珍さんのトラブル・ガイド・ドサ回り編(その13)
(騒動的珍道中的記録於発展途上国)
「インドのホテル」
タクシーはエアコンも無く、日本のダンプの方が遥かに柔らかいと思える固いスプリングで、ガッタンゴットンと揺られること1時間で、目指す5ツ星の
ヒルトン・ホテルの玄関前にたどり着いたアルよ。玄関前には白いターバンを巻き赤いコート風の上っ張りを来たインド人の大男が2人居たアル。
タクシーはその前に止めずに、そこから10メートルほど手前に止めたアルよ。普通なら玄関のまん前につける筈アルが、なぜか手前の暗闇に止まったアル。妙な気がしたが仕方ないアルから、そこで降りることにしたアル。
料金を聞くと550ルピー(2000円)だと言うから、100ルピー(370円)のチップをやったら、「それじゃ少ない。200呉れ」と言う。料金が550ならチップは100から150で充分な筈アル。最初にエンストなんぞしやがるし、エアコンも無いボロ車に150もやるのは馬鹿馬鹿しいアルから、100にしたアル。それを200も要求しやがって、何が安全なタクシーのことか。100ルピーは350円くらいアルから、くれてやったアルが、ゼニに対する汚さも大阪人そっくりアルな。このオッサンに、
「オレ、今日初めてインドに来たアルから、インドのチップの相場を知らないアル。あの、ボーイには、荷物が5個アルから200ルピーじゃ少ないアルか」
と尋ねたら、何と
「ボーイを気に入ったら多くやればいい。しかし、チップをやり過ぎるの良くない。20ルピーもやれば充分」
と言いやがったアル。テメーは、2倍も要求しておいて、他人には10分の1でいいと言うアル。何という人種だ!やっぱりここは大阪アルか?
ドア・ボーイに荷物を運ばせチェックインして、エレベーターに向かったら、偉そうにヒゲを生やして軍服みたいな、いかつい制服を着たガードマンらしきオッサンが、
「何号室に行きまんねん?」
と聞くから、
「1234号室」
と答えると、そのオッサン、わざわざエレベーターに乗って、部屋まで案内し、
「ここが1234号室でんねん」
と言った。たかがこれたけでチップを要求するアルよ。
「珍さん目が見えるし日本の小学校出ているアルから、それくらい案内されなくても分かるのこと!」
と怒鳴りたかったアルが、システムを知らずに案内されてしまた以上、チップを払わざるを得ないアル。10ルピーたけ恵んでやったアル。まー、日本人と見るとどいつもこいつも金をせびりやがる。恥を知れ、恥を!おっと、ここは何てもありのデタラメ国インド、我慢、我慢。
部屋に入ると洗面所関係の汚さが目に余るほどアル。水道の蛇口からは
緑青(ロクショウ。化け学的に言うと塩基性炭酸銅CuCO3・Cu(OH)2)が吹き出していて、あんな水を飲んだら即死しそうな程アル。水を出してみると茶色く濁っており、油分で手がべたつくアルよ。こんな水で手を洗ったら却って汚くなるアル。しかも、蛇口のパッキング・ゴムが相当古いようで、水が止まらないアル。
珍さん、冷たい物を触ると便意を催す癖がアルようで、急に大の方をしたくなり、汚い便器に触らない様に尻を浮かせて用を足したアル。そして水を流した途端、アイヤー、台風の時に海岸に打ち寄せる高波のように、水が便器の手前の縁に当たり、凄い勢いでバッシャーンと上に跳ね上がったアルよ。
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お陰で珍さん、尻からズボンからビショビショアルよ。こんなトイレじゃ女性は小用の度にスカートもパンツも尻もビショビショアルよ。まったく汚いトイレアルよ。風呂に入って体を清めたくても、この水ではどうしようもないアル。
水が汚いことは想像の範囲内だったアルから、珍さん、日本からミネラル・ウォーターは勿論のこと、アルコール入りのウエット・ティッシュを持って来ていたアル。その後は洗面所の水は一切使わず、ウエット・ティッシュで手を拭いたアルよ。ドアのノブ、テレビのリモコン、貨幣、その他、インド人が触ったと想像される物は皆、必ずウエット・ティッシュで消毒したアル。
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何でミネラル・ウォーターまで持ち歩いていたかって?インドやフィリピンのミネラル・ウォーターなんぞ誰が信じるアルか。例え、フランスやスイス製のボトルに入っていたとしても、あの、大阪人のような金に汚いったねーフィリピン人だの、インド人が、なにやってるか分かったものじゃないアルからね。案の定、ヒルトン・ホテルの冷蔵庫に入っていたミネラル・ウォーターのボトルはベタベタで汚れていたアル。こんなもの触ったたけで、鼻が落ちそうアルよ。
鼻が落ちたらどうなるかって?
