歴史のある会である。
梶井基次郎の「檸檬」 (この重さなんだな)
中島 敦 の「狐憑」 (シャクの憑き物とは?)
鴨 長明 の「方丈記」(人と栖とこれに同じ)
太宰 治 の「裸川」 (新釈諸国話より)
の4作品が読まれた。
方丈記を解説付で読まれると、難しい文章も分かる。
分れば、おもしろさもわかる。
書いたのは作者の30年ほど前の体験記のようだ。
今日、五反田きゅりあん小ホールで開催されていた渡辺知明先生の「声による文学の表現」を鑑賞した。
今回は鑑賞したという言葉が使える。
チェーホフの『かもめ』(堀江新二訳)がドラマリーディングされたのだ。
ドラマリーディングとは、欧米では幅広く扱われている演劇の上演形態の一種だそうだ。戯曲を持って声に出して読む、いわば演劇のシンプルな上演の形なんですって。
ですから、朗読をしている方々の体の動き、顔の表情、肢の開き方、手の動きなど、本当は見る必要のないものが、何だかとても気になった。
複雑な人間関係(恋愛感情の…)が絡み合ったストーリーが短時間で展開され、一つ一つの情景・情念の突込みが簡略すぎて、ちょっと薄っぺらな物語であったように思う。原作がそうなのだから仕方がないとは思うが、朗読する人がそれを補って、聴いている人間に気分上の余裕を与えてくれるようだと、理解をもっと深めることができたと思う。
中程に対談があった。この会を主催している渡辺先生とチェーホフの「かもめ」を翻訳された堀江新二氏である。堀江氏のお話は、翻訳するときの苦労話であった。
ともあれ、素敵な演劇、いや朗読の舞台を鑑賞することができた。
一昨日の4日(金)午後7時から京華スクエア開かれた可愛くて素敵な朗読会に行ってきた。
M’S CREATION代表の齋地珠理子さんが主催している朗読会で、今回初めて出席した。シリーズで開催され、今回で5回目なのだそうだ。
水谷聡美さんの「やめてはいけない」(作者不明)と熊田光孝さん(女)の「道」(道をひらく・松下幸之助)があり、齋地さんの50分間の童話の朗読があった。
前のお二人の朗読はいわゆる「詩」の部類に属する作品であって、相当難しい作品に挑戦していた。(当方も少々朗読を趣味としている)
齋地さんは大作に挑戦していた。
お三方とも個性的な読み方をしていて、それぞれに聴きどころがあった。
今回、私が一番グッと来たのは「やめてはいけない」であった。なかで最も賛成でき兼ねるフレーズ…
「人生に競争者はいません
自分のペースで一歩ずつでいいのです」
であった。
いつも他人との関係から自分を確認している私にとっては、競争者がいない世界なんか味気がなくて、退屈してしまうだろう。ヒョットすると肉食系男性なのかな?
ともあれ、たった2時間であったが、自分を見つめる良い機会になった。
朗読さくら貝グループの齋地珠理子女史が朗読のCDを企画し、発売にこぎつけた。
女史の思いをメールでいただいてあったので、ここに掲載させていただこう。
以下は女史のメールの一部である。(私とあるのは齋地女史のことである)
……
私事で恐縮ですが、このたび生まれて初めてCDを企画・制作いたしました。
<<2008年11月1日(土)発売!>>
『人生にプレゼントを』朗読CD
~ あなたに贈りたい たくさんのプレゼント
心に届けたい 言葉の音色 ~
著者 大塚慎吾
朗読 白川裕子
企画・制作 齋地珠理子
定価2,500円(税込)
1年前の私は、劣等感の塊でした。
人付き合いも面倒で、自分の存在価値ってなんだろうとそればかり考えて過ごしていました。
2008年。そんな状態から脱けだして、一大転機を迎えることができました。
変化と成長を追い求め、ようやく形になったのが
この『人生にプレゼントを』朗読CDです。
私の変化と成長には、多くの方々の励ましや応援がありました。
本当にありがとうございます!
