【書評など】
1)エフロブ「買いたい新書」書評にNO.189: 水島昇「オートファジーの謎」をアップしました。
http://www.frob.co.jp/kaitaishinsho/book_review.php?id=1380867758
当初、メディア予測でこの現象を解明した日本の研究者、大隅良典と著者の水島昇が今年のノーベル医学生理学賞の最有力候補と報道されたので、「予定稿」として用意したのですが、美事にはずれました。
そういう意味では失敗書評です。物理学賞のヒッグス粒子は適中し、翌週、書評を掲載できましたが…
白血球やマクロファージが、「掃除屋」として細菌や他の死んだ細胞を食べる現象は「貪食作用」としてよく知られています。他者(ヘテロ)を食べるので異種貪食(ヘテロファジー)とも呼ばれてきました。
細胞が自分を食べる現象を「オートファジー(APG)」といいます。「自分」といっても、ヘビが自分の体を尻尾から呑みこむような現象ではなく、自己の細胞質の中にある旧くなった「細胞内小器官」などを水解小体(リゾソーム)という袋に取り込み、消化分解するわけです。
我々の体の細胞が、脳細胞を例外として絶えず入れ替わっているように(例えば口の粘膜細胞の寿命は2日、胃や腸の上皮細胞は2~3日、赤血球は120日)、細胞の中にある細胞内小器官も入れ替えが必要になります。
APGは主に酵母菌で研究されて来ましたが、哺乳類や植物でも働いていて、 飢餓に対する耐性をもたらします。その仕組みとして, p62という特異なタンパク質の細胞内蓄積を防ぐことが解明されています。細胞内にp62が過剰蓄積すると酸化ストレスが活性化され、寿命の短縮や免疫力の低下をもたらすことが明らかになっています。他にもAPG病ともいうべきものが見つかっています。
ストレスが体に悪いということは、現象的にはよく知られていますが、それが細胞レベルでどのように悪影響を及ぼすかという点については不明の点が多かったのですが、p62というタンパク質の発見とそれを調節するメカニズムの解明が進んでいますので、やがて「APG病」という新しい概念が整理され、病気を分子レベルで理解し、新しい治療薬の開発にも役立つだろうと思います。
最終的にはノーベル賞から落ちましたが、まだ望みが完全に消えたわけではありませんので、ご一読をおすすめします。
2) 11/1「産経」に渡辺昇一:「名著で読む世界史」(扶桑社)の広告が4段で、半面を使って載っている。扶桑社は産経資本だから、別に不思議ではないが、挙げられている13冊がすべて戰争か陰謀の書だ。
①ヘロドトス「歴史」=ペルシア戦争の由来を述べた有名書。小アジアのハリカリナッソスに生まれた著者は、ペルシア、エジプト、ギリシアと広く旅行して資料を集めて、これを書いた。古典中の古典である。これは岩波文庫に3冊本がある。
②トゥキディデス「歴史」=ペロネソス戰争の原因とアテネの戦いぶりを途中まで書いたもの。ここに記録されたアテネの政治家ペリクレスの演説は、リンカーン大統領が「ゲティスバーグ演説」の手本にしたので有名。
「戦史」という訳名で岩波文庫に3冊本がある。
③カエサル「ガリア戦記」=ガリア(今日のフランス)における自分の戦いを記録したもの。この書でカエサルは文人としても名を残した。これも岩波文庫にある。
④タキトゥス「ゲルマーニア」=ライン川の向こうに住むゲルマン人の風習とその戦い方を記録。堕落したローマ人に「ゲルマン人に倣え」と叱咤激励した書。これも岩波文庫にある。
⑤塩野七生「ローマ人の物語」=モンタネッリ「ローマの歴史」(中公文庫)をタネ本に、ディオドロス「歴史の図書館」、ポリュビオス「世界史」、プルタルコス「対比列伝」などから抜き書きしたもの。日本の財界人のバイブル。
⑥ドーソン「ヨーロッパの形成」= Chrisopher Dawson(1889-1970)はカトリックの作家だが、その名前は英語の「ウェブスター人名辞典」に載っていない。{The Making of Europe」(1923)は邦訳が1種だけある。
http://www.amazon.co.jp/ヨーロッパの形成―ヨーロッパ統一史叙説-名著翻訳叢書-クリストファー-ドーソン/dp/4423492156/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1383478195&sr=1-1&keywords=ドーソン%E3%80%80ヨーロッパの形成
