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『凍』 ノンフィクション

2009-03-24 16:09:56 | book
著者:沢木耕太郎

【内容】
最強のクライマーとの呼び声も高い山野井泰史。世界的名声を得ながら、ストイックなほど厳しい登山を続けている彼が選んだのは、ヒマラヤの難峰ギャチュンカンだった。だが彼は、妻とともにその美しい氷壁に挑み始めたとき、二人を待ち受ける壮絶な闘いの結末を知るはずもなかった—。絶望的状況下、究極の選択。鮮かに浮かび上がる奇跡の登山行と人間の絆、ノンフィクションの極北。講談社ノンフィクション賞受賞。


【感想】
すごい。強い。

極みを目指す人に共通することに「美しさの追究」があると思う。
クライマーなら、「美しいライン」。どのラインで登るのか。
ガリレオでは素晴らしい公式や解き方を「美しい」と表現していた。
そこでいう美しさは、無駄なものがまったくない、過不足のないものなのだと思う。
それってニアイコールで効率性なのか、と感じた。
おそれ多くも、私の目指しているのも「美しい答案」だ。



思わずDog earを作ってしまった箇所を抜粋。

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「二人に凍傷はあるものの、命に別状はないということです」
すると、電話の向こうで耳を澄ませていたらしい母親が、不意に大声で泣き出すのが聞こえた。それを聞いて大津は思った。死んだかもしれないという報にはぐっと耐えていた母親が、無事と知らされたとたん泣き出す。これはもしかしたら、日本の女性に独特のことかもしれないな、と。

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そうした中で、ここ数年の行き詰まりがあったのかもしれないのだ。K2の南南東稜からのソロを称賛してくれる人も少なくないが、自分でそれが大したものではないことがわかっていた。ここ数年、能力も気持も少しも高まらないで、平行線をたどっていた。このままズルズル行ったら「やばい」ことになるかもしれないというかすかな不安があった。だから、もしかしたら、ギャチュンカンの事故は起こるべくして起きたと言えるのかも知れない。たとえ、そこをうまく擦り抜けても、次に起きていたかもしれない。

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