【がんもどき理論:さまざまな批判】
=勝俣本=
山形県新庄市の読者から勝俣範之『医療否定本の嘘:ミリオンセラー近藤本に騙されないがん治療の真実』(扶桑社、2015/7)を恵送された。感謝します。
著者の勝俣医師は、
1963年、山梨県生、88年富山医科薬科大卒、89年茅ヶ崎徳洲会病院内科研修医、92年国立癌センター病院レジデント、2003年同院薬物療法部医長、10年、同院乳腺科腫瘍内科外来医長をへて、11年、日本医大の武蔵小杉病院腫瘍内科部長(教授)という経歴の人だ。
一般向け著書は、『「抗がん剤は効かない」の罪』(毎日新聞社、2014/3)があり、2冊目のようだ。
序章=「近藤誠医師は功績を残したはずなのに」
1989年当時、慶応大の放射線科講師だった近藤誠がこの病院に週1回アルバイトに来ていて、「ホジキン病」の患者を担当していた勝俣が近藤のアドバイスを受けそうだ。「インフォームドコンセントにより、患者さんに治療法(化学療法OR放射線療法)を選んでもらうという方法を、私は近藤医師から教わりました」と正直に書いている。なら自分の恩師ではないか。
=近藤医師の指摘で(「ランセット」掲載論文の)結果が変わった=
胃がん切除後にサルノコシカケから抽出した「クレスチン」という免疫補強剤を投与したら成績がよくなったという日本からの論文に、統計処理の誤りがあるとして、近藤医師が「レター欄」に投稿した。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7913194
指摘された論文では、胃がん以外で死亡した患者を「中途打ち切り」として扱い、解析から除外していた。(進行中の「修復腎移植」裁判で、「高原発表」がこの逆をやっているのではないかと問題になっている点である。統計は「望む結果」を出す手品のようなものだ。)
それで論文の筆者は「胃がん以外の死亡も<死亡>として扱ったら、生存率に有意差は認められなかった」として「訂正声明」を「ランセット」誌に載せたそうだ。
これが契機となって、溶連菌から抽出したピシバニールなどの「免疫療法」系の抗癌剤がこけた。同様にDNA阻害剤ウラシル(商品名:ユーエフティ,UFT)の効果にも疑問符がついた。
この点でも近藤誠の功績は大きい。
=日本人女性の乳房を救ってくれた=
「文藝春秋」連載の近藤の記事「乳がんは切らずに治せる」が患者に受け容れられ、市民団体を動かし、今日「乳房温存手術」が標準治療となったことを勝俣は讃えている。
それなのにあえて第1章「<がんもどき>理論の嘘」を設け、副題に「ミリオンセラー近藤本に騙されないがん治療の真実」と書いたのは、近藤本に便乗して本を売りたい出版社と知名度をあげ、「集客力」を高めたい著者の品格の問題だろう。
P.37に掲載されている「全国32がん専門病院における全身転移のあるⅣ期がんの5年生存率」を見ると、以下のようになっている。(手術・抗がん剤・放射線治療の結果)
肺ガン=2.7〜5% (なぜここだけレインジ表示になっているのか、理解できない。)
胃がん=7.5%
乳がん=35.0%
大腸がん=15.0%
子宮頸がん=20.5%
子宮体部癌=22.7%
客観的にこの数値を見れば、「進行がんは治らない」というのが正しい。「治る」とは「ほとんど全員が治る」という場合にいう。「結核が治る」とはそういう意味だ。
p.118にはこうある。
「今、がんで亡くなる人の8割が急性期病院で亡くなっています。自宅で最期を迎えるのはほんの1割、ホスピスが7%ほど。…日本ではなぜ、多くのがん患者さんが急性期病棟で亡くなっているのかというと、<最期の最期まで抗がん剤治療を受けている>ことが大きな要因」。
これは近藤誠や中村仁一の主張と同じものだ。要するに「抗がん剤は多少の延命効果しかない」と認めていることになろう。
腫瘍内科医にとっての抗がん剤は、外科医のメスみたいなものだから、「放置療法」をすすめる近藤誠は敵だろう(かつて恩師だったとしても)。そういう意味で気持ちはわかるが、内容は手前味噌でデータなどにも内部矛盾が多い。索引も参考にした文献のリストもない。
