【文房具:追記】
これについて、前回書き漏らしたことがある。
一つは鉛筆だ。作家や新聞記者は2Bの鉛筆を常用するらしい(消しゴムで消しやすいから)が、私はHBの鉛筆しかもたないし、滅多に使わない。原稿用紙に依頼原稿を書く時にも、万年筆かボールペンを使う。私の師匠の飯島宗一先生は、いきなり万年筆で書いて原稿用紙の最後のマス目に「。」が入って終りになった。あの芸当はだれにも真似ができないが、少なくともそれに近づくように努力している。
それで鉛筆は電話のメモを取るとか、買物のリストアップをメモするとかにしか使用しないから、10年経っても一本の鉛筆が1/3も減らない。長さが3cmくらいのちびた鉛筆も捨てないで、鉛筆ホルダーに挟んで予備にとってある。
もう一つは携行用のマルチ・ボールペンだ。これは長らく「ZEBRA Clip-On Multi」という4色ボールペン+0.5mm芯シャープペンを組み合わせたものを使ってきたが、軽すぎて筆圧が弱くなり、ボールの回転が悪くないインキ切れするので、不満だった。緑色だけ最後までインクが続きそうだが、他はすべてボールが動かなくなった。それにペンシルの芯が硬すぎて鮮やかな文字が書けない。
ところが、先日ある会合で「Mitsubishi Uni: JETSTREAM」という「4色(黒、赤、青、緑)+シャープ」のボールペンを手にする機会があった。重いので不審に思ったが、指先で握る部分が重く作ってあり、筆圧が高くなるように設計されている。「これだ!」と思ったので、本屋に出かけた時、併設された文具売り場をのぞいたら、シャープ、ボールペンともに0.5mm芯の「極細」というのがあった。値段は1000円で、図書券で買えるとあるので、新書6冊と一緒に買ってきた。
UNKNOWNさんも勧めていたが、これがまことに書きやすい。日記帳の行幅は7mmで、1日の出来事が10行以内に納まり、3〜4日分が1頁となるが、細い字で行をびっしり埋めるには0.5ミリ芯のボールペンがベストである。緑インクが切れたら、ZEBRAは廃棄して新しいものに切り換えたいと思っている。
「どうしてこれだけ書きやすさに差があるのか?」と思い、重さを量ってみたら、ゼブラ15.2gm、三菱23.5gmだった。グリップの構造は同じように見える(Fig1.)が、
(Fig.1:5色ボールペン。上がZEBRA、下が三菱製)
分解してみると、この部分が三菱は金属製で11.2gm、ゼブラはたった2.5gmだった。つまり三菱製はペン先に重量がかかるように作ってあり、これで筆圧が高まるようになっているから書きやすいのだとわかった。欠点は、少し重いからシャツの胸ポケットに挿すには向いていないかもしれない。
文字を書くための用具ではないが、各色の蛍光ペンは本に線(帯)を引くのに愛用している。この黄色は「コピーしても写らないのでよい」と最初に教わったのは、山口大学医学部長をしていた内野文弥教授(病理学)からだった。1980年代のことだ。
色は黄色の他に、緑、赤、青、橙の5色を用いている。単語や行に線を引くのに強調、重要箇所、疑問点や意味不明の箇所を区別するのに色分けしている。ボールペンでなくマーカーを用いるのは、水性蛍光ペンの方は退色が早くて、後にその本を再読した際にほとんど気にならないからだ。
当時はZEBRAの両端がフラットなものしかなかったが、今はコクヨ、プラチナなどいろんなメーカーが類似品を出している。(Fig.2)
(Fig.2:各種蛍光ペン。上からKokuyo, Zebra黄色, Zebra橙色, Zebra青, Zebra緑, Platina緑。PlatinaはダイソーのためのOEMのようだ。
コクヨのものはZEBRAにそっくりだが、1)芯の太さが大きい、2)芯先の角度が緩く、タッチ部分が広いという2点が違い、太い帯を引くのには適しているが、文庫本では太すぎて困る。そこで芯先を斜めにして線を引いている。
キャップ式でなく、ノック式のものもある。これはベッドで本を読む時に、左手に本、右手にもって必要なところにすぐ線を引けるので便利だ。キャップ式だとキャップを口にくわえる必要があるが、ノック式だと片手で操作できるのがよい。
最近は軸が透明でインクが見えるもの、インクがカートリッジ式のもの(プラチナの「Riviere」)など、多様化が進んでいる。
水性インクのパイロットHI-TECHペンは0.5ミリ芯なので、ずいぶん長持ちするが、蛍光ペンは一度に使用するインクが多いので、総じて短命である。おかげでビニール袋には使用済みの蛍光ペンの軸がたくさん溜まっている。
後、付箋があるが、これはもっぱら3M社の「Post-It」を愛用している。これにもいろいろ種類があるが、別の機会に触れたい。
要するに私が読んだ本は、マークと書き込み(それも4色の)だらけで、古本としての価値はない。こうなるのは和書に索引がないものが多く、用語のマークには索引語としての機能を持たせてあるからだ。
「出版不況」「本離れ」を嘆く前に、出版界は索引や参考文献が充実した、もっと高機能の本を出版すべきだと思う。電子本のKindleも使っているが、一覧性があり書き込みが自由な紙本はせめて英語のペンギン・ブックなみの付加価値があれば、決してKindleに負けることはないと思う。負けているのは出版社の怠慢のせいだろう。
これについて、前回書き漏らしたことがある。
