永 六輔著『大往生』から引用しよう。
これはもともと「老い」「やまい」「死」を見つめるために書かれた本である。
死の恐怖から少し解放されたと言えるようになった、これが読後感である。
シリアスな本の中にも、味のある表現があったので2~3引用する。
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死ぬ前になりますと、人間は炭酸ガスが増えるんです。この炭酸ガスに麻酔性がありますから、最後はそれほど苦しまずに終わるようにできているんです。
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永 六輔(著者)「腹上死っていうのは …その… 相手が女房でも、腹上死っていうの?」
小沢昭一(俳優)「永さんね。断言しますが、女房で腹上死はありえません」
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「百歳を超えてるおばあさんで、娘さんが老衰で亡くなったっていう人に会ったけど。…あるんだねェ、そういうこと」
かって老衰と言えば、長寿の果てにあることで、長寿の親が娘の老衰を見送るということはなかった。泉重千代さんも「百歳を過ぎて子供に死なれたのは辛かった」と言っている。その泉重千代さんが百十五歳の時に「どんな女性が好きですか」と聞かれて応えた言葉。
「……年上の女」
面白い話だ。何だかホッとする。
楽しく生きる方法の1つを知った。