ラーメンズ第16回公演『TEXT』(先日NHK・BS2で放送されたもの)、感想です。
作・演出:小林賢太郎
出演:ラーメンズ(片桐仁・小林賢太郎)
ネタバレあります。かなりのネタバレです。未見の方が読むと、興を削がれること著しいです、おそらく。観る予定のある方は本文は読まないでくださいね。
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各コントごとに付いてるタイトルは、便宜上筆者が勝手に付けたものです。
『社鬼』
二人が交互に「五十音表」を読みあげる、その最初のセリフを聞いた瞬間からもう、「あぁ~っ、ラーメンズだぁ、“テキスト”だぁっっ、うきぃっっ」と心の底からこみ上げるものがありました。おそらく全国一千万のラーメンズファンみんながそうだったんじゃないでしょうか。ね?
「…あ・い・う・え・お」「…か・き・く・け・こ」
二人がこう言ってるだけで、もう嬉しい。ラーメンズのライブが始まったんだ、“TEXT”が始まったんだ、ってことを実感する。この先めくるめく言葉遊びの世界が待ってることが予感されて、ワクワクする。まだ何も面白いことは言ってないのに、にやにやしちゃう。そんな始まりでした。
うまいな、と思ったのが、役が替わるとき、相手がしゃべってるうちから、もうクルクルと回って替わり始めるところ。普通だったら相手がしゃべり終わってから替わると思うんだけど、たぶんそれだとテンポが悪くなる。相手の最後のセリフがまだ終わらないうちに、もう一人が次の役になりおわってることで、場面の転換が無理なくスムーズにいってる、さすが~と思いました。
オチもよかった。うまくまとまって、気持ちがいい。ナイスパット!
『ドラマチックダジャレ』
のっけからナンですが(ごはんじゃなくて。なんちて)、私、ダジャレ嫌いです。イヤ、ほんとに。夫も時々いいますが、舌打ちしたくなるほど嫌いです。まず、返し方がわかんない。笑ってやればいいの? でも笑えるダジャレってほんと少ないよね。おぉ~うまい!って感心してやればいいの? でもうまいダジャレってめったないよね。つっこめばいいの? でもなんて? そして、そうやって相手が困惑しているのに、いった本人はにやにや笑って満足顔。会話中なのに勝手に自己満足すな!こっちはテンション下がるんじゃ! ……と、そんなに怒らなくても、と自分でも思うくらい、ムッとしちゃう。それほど嫌い。
な~の~に~。小林くんがダジャレをやるとどーしてこんなにかっこいいの! やるなぁ! チクショウ!
四篇ありますが、どれも同じパターンのようで実はそれぞれ全然違う構成。
一番目の冒険家と商店街再生プロデューサーは、お互いのセリフはまったくリンクしない。ただ同音異義語という点だけでつながっている。
二番目の宇宙生命体対策本部の隊長とサラリーマンは、まったくちがうシチュエーションでそれぞれがしゃべってるはずなのに、なぜか会話が噛み合って?いる、という形。
三番目の定年退職前日の刑事とモテない男は、まったくちがうシチュエーションで発しているのに同じ言葉になるというパターン。
四番目の友達と携帯で話している男と鯉カレーを作っている男は、それぞれちがう人と話しているはずなのに、組み合わせると会話が成り立っている。
「同音異義語」という着想は同じなのに、こんなにパターンを変えて作れるなんて、小林くんてほんとにすごい。
暗転してるあいだに、小林くん、ガッツポーズしてたじゃないですか、何度か。だよねぇ、と思いました。
慎重に慎重に、ぬかりなく伏線を張っておいて、最後カチッカチッと音をたてるがごとく、あるべき言葉があるべきところに収まっていく快感!
