ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【死刑】難波先生より

2013-10-22 12:27:16 | 難波紘二先生
【死刑】10/18の韓国「東亜日報」がイランで「絞首刑」執行後の死刑囚が翌日生き返っていたと報じている。
 http://japanese.donga.com/srv/service.php3?biid=2013101823468
 「医師が処刑12分後に死亡を確認」、「翌朝死体置き場で、職員が被せたビニール・シートに水滴が付着しているのを発見」、「今は(元死刑囚の)健康は良好」など、不審な記述もあるし、ニュース・ソースの記載もない。
 が、事実としたら死刑制度とこの場合の「死刑再執行」が許されるかどうか、興味深い問題を提起することになると思う。日本メディアはなぜこれを報じないのか?


 韓国は「死刑制度」そのものを廃止してはいないが、金大中大統領の時代以来、普通犯に対する死刑執行が停止されており「実質的死刑廃止国」になっている。日本は中国、イスラム圏とならんで死刑廃止後進国だ。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/韓国における死刑


 イランの絞首刑は公開処刑で、しかも死刑囚の首に縄を巻いて、上に吊し上げるという方式だ。これだと窒息死を待つしかない。日本の死刑は「ロング・ドロップ方式」といって、首に縄を巻いた巻いた状態で床が下に開くので、身体が一気に数メートル落下し、この時に頸椎が折れる。よって肺が動かなくなり窒息死する。心臓はそれでも動くから、15分以上経って、医師が心電図で心停止を判定する。
 「1951年、ロンドンの英国外科医師会の正式機関は、絞首刑に処せられた36人の死体解剖の結果、2例は処刑後5時間、10例は7時間以上、心臓が動いていたと明らかにした。」(マネスティエ「図説・死刑全書」,原書房, 1996, P.261)


 「ロング・ドロップ方式」だと、死刑囚の体重に合わせて首つり縄の長さをかげんしないと、首がちょん切れることがある。ちょん切れると胴体の側から大出血が起こるので、死体を受ける部屋は血だらけになる。
 EU加盟国は死刑を全廃したが、米国では電気椅子処刑が残っている。2000Vの高圧電流を使用するが、まれに死亡に至らない例があった。そこで今では薬物注射が主流になっている。
 臓器供給源として死刑を増加させたのが、中国だ。1980年頃から「外貨獲得」資源として、急速に死刑執行例数が増えた。


 日本では「死刑執行」は秘密主義になっているので、その実態が一般市民に知られず、観念的な「死刑支持論者」が多い。典型例が「裁判員裁判」だ。殺人事件の現場写真を見せられて、「心理的トラウマ」を受けたと主張する裁判員が出てくる。
 死刑判決を担当した検事は死刑執行に立ち会う。死刑執行には裁判に関係した裁判員も立ち会うべきだと思う。
 つまり「人を殺した」という理由で、死刑を主張した本人が「人を殺す」という立場になってみるがよい。このパラドックスに気づかないようでは、どうにもならない。
 私は死刑制度に反対ですが、存続するのならベッカリア「犯罪と刑罰」が述べたように、国民が交代で死刑執行人をつとめるように制度を変更すべきだと思います。どうせ死刑執行は刑務官がやるのだと思っていて、裁判員は安易に死刑判決を下しがちです。
 死刑執行を自分の手でやったら、「精神的トラウマ」どころではすみませんよ。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【横書き】難波先生より | トップ | 【訂正】難波先生より »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

難波紘二先生」カテゴリの最新記事