私が尊敬し、慕っているある方の言葉「行動すると化学変化が起きる!」
私がこの1年間、ゼロからスタート、行動し奇跡と変化を起こした集大成がこのCDに込められてい
ます。
著者・大塚慎吾さんは、今年2月に小冊子「人生にプレゼントを」を発行しました。
『人生にプレゼントを』は、これまで口コミを中心に7000名余の方に読まれています。
常に私のモチベーションを上げて下さる方です。
朗読・白川裕子さんは、群馬・栃木・東京を拠点に朗読家として活躍し、これまで教育機関や文化的
行事を中心に多数公演を行ってきています。私の朗読の指導者です。
母性のこもった温かい朗読が魅力です。
そして、CDの制作にあたっては、朗読という「言葉の音色」に、1890年代のアンティークオル
ゴールの調べを融合させました。
あるアンティークオルゴールのコレクターが、私の作品に対する思いを理解して下さり、音楽を提供
してくださいました。
この作品は、実に多くの皆様から私へのプレゼントが結集され、できあがったものです。
「1日の終わりに、あなたが素直なあなたと話せるように」
このCDを聴いて、12のメッセージを味わってくだされば幸いです。
今日午後2時半から、声による文学の世界と題し、渡辺知明先生がニューオータニイン東京で、いわゆる朗読の独演会を開いた。
手ごろな会場は満席で、急遽補助席が追加されていた。歴史のある独演会で、今回は第14回目だそうである。
梶井基次郎 「橡の花」
中島 敦 「弟子」
太宰 治 「粋人」
を先生が読まれた。
途中にお一人のお弟子さんも出演された。
夢中で仕事をやっているときには、文学の世界とは全く無関係であった。
教室に通い出して、やっとこのような素敵な空間に居られる自分は、幸せなのだ、と思う。
そのかたは朗読家 白川裕子先生である。
これから書く内容は、このCDを企画したかたからのお話を要約したものである。
「新進気鋭の詩人で実業家の大塚慎吾氏が自費出版した『人生にプレゼントを』を白川裕子先生が朗読したもので、ちょっと寂しい時に聞くと癒される素敵なお話である。」
パンフレットは白川裕子先生から郵送で昨日いただいた。冊子は以前にその企画者(齋地珠理子氏)からいただいていたので、もう1回読み直してみた。やはり心に響く詩だ。
いただいたパンフの写真を載せておいたので、イメージはつかめるであろう。CD発売に際し、記念会を催すそうだ。その概要は以下の通りである。
日時:11月1日(土) 開場13:00 開演13:30
場所:文京シビックセンター26Fスカイホール
出演:(公演)著者の大塚慎吾氏
(朗読)白川裕子先生
メールでの申し込みは roudokucd2008@yahoo.co.jp で
FAXでの申し込みは 044-945-5862
師匠とは渡辺知明先生(ことば・言葉・コトバ 研究所主宰)である。
主催は「コトバ表現研究所」で、先生のグループの方々が参加する。
・日時は:9月7日(日)開場PM2:00、開演2:30、終演4:45
・場所は:ニューオータニイン東京の4階「かえで」である。
(JR山手線大崎駅東口前)
・入場料は1800円(入場券は売り切れだそうだ)
テーマは「声による文学の表現」で、太宰治の作品が朗読される。
今年は太宰治没後60年だそうだ。
先生とそのグループの朗読に接することができる良い機会である。
今まではマネジメント書を読むことだけにきゅうきゅうとしていた。仕事がら仕方がなかったからである。
また太宰治と聞くだけで何年も前の大学受験のまる暗記時代を思い出してしまう。つまり文学なんてつまらないもの、つきあうのは苦痛なもの、という体質になってしまっていた。
朗読教室に通い始めて、いままで体験したことのない「大きな新しい世界」が存在することに目覚めた。それが徐々に解りかけてきた。
左脳だけの生活から、自分はいま右脳の世界に一歩入ったように思える。
…とても素敵だ…
一昨日、新しい朗読教室へ初出席した。
ここは東急BEセミナー雪谷大塚教室であり、ご指導いただける先生は渡辺知明氏(ホームページは、ことば・言葉・コトバ)である。
教室はアットホームな雰囲気につつまれていて、生徒達は皆さん熱心で、ここなら皆さんに追いついていけそうだと感じた。(以前一度見学し、今回初出席しただけなのであまりよくわからないかもしれないが…)
朗読を学ぼうしているとき、いろいろな教室を見学させてもらったり、いっとき他の教室にも通ったり、さらにもっと他の手段を使って別の観点から調べたりと、結構慎重にやったつもりである。