観てる方がこれだけ気持ちいいんだから、作って演じてる方はさぞかし気持ちいいことでしょう。そりゃ出るわな、ガッツポーズ。
仁くんは大変だったろうなぁ、セリフ覚えと稽古。
小林くんには全体が見えてて、こうあるべき、というのがはっきりわかってるから大丈夫だろうけど、できあがったあのホンを「はい」って下ろされて演じる方はユルくなかったと思います。
小林くんは仁くんのこと、「よしよし、よくやったよくやった」ってほめてくれたかなぁ。頭なでなでしてくれてるといいなぁ。(何の妄想)
『透明人間と不透明人間』
これね……最初観たときは何も考えず、あはあは笑って観られたんです。
「おまえ…バカだもんなー」といわれた小林くんが仁くんのおでこをコツンとやるところに萌えたりしながら、何の屈託もなく楽しんでました。
(余談だけど、あそこはほんといいよね。萌えさせようと思ってやってることなんだろうな、とわかってはいても、まんまと萌えちゃうよね。あれね、よく観ると、小林くんがコツンとやる前に、もう仁くんはおでこをちょっと前に出して迎えに行っちゃってるんだよね。そこがまたかわいいでございます。)
ああ、何の悩みもないあのころが懐かしい。
……イヤ、何の話かというとですね。この公演を最後まで観てから、もう一度この「透明人間」コントを観ると。
せつないの! ムチャクチャせつないの!
「透明人間は存在する」「しかもそれは自分」ということを証明されちゃった仁くん。
「そっかー、オレは透明人間なのかー♪」ってニコニコするの。
せつねー!
もうこれを観ても、心からは笑えない……はぁ……
こんなにせつないものを観たのは久しぶりです。何以来だろう。全然思い出せない。あぁ~、せつないよぅ。
「透明人間てのはみんなの心の中にいるんだ!」
うん、そうよ!そうなのよ、仁くん!私も信じてるわ!って普通にシンパシー感じてこのセリフ聞いたりして。違うだろ、自分って思いつつ。はぁ~~
長くなったので2本に分けます。coming soon!
作・演出:小林賢太郎
出演:ラーメンズ(片桐仁・小林賢太郎)
ネタバレあります。かなりのネタバレです。未見の方が読むと、興を削がれること著しいです、おそらく。観る予定のある方は本文は読まないでくださいね。
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各コントごとに付いてるタイトルは、便宜上筆者が勝手に付けたものです。
『社鬼』
二人が交互に「五十音表」を読みあげる、その最初のセリフを聞いた瞬間からもう、「あぁ~っ、ラーメンズだぁ、“テキスト”だぁっっ、うきぃっっ」と心の底からこみ上げるものがありました。おそらく全国一千万のラーメンズファンみんながそうだったんじゃないでしょうか。ね?
「…あ・い・う・え・お」「…か・き・く・け・こ」
二人がこう言ってるだけで、もう嬉しい。ラーメンズのライブが始まったんだ、“TEXT”が始まったんだ、ってことを実感する。この先めくるめく言葉遊びの世界が待ってることが予感されて、ワクワクする。まだ何も面白いことは言ってないのに、にやにやしちゃう。そんな始まりでした。
うまいな、と思ったのが、役が替わるとき、相手がしゃべってるうちから、もうクルクルと回って替わり始めるところ。普通だったら相手がしゃべり終わってから替わると思うんだけど、たぶんそれだとテンポが悪くなる。相手の最後のセリフがまだ終わらないうちに、もう一人が次の役になりおわってることで、場面の転換が無理なくスムーズにいってる、さすが~と思いました。
オチもよかった。うまくまとまって、気持ちがいい。ナイスパット!
『ドラマチックダジャレ』
のっけからナンですが(ごはんじゃなくて。なんちて)、私、ダジャレ嫌いです。イヤ、ほんとに。夫も時々いいますが、舌打ちしたくなるほど嫌いです。まず、返し方がわかんない。笑ってやればいいの? でも笑えるダジャレってほんと少ないよね。おぉ~うまい!って感心してやればいいの? でもうまいダジャレってめったないよね。つっこめばいいの? でもなんて? そして、そうやって相手が困惑しているのに、いった本人はにやにや笑って満足顔。会話中なのに勝手に自己満足すな!こっちはテンション下がるんじゃ! ……と、そんなに怒らなくても、と自分でも思うくらい、ムッとしちゃう。それほど嫌い。
な~の~に~。小林くんがダジャレをやるとどーしてこんなにかっこいいの! やるなぁ! チクショウ!