私はPubMedが使えるから、クレスチンの薬効に異議を唱えた近藤誠レターを上記のようにさぐり当てたが、勝俣の表記法はわざと読者が探せないようにしている(筆者の箔付けに雑誌名が利用されている)としか思えない。索引もない。
こういうのは「良心的著者」とはいえない。勝俣本への私の評価は★3つである。
<付記1=9/10共同が北大名誉教授の訃報を伝えている。
「寺沢 浩一氏(てらざわ・こういち=北海道大名誉教授、法医学)4日午前1時55分、すい臓がんのため札幌市中央区の自宅で死去、63歳。東京都出身。自宅は札幌市中央区宮の森。葬儀・告別式は近親者で行った。」(定年=63歳前に依願退職したのか?)発病時期や診断時病期がわからないが、北大病院が全力をつくしても、膵がん死を防げなかったということだろう。「北大研究者総覧」によると、2014年の授業を担当しているから、早生まれのため2015/3に定年退職したのかも知れない。いずれにせよ、膵体部がんの典型的な自然死をたどっている。膵体部がんなら今でも診断確定後の1年生存率は20%以下であろう。>
<付記2=山口仲美『大学教授がガンになってわかったこと』(幻冬社新書)の「T大学病院」が東大病院であることが確定した。「T大学病院は膵臓手術では件数が全国レベルでもトップクラスにある」という記載(p.115)とその引用文献が、以下のURLに振られているのでわかった。
http://caloo.jp/rbhw/code/11
山口女史は表の手術件数が「肝臓ガン、膵ガン、胆管ガン、副腎ガンの手術」の合計であることを読み取れなかったようだ。病床数あたりの手術数を計算していない。1位の癌研有明病院は314/700床、5位の東大病院は256/1,217床、7位の国立がんセンターは231/600床、10位の広島大病院は201/746床、18位の北大病院は167/946床となる。病床数あたりの「肝胆膵」手術率を比較すれば、
がんセンター:38.5%、癌研:26.9%、広島大:26.9%、東大:21%、北大:17.7%となり、順位は入れ替わる。
東大病院のHPを見ると2013年度(2013/4〜2014/3)の「膵臓・脾臓の腫瘍」手術として「134件」あり、「東京都で3位、全国で10位」とある。術式は類似しているが、膵臓腫瘍と脾臓腫瘍は全く異なる。両者を一緒にする東大の統計はおかしい。
この<http://caloo.jp/>というサイトは「病院口コミ・サイト」で得体の知れない団体がやっているようだ。
この人も立花隆と同じで「東大病院」信者であろう。
和田秀樹『だから、これまでの健康・医学常識を疑え!』(ワック出版)という本の新聞広告を見たら、「東大病院を有名人が避けるのはなぜ?」という文言があって驚いた。
これはアマゾンから取りよせ、別途コメントする予定。>
=神前五郎の「近藤理論批判」=
「がんもどき理論を撤回せよ:近藤誠医師X神前五郎医師の白熱大論争」(週刊朝日WEB新書, 2013/9)という電子ブックに出会った。PDF 15ページで250円もした。
http://astand.asahi.com/webshinsho/asahipub/weeklyasahi/charge/2013091300003.html
ダウンロードしたら8MBもある。これは普通のPCで読める。
神前五郎は山崎豊子『白い巨塔』の主人公財前五郎のモデルとされた阪大の外科医・教授だった。今年3月95歳で死去した。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E5%89%8D%E4%BA%94%E9%83%8E
その神前(94)が阪大外科医局の同門会誌に「近藤誠批判」の論評を書き、それを「週刊朝日」に手紙を添えて送ってきたことから、両者の対論が可能になった。近藤が骨折のため入院中の神前を病室に訪問、2時間半わたる二人の討論を記者がまとめたものだ。