わかったことであるが、朗読に関しては学習塾のようは教室らしい教室は皆無で、いわゆるマネジメントとして組織化されている所に遭遇することはなかった。奥様が朗読家である作家の阿刀田 高氏も言っているように、「朗読概論」らしきものは見当たらなかった。
アナウンサーや俳優のような専門家を育成するプログラムは該当する組織のほうに厳然と存在しているのではあろうが、一般の人間が趣味として朗読を真剣にやっていこうとした場合、期待できるような受け皿はなかった。つまり、プログラム(指導方針がまとめられた企画)とカリキュラム(教科課程)とテキスト(指導教科書)にはかすりもしなかった。
つまり先生方は各々「一人先生」として、ご自分の経験から導かれたノウハウを教えていた。これは確かに貴重である。しかし、教わる生徒にしてみれば、なんとなく拠り所がないのだ。
今回の先生は、テキスト(朗読習熟のための指南シート)をお持ちなのだ。びっくりした。
朗読家・白川裕子女史が朗読・ワークショップを開催する。それに招待されている。
2月24日(日)の午後1時から、八丁堀にある京華スクエア(旧京華小学校)の中会議室で催されるもので、誰でも無料で入場できるのだそうだ。
白川先生といえば、「魂で読む」をモットーに、『人の心を豊かにする運動』を展開している活動家である。聞くところによれば、その活動で近日中にNPO法人も立ち上げるのだそうだ。
遠くで見ていても、何しろ女史はエネルギッシュで素敵だ。
その朗読は、動と静が渾然とした不可思議な世界に聞いている人(特に私が思うのだが)をいざなう。
じっと聞いていると必ず心の中に「絵が描ける」。ときには「音楽が聞こえる」。だから不思議だ。
時間があったら、いや無い人も、朗読会場に行ってみては如何だろうか。ちょっと、心が豊かになるかもしれないから…。
この本は時事通信社から今月の5日に発売された新刊本である。
ときどき執筆したり、朗読の教室に通っている人間にとっては、この本は正に必読の1冊である。
先に、NHKのラジオ放送で阿刀田高と同夫人である慶子女史の朗読に関する話しを聞いたことはこのブログに書いた。素晴らしいものであった。このことも書いた。
そこで阿刀田高の朗読に対する思いを、もう1回このブログに写し込んでみようと思う。内容は読めばお分かりになるだろうが、読み手、つまり朗読する人たちへの作家からの熱い”お願い”と受け取れる。写す内容はもちろんこの本からの抜粋であるが…。
……朗読事始め……
小説の朗読は思いのほか奥行きが深い。NHKの”日曜名作座”の朗読で人気を集めた女優の加藤道子さんが、
「このごろ朗読がはやってて、字が読めて口のきける人はみんな朗読、朗読って読んでいるけど、ちがうわねー」
その通り、舞台朗読となると(あるいは音声テープへの吹き込みも)簡単ではない。
私たちの公演は……半年ほど前に適切なテキストを決定することから始まる。テキストの選定についてはあくまでも一般論として言うのだが、
①よい作品でなければいけない。当然のことだ。わざわざ読んで、聞いていただくのである。
②難解なものは避けたい。目で読むのと違って聞く場合は読み返しがきかない。
③長さは五十枚ぐらいまで。
④エロチックなものは避けたい。
⑤絶対的な条件ではないが、登場人物は2、3人ぐらい。
⑥朗読者との関わりも大切だ。朗読者が女性なら女性が主人公、あるいは重要な人物を女性が占める作品が望ましい。
こうした条件を勘案しながら、かいくぐるようにテキストを捜して選ぶ。命じられて読むのならともかく自分達で舞台を創り、適切なものを読もうとすると欲が深くなり、こうした配慮がどうしても必要となってしまう。
実際、舞台朗読などでは向田邦子の作品が扱われることが多いが、向田作品は右の条件をほとんど満たしていると言ってよい。
テキストが決まると朗読者は作品を熟読して理解し、次にそれなりの演出プランを立てなければいけない。演出家をほかに置く場合もあるが、多くは朗読者自身が考える。そして、登場人物を声で演じ分け、地の文章の味も創りださなければいけない。役者は自分の役をこなさばいいが、朗読は違う。作品の研究者、演出家、登場人物、そしてナレーター、全部を務めるケースが多いのだ。
妻が朗読の準備をしているときには私は傍観しながらも、ときどき意見を挟む。そして手伝う。(中略)
話は変わるが、私の知る限り朗読界には”朗読概論”とも言うべき良書が見当たらない。朗読をやろうとしたとき、どこから入り、なにを考え、なにを習い、なにを留意したらよいのか、きちんと説くものがない。
私はもやもやしている。朗読者の中にももやもやしている人がいるだろう。もしやみんなが適当にやっているのではあるまいか。
………
朗読をこよなく愛するものにとって、この本から今後の活動指針のアドバイスが得られたように感じた。