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from Yemen vol.6

2009-03-22 12:02:29 | journey
(旅期間:08.5.26~08.6.16)

アブドゥルに会った最初の日、旧市街を歩いてる時に一人の男の子を紹介された。ザカリアという20歳の子。
アブドゥルの仲のいい友達。ザカリアは日本語を話す。流暢ではないけど、意思疎通には問題ない。
"彼は言ってます。明日の予定は何ですか。"みたいな日本語。

その日はザカリアとは挨拶した程度だったけど、次の日の夜はアブドゥルだけじゃなくザカリアも一緒だった。アラビア語と英語と日本語が飛び交い、分からないところはザカリアに助けてもらう。


(彼らにのせられてベールを被せられた。。。あんた誰?。。。)

アブドゥルと話してる時は彼の話は右から左に受流してる。大して実のある話はしてない。ほぼ褒め言葉と口説き文句で埋め尽くされてるから。でも今日はザカリアから面白い話が聞けた。

夕食を3人でとってるとき、ザカリアが中国に勉強しに行ってること、日本にも7月に学校見学に来る予定があることを聞いた。
ザカリアは私に将来の夢は何か聞いてきた。私も彼に尋ねた。
彼は将来、東大で国際政治を勉強したいらしく、7月の日本訪問もそのためらしい。
私は彼に、"将来は政治に関係する仕事につきたいの?"と聞いた。彼は、"私は将来イエメン大使になりたい"と答えた。
その話を聞いて、横で私たちのやりとりを見ていたアブドゥルに"彼は大きな夢を持ってるんだね"と言おうとしたら、ザカリアは"彼には私の夢のことを言わないで。"と言った。

なんで?すごく気になった。だって二人は小さいころから一緒に育った幼なじみで仲良しなんでしょう?

ザカリアに理由を聞いたら、彼はこう答えた。
"イエメン人は夢を持たない。最初から、難しい、無理無理、と言う。頑張ることをしない。だから私の夢のことを話すと、クレイジーだと言われる。私の家族も、無理だ、クレイジーだと言う。外国で出会った人に話をすると、みんな応援してくれるけど、イエメン人は違う。"

夢を持つことがイレギュラーだなんて。
家族にさえ応援されず、仲のいい友達にも夢を隠さなきゃならないなんて。


その後3人で昼間とは別の結婚式を見に行った。
男たちがたくさん集まり、踊り、笑い、手を叩き、新郎を祝福している。



みんな楽しそう。
私がカメラを構えると、新郎のそばにいた人が"こっちおいで!"と私を呼ぶ。
行ってみると、新郎の隣の席に座らされ、私のカメラで新郎と一緒の写真を撮ってくれた。
そして今度は私の方が彼らの被写体になるはめに。
彼らのカメラがたくさん向けられる。こんなこと初めてだー。

確かに、サナアの旧市街の人たちはみんなすごく幸せそう。
生まれたときから同じ場所で、周りは知り合いばかりで。困ったことがあれば周りの人が親身に相談に乗ってくれる。孤独とか過労なんてこととは無縁のように思える。
でも一方で、何か夢を持って頑張ろうとしてる人にとってはそれすら言いにくい雰囲気があって。

夢を持つことは大事で、夢を叶えるために頑張って、それを周りの人が応援してくれることなんて、当たり前だと思ってた節があるけど、そうじゃないこともあるんだな。
"自分探し"なんて言葉、そもそもここにいる人にとっては意味不明なことなのかも。
や、私は"自分探し"なんてしてないけど。

イエメンのレギュラーが今の日本ではおそらくイレギュラー。
イエメンのイレギュラーが日本ではレギュラー。

どっちがいいなんて言えないし、どっちが幸福かも人それぞれだろう。
幸福のアラビア。幸福の日本。


彼の言うことも一意見にすぎないけど、サナアいい街ーだけじゃなくて一歩踏み込めた気がする。
日本語ができるザカリアと知り合えたのはラッキーだった。彼がイエメンにおいてはちょっと異質な考えの持ち主だったがゆえに面白い話を聞けたのもラッキーな偶然だったと思う。




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