神前さんは血液学会の会員でもあったが、それは外科医として「血液凝固」に関心があったためで、白血病や悪性リンパ腫など血液がんの専門家ではない。悪性リンパ腫の放射線治療がメインだった近藤は、病理学教室で学位をもらっている。
だから二人の話は噛みあわない。唯一両者が一致したのは、
「手術の時に、腹膜に播種している斑点が認められたら、その時点で腹をとじる。がんに手を加えると増殖してしまう」という神前の意見を、
「それは慧眼です。腹膜播種があるのに、手術してはいけない」と近藤が応じた点のみ。
神前の感想=「いろいろ話してみても、やはりがんもどき理論は架空の考え方。論拠が不確かで認めることはできない。」
近藤の感想=「早期胃がんを手術する根拠、放っておけば転移して死んでしまう、ということは実証されなかった。ただ、転移があるがんをむやみに手術してはいけない、という点については一致できた。そこは有意義だった。」
神前五郎は、
★近藤誠(編著)『「がんと闘うな」論争集:患者・医者関係を見直すために』(日本アクセル・シュプリンガー, 1997/11)、
★近藤誠(編著)『がん専門医よ、真実を語れ』(文芸春秋、1997/3)
を読んでいないのではないか、と思った。
この対談後、神前氏は「週刊医事新報」に「近藤 誠さんは、医師免許を持ったSF作家さんです。」という遺稿を寄せたとM3にある。(「医事新報」記事は未読。誰か手元に雑誌があれば、pdfで記事を送ってもらえないだろうか?)
特に後者『がん専門医よ、真実を語れ』にある宮田親平(医学ジャーナリスト)と近藤誠の対談(初出「諸君!」1997/1月号)では、1996/10/19に横浜市で開かれた「日本消化器集団検診学会」でのシンポジウムの模様を、近藤が招待演者として、宮田が取材記者として、学会幹部の言行(本音と建て前)を暴露していて、とても興味深い。
=勝俣本=
山形県新庄市の読者から勝俣範之『医療否定本の嘘:ミリオンセラー近藤本に騙されないがん治療の真実』(扶桑社、2015/7)を恵送された。感謝します。
著者の勝俣医師は、
1963年、山梨県生、88年富山医科薬科大卒、89年茅ヶ崎徳洲会病院内科研修医、92年国立癌センター病院レジデント、2003年同院薬物療法部医長、10年、同院乳腺科腫瘍内科外来医長をへて、11年、日本医大の武蔵小杉病院腫瘍内科部長(教授)という経歴の人だ。
一般向け著書は、『「抗がん剤は効かない」の罪』(毎日新聞社、2014/3)があり、2冊目のようだ。
序章=「近藤誠医師は功績を残したはずなのに」
1989年当時、慶応大の放射線科講師だった近藤誠がこの病院に週1回アルバイトに来ていて、「ホジキン病」の患者を担当していた勝俣が近藤のアドバイスを受けそうだ。「インフォームドコンセントにより、患者さんに治療法(化学療法OR放射線療法)を選んでもらうという方法を、私は近藤医師から教わりました」と正直に書いている。なら自分の恩師ではないか。
=近藤医師の指摘で(「ランセット」掲載論文の)結果が変わった=
胃がん切除後にサルノコシカケから抽出した「クレスチン」という免疫補強剤を投与したら成績がよくなったという日本からの論文に、統計処理の誤りがあるとして、近藤医師が「レター欄」に投稿した。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/7913194
指摘された論文では、胃がん以外で死亡した患者を「中途打ち切り」として扱い、解析から除外していた。(進行中の「修復腎移植」裁判で、「高原発表」がこの逆をやっているのではないかと問題になっている点である。統計は「望む結果」を出す手品のようなものだ。)
それで論文の筆者は「胃がん以外の死亡も<死亡>として扱ったら、生存率に有意差は認められなかった」として「訂正声明」を「ランセット」誌に載せたそうだ。
これが契機となって、溶連菌から抽出したピシバニールなどの「免疫療法」系の抗癌剤がこけた。同様にDNA阻害剤ウラシル(商品名:ユーエフティ,UFT)の効果にも疑問符がついた。
