささやかなこしょこしょと細胞が息づいているような感覚だったり。。と、さまざまです。

次に、それらを平静さを保ったまま、どんなふうに、どんな強さや、どんな範囲で移ろっていくのかを、ひたむきに観察します。

この時、すべての現象は生まれては消える変化の一過程だと知り、たとえ観察がうまくいかない場合でも、がっかりせずコントロールもせず、只あるがままに受け止めていきます。


わからないことがあっても、ムリにわかろうとはしません。
なぜなら今のじぶんは、「本来は無限の能力を備えている人間という存在の、開発中の今この地点での人間」だから。
開発が進んだら、またわかることもあるかもしれません。

そんな、いらだったり、焦ったり、はがゆくなってしまいそうな時こそ、もうひと踏ん張りするチャンス
それによる痛みやぞわぞわなどの、体に現れた感覚をちゃんと見定めた後で、必要なら、判断や対処をします。
ちょっとリフレッシしてくるとか、姿勢をずらして作戦変更の対策をとるとか。

うまくとか、わかるとかじゃなく、大事なのは、「平静さを持って、気づいている」こと

こうして見定められたものは、やがて、去ったり展開するなどして、なんらかの変化を起こしていくものだから。


でも、これを集中して続けていると、とりとめもない同じことの繰り返しに感じ、特に初めのうちは、「こんなことをしていて、なんになるだろう」と、いつものクセで効率のいい(と思っている)ことをしたくなりました。 

ここで普段なら、目に見えてわかりやすい(掃除をしておこう、あれをこっちに動かしておこう、そそくさ。。のような)行動に出てしまうのですが、修行中はそうはいきません。


そのおかげでした。 
山あり谷あり観念して、このもどかしさを耐え忍んだ先に、砂漠のオアシスというか、ここがオアシスになったというか、ぽっかり、別次元の平和にいるのを感じました。

これは、よく馴染んだ懐かしい感覚でもありましたから、そこに通じる道はきっといくつもあるのでしょう。
どちらにしても、新しい具体的な回路が、ひとつ目の前に開けたことは確かでした。

その時、自分の体が自分のものでなくなり、宇宙に溶け込んでひとつになっていくような、また、これまで動かないと思っていた地面がむっくり起き上がって動き出すような、ふしぎな畏怖と軽快さを覚えました。

本当の意味での効率もまた、理解していた範囲を越えたところにありました。
そして、出会った時は、「ああ、知っていた」と思い、ムダがなくなって救われた気がしました。


こんなふうに、心を研ぎ澄ましてひとつの道を根気よく辿っていくうち、思う通りにならないことにジタバタせず、自然の摂理にのっとった「今」につながっていかれるのでしょう。

荒立つ自我も、吐息のように細やかな感覚も、ひとつひとつ丁寧に抱擁し続け、在ることをゆるし、涙のこぼれる「今」に調和していく過程は、じぶんの中から愛を引き出し、隅ずみに行き渡らせることでした。


さて、もう10日どころかずいぶん長いこと離れていたような気持ちで、そおっと日常に帰り、去年のように立川昭和記念公園の銀杏並木を歩きました。
そこには、一見前と変わらない黄金色の道がありましたが、いちょうもわたしも一年分の変化を経てまた出会えていることに、これまでになく、貴重な思いがわいてきました。

この瞑想を続けてみようと思います。

  

(公園の中、思わず息を呑んだ優美なもみじ。 たくさんのカメラマンに囲まれていました。) 


                   かうんせりんぐ かふぇ さやん     http://さやん.com/
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