久しぶりに面白い図鑑を見た。「世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑」というコピーはオーバーにせよ、私がこれまで見た生きもの図鑑では最も面白かった。発売後たちまち28万部突破のベストセラーになったそうで、アマゾンにも多くのレビューが寄せられている。まとめ方が変、という批判も見られたが、親子で楽しめる内容だろう。
タイトルで誤解されるが、本書は全てが絶滅したいきものを紹介する図鑑ではなく、最終5章は「絶滅しそうで、していない」生物10種類を取り上げている。その前の1~4章は絶滅した60種の生きもの。
タイトルで誤解されるが、本書は全てが絶滅したいきものを紹介する図鑑ではなく、最終5章は「絶滅しそうで、していない」生物10種類を取り上げている。その前の1~4章は絶滅した60種の生きもの。
1~4章のタイトルは「油断して、絶滅」「やりすぎて、絶滅」「不器用で、絶滅」「不運にも、絶滅」の順になっていて、60種の生きものはこれら4つのカテゴリーに入れられている。絶滅した生きものを紹介するときの見出しがまたユニークなのだ。
「パンダに負けて絶滅」(ギガントピテクス)、「イカ不足で絶滅」(魚竜)、「頭が悪くて絶滅」(ティラコスミルス)、「想像力がたりなくて絶滅」(ネアンデルタール人)等々……
図鑑に載っている生きものは一部を除き、一般にはなじみのない種ばかりだった。本書で初めて名を知った種が殆どで、人類により絶滅させられた生きものも載っている。そのひとつ「ブルーバック」は印象的だった。
「美しすぎて絶滅」と本書には紹介されており、「やりすぎて、絶滅」のカテゴリーに入れられている。名前通りの哺乳類には珍しい青く美しい毛皮目当てに乱獲され、1800年頃に絶滅したという。アフリカにおいて人間が滅ぼした初めての大型動物とされる。絶滅こそ逃れたが、毛皮目当てで乱獲、生息数が激減した生きものも少なくない。
本書のはじめには生き物が絶滅理由ランキングを3つ挙げ、圧倒的1位は地球のせい、つまり理不尽な環境の変化というのだ。地球の環境が大きく変わる度、殆どの生きものが滅ぶ「大絶滅」が5度も起きている。その都度生き物のメンバーはガラリと入れ替わり、生き残れるのはたまたま難を逃れたラッキーな生き物だけ。
「地球を前にしたら、強いとか弱いとか、そんなことはまったく関係ありません」というのだ。天変地異では現代人でもなすすべがない。
絶滅理由の第2位は他の生き物のせい、つまりライバルの出現という。自分より環境に適応したライバルに獲物や住処を奪われて絶滅が起きる。しかも、そのライバルは自分の子孫からも現れることもあるそうで、進化と生存競争は非情だ。
3位は人間のせい。確かに人類ほど他の生き物を滅ぼした種もいないが、1位2位に比べると割合はだいぶ少ない。地球上の生き物のうち、実に99.9パーセントの種が絶滅しているという一文には絶句した。はじめに監修者の今泉忠明氏は、絶滅についてシビアにこう述べている。
「たとえば、恐竜が絶滅したおかげで、鳥類やほ乳類は爆発的に進化しました。大絶滅をのりこえた生き物の中から、つぎの世代の動物があらわれたのです。わたしたちの祖先も、森がなくなって草原があらわれるという大事件でたくさんの類人猿が絶滅する中、それをのりこえたものが人類になりました。
このように、絶滅は自然のしくみのひとつですが、「自然が引き起こした絶滅」と「人類がかかわった絶滅」はまったく別。なぜならば、人間による絶滅はつぎの進化した動物をうみ出さないからです……」
古生代の生き物で最も知られる三葉虫もペルム紀末期に絶滅した。本書では「魚にねらわれて絶滅」とあるが、それでも実に3億年ちかくも生きていたのだ!滅んでいったほ乳類など、比べるのも情けない短命種である。
尤も上には上がいて、コノドント動物は中生代の三畳紀まで生きていた。化石がなければ、3億年以上も生きていた種がかつて地球に存在していたことは信じられないだろう。
但し、生き物の絶滅原因は諸説あり、単純には断定できない。著者・丸山貴史氏は「おわりに」でこう述べている。
「ほとんどの動物の絶滅した理由は、じつはよくわかっていません。ただ、化石を調べると、「ある時代にはこんな動物がいた」とか、「この時期には環境の変化があったらしい」ということはわかります。研究者たちはそれらのヒントをパズルのようにつないで、絶滅理由を想像しているにすぎないのです。この本で紹介している動物たちの絶滅理由も、たしかなものばかりではありません……」
はお仕舞でしょうし、イエローストーン火山が
60万年ぶりに「ちょいと屁の一つもこいてやるか」てなもんでも億単位で人が死にかねない。所詮自然の前には脆弱なものです。核兵器でも児戯みたいなものです。
この本に載っているかは知りませんが絶滅種でこれは酷いと思うのは「リヨコウバト」「ステラーダイカイギュウ」「ドードー」この辺はかわいそうです。逆にミリイヤガイはよくぞ滅ぼした!と
思えるのですが。
牛蒡剣さんが挙げた3種の生き物は全て載っていました。「数が多すぎて」「やさしすぎて」「のろますぎて」絶滅となっています。他にヨウスコウカワイルカが載っていましたが、「川がにごって絶滅」。それでもこの川で2000万年は生きていたそうです。
ミヤイリガイの絶滅は初めて知りました。日本住血吸虫症を引き起こすのであれば当然と思います。尤も体内に寄生虫がいると、アトピーになりにくいと言った研究者もいましたが。
撲滅して激減したが絶滅はしてなかったみたいです。「撲滅」という記述を絶滅の意味で捉えてました。少数ですがまだ山梨県に生息しているようです。ミヤイリガイて陸上も歩けるので水場を叩いただけでは滅ぼせなかったようです。数十年感染がおきてないので問題は小さいのでしょうが正直不気味です。
日本住血吸虫症撲滅の話は数年前に「オレ的ゲーム
速報」で紹介されておりそこで知りました100年あまりの山梨県民と医療関係者の戦いの逸話は感動的でWIKIの日本住血吸虫症ページは時々読み返したくなるほどよくまとまっており好きです。
日本住血吸虫症9/¥99/¥9:
https://ja.wikipedia.org/wiki/ミヤイリガイ
「オレ的ゲーム速報」には日本住血吸虫症撲滅の話が紹介されていたのでしたか。メディアよりネットの方が参考になります。
日本住血吸虫症ですが、日本だけに起きている病ではなかったのですね。中国、フィリピン、インドネシアなどでは現代でも感染者が発生しており、日本は住血吸虫症を撲滅制圧した世界唯一の国であるのは誇らしく思います。
https://ja.wikipedia.org/wiki/地方病_(日本住血吸虫症)