一つは鉛筆だ。作家や新聞記者は2Bの鉛筆を常用するらしい(消しゴムで消しやすいから)が、私はHBの鉛筆しかもたないし、滅多に使わない。原稿用紙に依頼原稿を書く時にも、万年筆かボールペンを使う。私の師匠の飯島宗一先生は、いきなり万年筆で書いて原稿用紙の最後のマス目に「。」が入って終りになった。あの芸当はだれにも真似ができないが、少なくともそれに近づくように努力している。
それで鉛筆は電話のメモを取るとか、買物のリストアップをメモするとかにしか使用しないから、10年経っても一本の鉛筆が1/3も減らない。長さが3cmくらいのちびた鉛筆も捨てないで、鉛筆ホルダーに挟んで予備にとってある。
もう一つは携行用のマルチ・ボールペンだ。これは長らく「ZEBRA Clip-On Multi」という4色ボールペン+0.5mm芯シャープペンを組み合わせたものを使ってきたが、軽すぎて筆圧が弱くなり、ボールの回転が悪くないインキ切れするので、不満だった。緑色だけ最後までインクが続きそうだが、他はすべてボールが動かなくなった。それにペンシルの芯が硬すぎて鮮やかな文字が書けない。
ところが、先日ある会合で「Mitsubishi Uni: JETSTREAM」という「4色(黒、赤、青、緑)+シャープ」のボールペンを手にする機会があった。重いので不審に思ったが、指先で握る部分が重く作ってあり、筆圧が高くなるように設計されている。「これだ!」と思ったので、本屋に出かけた時、併設された文具売り場をのぞいたら、シャープ、ボールペンともに0.5mm芯の「極細」というのがあった。値段は1000円で、図書券で買えるとあるので、新書6冊と一緒に買ってきた。
UNKNOWNさんも勧めていたが、これがまことに書きやすい。日記帳の行幅は7mmで、1日の出来事が10行以内に納まり、3〜4日分が1頁となるが、細い字で行をびっしり埋めるには0.5ミリ芯のボールペンがベストである。緑インクが切れたら、ZEBRAは廃棄して新しいものに切り換えたいと思っている。
「どうしてこれだけ書きやすさに差があるのか?」と思い、重さを量ってみたら、ゼブラ15.2gm、三菱23.5gmだった。グリップの構造は同じように見える(Fig1.)が、
(Fig.1:5色ボールペン。上がZEBRA、下が三菱製)
分解してみると、この部分が三菱は金属製で11.2gm、ゼブラはたった2.5gmだった。つまり三菱製はペン先に重量がかかるように作ってあり、これで筆圧が高まるようになっているから書きやすいのだとわかった。欠点は、少し重いからシャツの胸ポケットに挿すには向いていないかもしれない。
文字を書くための用具ではないが、各色の蛍光ペンは本に線(帯)を引くのに愛用している。この黄色は「コピーしても写らないのでよい」と最初に教わったのは、山口大学医学部長をしていた内野文弥教授(病理学)からだった。1980年代のことだ。
色は黄色の他に、緑、赤、青、橙の5色を用いている。単語や行に線を引くのに強調、重要箇所、疑問点や意味不明の箇所を区別するのに色分けしている。ボールペンでなくマーカーを用いるのは、水性蛍光ペンの方は退色が早くて、後にその本を再読した際にほとんど気にならないからだ。
当時はZEBRAの両端がフラットなものしかなかったが、今はコクヨ、プラチナなどいろんなメーカーが類似品を出している。(Fig.2)
(Fig.2:各種蛍光ペン。上からKokuyo, Zebra黄色, Zebra橙色, Zebra青, Zebra緑, Platina緑。PlatinaはダイソーのためのOEMのようだ。
コクヨのものはZEBRAにそっくりだが、1)芯の太さが大きい、2)芯先の角度が緩く、タッチ部分が広いという2点が違い、太い帯を引くのには適しているが、文庫本では太すぎて困る。そこで芯先を斜めにして線を引いている。
キャップ式でなく、ノック式のものもある。これはベッドで本を読む時に、左手に本、右手にもって必要なところにすぐ線を引けるので便利だ。キャップ式だとキャップを口にくわえる必要があるが、ノック式だと片手で操作できるのがよい。
最近は軸が透明でインクが見えるもの、インクがカートリッジ式のもの(プラチナの「Riviere」)など、多様化が進んでいる。
水性インクのパイロットHI-TECHペンは0.5ミリ芯なので、ずいぶん長持ちするが、蛍光ペンは一度に使用するインクが多いので、総じて短命である。おかげでビニール袋には使用済みの蛍光ペンの軸がたくさん溜まっている。
後、付箋があるが、これはもっぱら3M社の「Post-It」を愛用している。これにもいろいろ種類があるが、別の機会に触れたい。
要するに私が読んだ本は、マークと書き込み(それも4色の)だらけで、古本としての価値はない。こうなるのは和書に索引がないものが多く、用語のマークには索引語としての機能を持たせてあるからだ。
「出版不況」「本離れ」を嘆く前に、出版界は索引や参考文献が充実した、もっと高機能の本を出版すべきだと思う。電子本のKindleも使っているが、一覧性があり書き込みが自由な紙本はせめて英語のペンギン・ブックなみの付加価値があれば、決してKindleに負けることはないと思う。負けているのは出版社の怠慢のせいだろう。
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