この点でも近藤誠の功績は大きい。
=日本人女性の乳房を救ってくれた=
「文藝春秋」連載の近藤の記事「乳がんは切らずに治せる」が患者に受け容れられ、市民団体を動かし、今日「乳房温存手術」が標準治療となったことを勝俣は讃えている。
それなのにあえて第1章「<がんもどき>理論の嘘」を設け、副題に「ミリオンセラー近藤本に騙されないがん治療の真実」と書いたのは、近藤本に便乗して本を売りたい出版社と知名度をあげ、「集客力」を高めたい著者の品格の問題だろう。
P.37に掲載されている「全国32がん専門病院における全身転移のあるⅣ期がんの5年生存率」を見ると、以下のようになっている。(手術・抗がん剤・放射線治療の結果)
肺ガン=2.7〜5% (なぜここだけレインジ表示になっているのか、理解できない。)
胃がん=7.5%
乳がん=35.0%
大腸がん=15.0%
子宮頸がん=20.5%
子宮体部癌=22.7%
客観的にこの数値を見れば、「進行がんは治らない」というのが正しい。「治る」とは「ほとんど全員が治る」という場合にいう。「結核が治る」とはそういう意味だ。
p.118にはこうある。
「今、がんで亡くなる人の8割が急性期病院で亡くなっています。自宅で最期を迎えるのはほんの1割、ホスピスが7%ほど。…日本ではなぜ、多くのがん患者さんが急性期病棟で亡くなっているのかというと、<最期の最期まで抗がん剤治療を受けている>ことが大きな要因」。
これは近藤誠や中村仁一の主張と同じものだ。要するに「抗がん剤は多少の延命効果しかない」と認めていることになろう。
腫瘍内科医にとっての抗がん剤は、外科医のメスみたいなものだから、「放置療法」をすすめる近藤誠は敵だろう(かつて恩師だったとしても)。そういう意味で気持ちはわかるが、内容は手前味噌でデータなどにも内部矛盾が多い。索引も参考にした文献のリストもない。
私はPubMedが使えるから、クレスチンの薬効に異議を唱えた近藤誠レターを上記のようにさぐり当てたが、勝俣の表記法はわざと読者が探せないようにしている(筆者の箔付けに雑誌名が利用されている)としか思えない。索引もない。
こういうのは「良心的著者」とはいえない。勝俣本への私の評価は★3つである。
<付記1=9/10共同が北大名誉教授の訃報を伝えている。
「寺沢 浩一氏(てらざわ・こういち=北海道大名誉教授、法医学)4日午前1時55分、すい臓がんのため札幌市中央区の自宅で死去、63歳。東京都出身。自宅は札幌市中央区宮の森。葬儀・告別式は近親者で行った。」(定年=63歳前に依願退職したのか?)発病時期や診断時病期がわからないが、北大病院が全力をつくしても、膵がん死を防げなかったということだろう。「北大研究者総覧」によると、2014年の授業を担当しているから、早生まれのため2015/3に定年退職したのかも知れない。いずれにせよ、膵体部がんの典型的な自然死をたどっている。膵体部がんなら今でも診断確定後の1年生存率は20%以下であろう。>
<付記2=山口仲美『大学教授がガンになってわかったこと』(幻冬社新書)の「T大学病院」が東大病院であることが確定した。「T大学病院は膵臓手術では件数が全国レベルでもトップクラスにある」という記載(p.115)とその引用文献が、以下のURLに振られているのでわかった。
http://caloo.jp/rbhw/code/11
山口女史は表の手術件数が「肝臓ガン、膵ガン、胆管ガン、副腎ガンの手術」の合計であることを読み取れなかったようだ。病床数あたりの手術数を計算していない。1位の癌研有明病院は314/700床、5位の東大病院は256/1,217床、7位の国立がんセンターは231/600床、10位の広島大病院は201/746床、18位の北大病院は167/946床となる。病床数あたりの「肝胆膵」手術率を比較すれば、
がんセンター:38.5%、癌研:26.9%、広島大:26.9%、東大:21%、北大:17.7%となり、順位は入れ替わる。
