【歯顔大笑】

歯を見せて大きく笑おう!

128.【歯の呼び方】

2012-08-20 | 
【歯の呼び方】

この”歯の呼び方”というのを見て、みなさんはきっと我々歯科医が使う専門的な呼び方を想像された事
だと思います。ここでそれを書いたのでは全然おもしろくないので、少し違ったものを書きたいと思います。

まずは昔の呼び方から・・・

切歯(前歯)    板歯・門牙・門歯・向歯(むこうば)
犬歯        犬牙(眼牙)・犬歯(眼歯)・角歯・尖頭歯・糸切り歯
小臼歯       槽歯・二頭臼歯・頬歯・前臼歯・副犬歯
大臼歯       成歯・大牙・富頭臼歯・後臼歯・奥歯・臼歯

大体、歯の形態、位置がその名前の元になっている事がほとんどです。

生えてくる時期で呼ばれる歯もあります。奥歯の
第一大臼歯は6歳頃に生えてくるので”6歳臼歯”、
第二大臼歯は12歳頃に生えてくるので”12歳臼歯” と呼ばれます。
第三大臼歯は”親知らず”と呼ばれる事が多く、その語源は子供の歯の管理を終えて親も見る事がない時期に
生えてくるからという説と、平均寿命が50歳前後の頃はそれが生える20歳前後には親が生えた事を知らず
に他界している事が多いからという説があります。

また、親知らずには”智歯”という呼び名もあります。十分に物事を判断できるように賢くなってから生える
という意味で中国語から来ています。 また、英語ではwisdom toothといい、wisdomは知恵という意味なので
英語と中国語では同じ語源です。 いずれにしても生える時期が元になっていますね。



”八重歯”   唇側に飛び出した犬歯
「八重桜」などと同様、重なりあっていることをオーバーに表現したという説と、元は「弥重歯」と書き「弥」
の字が強調の意味なので「強く重なっている歯」から転じて”やえば”という音だけが残り、書くのが優しい
「八」になったという説があります。別名として古事記には「八重歯」のことを「押歯(オシバ)」という記載
があります。



”恵比寿歯・大黒歯”   上顎右側前歯・上顎左側前歯
江戸時代に恵比寿様と大黒様を拝める「二福神」という民間信仰があり、祭壇に並べるときに右側に恵比寿様、
左側に大黒様を祀り五穀豊穣(ほうじょう)や商売繁盛を願う風習があったことに由来します。そこから、前歯
2本を区別するためにこのように呼んだようです。また、この歯が欠けていると「金がこぼれていく」という
迷信もあります。


このようにちょっと特徴的な名前が付いているものは目立つ部位、区切りになる時期に生える歯、痛みが激しい歯
等ですね。側切歯や小臼歯などあまり目立たない歯には別名はないようです。ご存知の方おられたら教えてください!



出典
解体新書(杉田玄白) 把翕湮(パルヘイン)解剖図譜 重訂解体新書(大槻玄沢) 解剖学新説(ミユルレル口授)
虞列伊氏解剖訓蒙図(松村矩明) 華氏解剖図(村上典表) 解剖学概要(田口和美) 海都満歯解剖図譜(山崎元修)
保歯新論(高山紀斎) 解剖学名集覧(高木,尾持) 医学用語集(日本医学会用語整理委員会)
解剖学用語(日本解剖学会) 等