【宿題代行業】
明日から学校が始まるという8月の最終日の夜6時半頃、自宅の電話が鳴った。出てみると女性で「レークヒルに住むM」と名乗った。やにわに「味噌について調べているので、前に福富町で講演された渡邊先生の味噌についての文献を教えてほしい」という。家内のレストラン「サンサーラ開店10周年」記念で、渡邊昌先生に食と健康についての講演をお願いしたのは事実だが、あれは去年のことだ。
不審に思って尋ねてみると、小学校に通う子供の夏の宿題の自由課題で「味噌と健康」というテーマを選んだが、明日提出という今日になって親が読んでみると、内容的にもの足らないので、発酵で日本酒や味噌を自製して売り出しているMという大きな農家に頼んで味噌のパンフレットをもらってきたりして、「論文」に箔づけしているという。レポートに引用文献で重みを付けようというのは「学卒」の発想である。
あいにく家内は外出しているのでそういうと、「ケータイの番号を教えてくれ」という。外出先でこんな電話をもらってもどうしようもない。「8時過ぎには帰ると思うので、その頃また電話してください」というと、「いつ帰られるかわからないから、帰られたら電話してください」という。言葉は敬語だが、精神は傲慢である。
明日提出の宿題を前の日の午後になって、親がその内容が不十分と知り、あわてふためいている。全校で12人しかいない生徒だから、この話はすぐ口コミで受け持ちの教師まで届くだろう。子供の宿題を親が助けてやるというのは、ある程度わからぬでもないが、こういうふうに第三者まで巻き込むなんて、私には理解できない。
と思っていたら、「週刊ポスト」9/19/26号に「宿題代行は<悪>なのか」という特集記事が載っていた。なんといまや全国に「宿題代行」業者が大手から零細まで20社以上あり、増加中だそうだ。料金は「読書感想文(400字詰め原稿用紙)1枚、5,000~8,000円」、「絵画1枚4,000円」だそうだ。
これは売れない作家の原稿料より、よほど高いだろう。
子供が書いたと見せかけるために「適当に誤字脱字を入れる。子供の文字サンプルを送れば、それに似せて手書きで納品」というサービスもあるという。http://www.sakubun-daiko.com/
ある団体のアンケートによれば、「親の80%以上が子供の夏休みの宿題を手伝っている」そうだ。
この特集では以下の4つの論点について、識者の意見が述べられている。
1 宿題代行は悪徳ビジネスなのか?
2 宿題代行に頼む親はズルイのか?
3 代行されるような宿題を出す教師は悪くないのか?
4 夏休みに本当にやるべきこととは?
この週刊誌は9/5号で<「宿題代行業者」に我が子の課題を頼んでみた>という体験ルポを掲載したら、テレビやスポーツ紙で反響を呼んだので、再び取り上げたのだそうだ。
問題の根底には「金を払って他人に知的創造活動を依頼し、その成果を自分のものとして詐称する」という行為があり、「佐村河内事件」ではここが糾弾されたはずだ。
ただこういうビジネスの持続可能性は、「需要」によって決まる。
受験予備校も塾も初めは異端視されていたが、やがて日本型システムの一部として認知された過程がある。
それにしてもまともな教師なら、生徒が自分でやった宿題か、親がやったのか、それとも業者がやったのか、の区別くらいはつくと思うが…。
明日から学校が始まるという8月の最終日の夜6時半頃、自宅の電話が鳴った。出てみると女性で「レークヒルに住むM」と名乗った。やにわに「味噌について調べているので、前に福富町で講演された渡邊先生の味噌についての文献を教えてほしい」という。家内のレストラン「サンサーラ開店10周年」記念で、渡邊昌先生に食と健康についての講演をお願いしたのは事実だが、あれは去年のことだ。
不審に思って尋ねてみると、小学校に通う子供の夏の宿題の自由課題で「味噌と健康」というテーマを選んだが、明日提出という今日になって親が読んでみると、内容的にもの足らないので、発酵で日本酒や味噌を自製して売り出しているMという大きな農家に頼んで味噌のパンフレットをもらってきたりして、「論文」に箔づけしているという。レポートに引用文献で重みを付けようというのは「学卒」の発想である。
あいにく家内は外出しているのでそういうと、「ケータイの番号を教えてくれ」という。外出先でこんな電話をもらってもどうしようもない。「8時過ぎには帰ると思うので、その頃また電話してください」というと、「いつ帰られるかわからないから、帰られたら電話してください」という。言葉は敬語だが、精神は傲慢である。
明日提出の宿題を前の日の午後になって、親がその内容が不十分と知り、あわてふためいている。全校で12人しかいない生徒だから、この話はすぐ口コミで受け持ちの教師まで届くだろう。子供の宿題を親が助けてやるというのは、ある程度わからぬでもないが、こういうふうに第三者まで巻き込むなんて、私には理解できない。
と思っていたら、「週刊ポスト」9/19/26号に「宿題代行は<悪>なのか」という特集記事が載っていた。なんといまや全国に「宿題代行」業者が大手から零細まで20社以上あり、増加中だそうだ。料金は「読書感想文(400字詰め原稿用紙)1枚、5,000~8,000円」、「絵画1枚4,000円」だそうだ。
これは売れない作家の原稿料より、よほど高いだろう。
子供が書いたと見せかけるために「適当に誤字脱字を入れる。子供の文字サンプルを送れば、それに似せて手書きで納品」というサービスもあるという。http://www.sakubun-daiko.com/
ある団体のアンケートによれば、「親の80%以上が子供の夏休みの宿題を手伝っている」そうだ。
この特集では以下の4つの論点について、識者の意見が述べられている。
1 宿題代行は悪徳ビジネスなのか?
2 宿題代行に頼む親はズルイのか?
3 代行されるような宿題を出す教師は悪くないのか?
4 夏休みに本当にやるべきこととは?
この週刊誌は9/5号で<「宿題代行業者」に我が子の課題を頼んでみた>という体験ルポを掲載したら、テレビやスポーツ紙で反響を呼んだので、再び取り上げたのだそうだ。
問題の根底には「金を払って他人に知的創造活動を依頼し、その成果を自分のものとして詐称する」という行為があり、「佐村河内事件」ではここが糾弾されたはずだ。
ただこういうビジネスの持続可能性は、「需要」によって決まる。
受験予備校も塾も初めは異端視されていたが、やがて日本型システムの一部として認知された過程がある。
それにしてもまともな教師なら、生徒が自分でやった宿題か、親がやったのか、それとも業者がやったのか、の区別くらいはつくと思うが…。
10年ほど前に、某商社が社会貢献活動として、夏休みの宿題の手伝いを上げていたことがありました。丸々手伝うのでなく、自由研究のヒントを与えたり、調べ方を教えるのであれば、社会貢献と言えると思います。代行業もそういう方向なら意味があるのに。
材料ないならおしえよう。
つちやま