東大病院のHPを見ると2013年度(2013/4〜2014/3)の「膵臓・脾臓の腫瘍」手術として「134件」あり、「東京都で3位、全国で10位」とある。術式は類似しているが、膵臓腫瘍と脾臓腫瘍は全く異なる。両者を一緒にする東大の統計はおかしい。
この<http://caloo.jp/>というサイトは「病院口コミ・サイト」で得体の知れない団体がやっているようだ。
この人も立花隆と同じで「東大病院」信者であろう。
和田秀樹『だから、これまでの健康・医学常識を疑え!』(ワック出版)という本の新聞広告を見たら、「東大病院を有名人が避けるのはなぜ?」という文言があって驚いた。
これはアマゾンから取りよせ、別途コメントする予定。>
=神前五郎の「近藤理論批判」=
「がんもどき理論を撤回せよ:近藤誠医師X神前五郎医師の白熱大論争」(週刊朝日WEB新書, 2013/9)という電子ブックに出会った。PDF 15ページで250円もした。
http://astand.asahi.com/webshinsho/asahipub/weeklyasahi/charge/2013091300003.html
ダウンロードしたら8MBもある。これは普通のPCで読める。
神前五郎は山崎豊子『白い巨塔』の主人公財前五郎のモデルとされた阪大の外科医・教授だった。今年3月95歳で死去した。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E5%89%8D%E4%BA%94%E9%83%8E
その神前(94)が阪大外科医局の同門会誌に「近藤誠批判」の論評を書き、それを「週刊朝日」に手紙を添えて送ってきたことから、両者の対論が可能になった。近藤が骨折のため入院中の神前を病室に訪問、2時間半わたる二人の討論を記者がまとめたものだ。
神前さんは血液学会の会員でもあったが、それは外科医として「血液凝固」に関心があったためで、白血病や悪性リンパ腫など血液がんの専門家ではない。悪性リンパ腫の放射線治療がメインだった近藤は、病理学教室で学位をもらっている。
だから二人の話は噛みあわない。唯一両者が一致したのは、
「手術の時に、腹膜に播種している斑点が認められたら、その時点で腹をとじる。がんに手を加えると増殖してしまう」という神前の意見を、
「それは慧眼です。腹膜播種があるのに、手術してはいけない」と近藤が応じた点のみ。
神前の感想=「いろいろ話してみても、やはりがんもどき理論は架空の考え方。論拠が不確かで認めることはできない。」
近藤の感想=「早期胃がんを手術する根拠、放っておけば転移して死んでしまう、ということは実証されなかった。ただ、転移があるがんをむやみに手術してはいけない、という点については一致できた。そこは有意義だった。」
神前五郎は、
★近藤誠(編著)『「がんと闘うな」論争集:患者・医者関係を見直すために』(日本アクセル・シュプリンガー, 1997/11)、
★近藤誠(編著)『がん専門医よ、真実を語れ』(文芸春秋、1997/3)
を読んでいないのではないか、と思った。
この対談後、神前氏は「週刊医事新報」に「近藤 誠さんは、医師免許を持ったSF作家さんです。」という遺稿を寄せたとM3にある。(「医事新報」記事は未読。誰か手元に雑誌があれば、pdfで記事を送ってもらえないだろうか?)
特に後者『がん専門医よ、真実を語れ』にある宮田親平(医学ジャーナリスト)と近藤誠の対談(初出「諸君!」1997/1月号)では、1996/10/19に横浜市で開かれた「日本消化器集団検診学会」でのシンポジウムの模様を、近藤が招待演者として、宮田が取材記者として、学会幹部の言行(本音と建て前)を暴露していて、とても興味深い。
現時点で用いられている外科療法や化学療法は、対照区よりも臨床試験における成績がよいというエビデンスを元に採用されています。近藤氏は、大衆受けする本を書いて口先で主張していますが、がんもどきとやらを実証する臨床試験を行っていません。科学的根拠のない主張は理論とは呼べません。