「ハナハホヒハラ、ハハヒハハヒホヒュッヘホ、ヒェンフ、ハヒフヘホホヒフホホヒハッヘヒハフヒョ、ハフハフ。ハヒ?ハヒホヒュッヘヒフハ、ヒェンヒェンハハハハヒッヘ?ヒャハ、ホンヒャフフフフ」
何?何を言っているか、全然分からないって?じゃあ、翻訳するよ。
「鼻が落ちたら、私がなにを言っても、全部、ハヒフヘホという音になてしまうよ。ハフハフ。何?何を言っているか、全然分からないって?じゃあ、翻訳するよ」
何を触ってもベタベタするホテルアルから、珍さん、ウエット・ティッシュをじゃんじゃん使って、絶対に病気がうつらないように気を付けていたアルよ。ところが、翌朝、歯を磨き、顔を洗って、自前のタオルで顔を拭き、次に手を拭こうとした時、珍さん、「アイヤー、早くも手に皮膚病が感染した」と驚いたアルよ。
手の皮膚が直径2センチ程、白くなているアル。「さすがインドの皮膚病、感染するのも早けれぱ、発病するのも早いアル」と妙な感心をしながら、恐る恐るタオルで拭いてみたら、なんと徐々に白い物が取れたアルよ。アイヤー、練り歯磨を気付かない内に手に落としていたらしいアル。珍さんが感染していたのは皮膚病ではなくて、インド恐怖症だったアル。
これほど、インド恐怖症の珍さん、インドの水は当然のこと、食い物もぜったい口にすまいと決めていたアルから、朝食には、日本から持っていったカップ焼きソバを食べたアルよ。お湯たけは携帯用湯沸かし器を持って行かなかったアルから、仕方なくルーム・サービスに頼むことにしたアル。カップ焼きソバを食うから、お湯を呉れなどと言っても、インド人には意味が分からないだろうアルから
「日本茶を飲みたいから、熱いお湯をポットで持って来て呉れ」
「お茶なら、中国茶がアルよ」
「中国茶は嫌いだ。日本茶を飲みたいから、お湯だけ持って来い」
「本当にお湯だけか」
「お湯だけだ」
お湯たけでは金を取れないアルから、何とか、金になるものを持って来ようとしているのは見え見えアル。お湯たけ貰うのに結構手間をくったアルよ。
しぱらくすると、ボーイがお湯を持って来たアルが、ポットに分厚いターバン型の袋を被せてあってなかなかしゃれているアル。ボーイに100ルピー札を渡したら、すごく喜んでいたアル。珍さん、気前が良くてチップをはずんだわけではないのこと。あの、真っ黒でドロドロで臭い札を少しても減らしたいアルから、くれてやったたけアル。ザマー見ろ。インドの物価をどんどん上げてやるアル。
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カップ焼きソバたけでは物足りないアルから、日本から持って来たザーサイ、メンマ、ラッキョウと赤貝の缶詰を食べたアルが、フランス料理なんぞより、はるかに旨かったアルよ。しかし、その日の昼と夜は、もう一度お湯を貰うのが面倒アルから、結局、翌日の朝、香港のホテルで朝食を食べるまで、自前のエビアン以外は一切、飲まず食わずで過ごしたアルよ。
ここまでやれば、まず、コレラも赤痢も肝炎もO-157も心配ないアルよ。お陰で今回のツアーでは下痢にならなかったアル。残った3個のカップ・ヌードルとカップ焼きソバを支局に置いて来たアルが、「貴重な物を」と感激されたアル。
このホテル、チェックアウトは12時までと書いてあったアルが、午前10時になったら、掃除のオッサンが入って来たアルよ。掃除をされたんじゃ落ち着いていられないアルから、仕方なくチェックアウトすることにしたアルが、いったい、なんちゅうホテルアルか。
歯ブラシは無いし、水道は緑青を吹いているし、水はベタベタ、トイレの水は便器から飛び出すし、ミネラル・ウォーターのボトルはベタベタ、テレビがチャンネル毎に音量が違う為、突如大音響で鳴り、慌てて音を下げなけれぱならなかったり、チェックアウト時間は守らないなどなど、数え上げれぱキリがない、実にいい加減なホテルで1泊2万5千円もふんだくるアルよ。チェックアウトの時、フロントのおっさんが、いけしゃあしゃあと
「ホテルは快適でしたか」
と尋ねたアルよ。このオッサン、頭がおかしいんじゃないかと思ったアルが、
「イヤー、実に快適でした。最高ですよ」
と答えておいたアル。何故、そんなことを言ったかって?クレームをつけて、それらが改善されてしまうと、次に泊まる人がインドを満喫できないからのことよ。第一、珍さん、1億円積まれようと、二度とインドなんぞへ行くつもりは無いアルから、あんなホテルがどうなろうと知ったこっちゃないアル。