四篇ありますが、どれも同じパターンのようで実はそれぞれ全然違う構成。
一番目の冒険家と商店街再生プロデューサーは、お互いのセリフはまったくリンクしない。ただ同音異義語という点だけでつながっている。
二番目の宇宙生命体対策本部の隊長とサラリーマンは、まったくちがうシチュエーションでそれぞれがしゃべってるはずなのに、なぜか会話が噛み合って?いる、という形。
三番目の定年退職前日の刑事とモテない男は、まったくちがうシチュエーションで発しているのに同じ言葉になるというパターン。
四番目の友達と携帯で話している男と鯉カレーを作っている男は、それぞれちがう人と話しているはずなのに、組み合わせると会話が成り立っている。
「同音異義語」という着想は同じなのに、こんなにパターンを変えて作れるなんて、小林くんてほんとにすごい。
暗転してるあいだに、小林くん、ガッツポーズしてたじゃないですか、何度か。だよねぇ、と思いました。
慎重に慎重に、ぬかりなく伏線を張っておいて、最後カチッカチッと音をたてるがごとく、あるべき言葉があるべきところに収まっていく快感!
観てる方がこれだけ気持ちいいんだから、作って演じてる方はさぞかし気持ちいいことでしょう。そりゃ出るわな、ガッツポーズ。
仁くんは大変だったろうなぁ、セリフ覚えと稽古。
小林くんには全体が見えてて、こうあるべき、というのがはっきりわかってるから大丈夫だろうけど、できあがったあのホンを「はい」って下ろされて演じる方はユルくなかったと思います。
小林くんは仁くんのこと、「よしよし、よくやったよくやった」ってほめてくれたかなぁ。頭なでなでしてくれてるといいなぁ。(何の妄想)
『透明人間と不透明人間』
これね……最初観たときは何も考えず、あはあは笑って観られたんです。
「おまえ…バカだもんなー」といわれた小林くんが仁くんのおでこをコツンとやるところに萌えたりしながら、何の屈託もなく楽しんでました。
(余談だけど、あそこはほんといいよね。萌えさせようと思ってやってることなんだろうな、とわかってはいても、まんまと萌えちゃうよね。あれね、よく観ると、小林くんがコツンとやる前に、もう仁くんはおでこをちょっと前に出して迎えに行っちゃってるんだよね。そこがまたかわいいでございます。)
ああ、何の悩みもないあのころが懐かしい。
……イヤ、何の話かというとですね。この公演を最後まで観てから、もう一度この「透明人間」コントを観ると。
せつないの! ムチャクチャせつないの!
「透明人間は存在する」「しかもそれは自分」ということを証明されちゃった仁くん。
「そっかー、オレは透明人間なのかー♪」ってニコニコするの。
せつねー!
もうこれを観ても、心からは笑えない……はぁ……
こんなにせつないものを観たのは久しぶりです。何以来だろう。全然思い出せない。あぁ~、せつないよぅ。
「透明人間てのはみんなの心の中にいるんだ!」
うん、そうよ!そうなのよ、仁くん!私も信じてるわ!って普通にシンパシー感じてこのセリフ聞いたりして。違うだろ、自分って思いつつ。はぁ~~
長くなったので2本に分けます。coming soon!
そして、仁くんが透明人間の存在を主張すればするほど、彼が愛おしくなりますv
いろんなこと感じていろんなこと考えても、所詮全部小林くんの手の平の上、って感じはしますよね、ほんとに。。。
『しかも、俺が透明人間』
っていう、あの嬉しそうな顔、よい表情してますよね♪
せつねーww
今回のTEXTは特になんだけど、どれほど深読みしても
それでも尚、小林さんの計算上なんじゃないか?って
思っちゃいますよねww
恐るべし、小林賢太郎。恐るべしラーメンズ。