英語WIKIにはこの書は代表作に入っていない。
http://en.wikipedia.org/wiki/Christopher_Dawson
なんでこんな本が名著として選ばれるのか、不思議だ。
⑦マキアヴェッリ「君主論」=独裁君主の心得と政敵を倒すための術策を述べたもの。
塩野七生の愛読書。岩波文庫に1冊本がある。
⑧クラウゼヴィッツ「戰争論」=「戰争とは武力による政治の延長」というテーゼが有名。岩波文庫に3冊本がある。
⑨渡辺昇一「ドイツ参謀本部」(中公文庫)=ゲルリッツ「ドイツ参謀本部興亡史(上・下)」の抜粋本。本家の本が邦訳される前に出したから、日本では「盗作」騒ぎにならなかった。
⑩シュペングラー「西洋の没落」=ワイマール時代に書かれた非観主義の書。
文庫本では出ていない。
⑪チェスタートン(渡辺昇一訳)「アメリカ史」=「チェスタートン」という名前の有名人には「ブラウン神父」シリーズの探偵小説を書いたG.K.Chestertonしかいないし、彼にアメリカ史に関する本はない。AMAZONのコマーシャルを見ると、
http://www.amazon.co.jp/アメリカ史の真実-チェスタトン/dp/4396650477/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1383296641&sr=1-1&keywords=チェスタートン%E3%80%80アメリカ史
訳者が渡辺昇一となっている。恐らくこれはかつて山本七平が「日本人とユダヤ人」をイザヤ・ベンダサン著(山本七平訳)として刊行したのと同じだろう。
⑫マコーリー「イングランド史」=1859に死んだ英国の貴族で、明治・大正時代にはその「英国史」5巻はよく読まれたが、現在では「ウエブスター人名辞典」にも収録されていない。
⑬ベロック「The Jews」= Hilaire Bellocの「The Jews」は、1922年にカリフォルニア大学から出版されている。
http://www.amazon.co.jp/The-Jews-Hilaire-Belloc/dp/B006EVNZM4/ref=sr_1_4?s=english-books&ie=UTF8&qid=1383298057&sr=1-4
しかし邦訳の存在も、名著だという評価も知らない。ユダヤ人についてなら、C.ロス「ユダ人の歴史」(みすず書房)、ポール・ジョンソン「ユダ人の歴史(上・下)」(徳間書房)という手頃な概説書がある。
前に「死ぬ前に読んでおきたい1001冊」という英語の本を紹介したが、日本人の本はもちろんのこと、ここに挙げられた外国人の著書は1冊も含まれていない。
こういう本をいちいち原本邦訳で読んでいてはきりがない。
幸い講談社学術文庫に、林健太郎・澤田昭夫による「原典による歴史学入門」という好著があり、マキャベリまでの著者とマコーリー「英国史」は要約が載っているので、それを通読するのが便利だろう。⑬のベロックの本は、アマゾンからキンドル版が100円で出ている。
それにしても自著、自訳書2冊を名著として推薦するのは厚かましいと思うが、推薦する方にしてみれば、それほど自信があるのだろう。
東大名誉教授で歴史学専攻の山内昌之「歴史学の名著30」(ちくま新書)があげている本と渡部本に共通しているのは、ヘロドトスとツキジデスの2点しかない。
3)青山淳平「小説・修復腎移植」が好評のようです。「NPO移植への理解を求める会」(向田陽二会長)の会報最近号が、AMAZONのレビューを採録していますので添付します。(添付A)
いま見ると、レビューが4本から6本に増えています。こういう本はベストセラーになるでしょう。
高橋幸春「透析患者を救う!修復腎移植」(彩流社)は出たばかりで、新聞広告もまだだし、今からだと思います。
◆米ユタ州マレー市におられる藤田先生からメールがあり、自病院でも「修復腎移植」を行ったそうです。お元気でご活躍のご様子、何よりです。
<ドナーは20代後半女性で、右腎臓が骨盤内にあり、長年痛みを訴えていた。本人が腎臓摘出を希望し、腎臓内科医師から相談を受けた。
患者に、解剖的な理由で、腹腔鏡手術は危険なので、開腹手術になること、もし使えなら、移植に用いていいか尋ねたところ、快く承諾を受けた。別の医師による面接ののち、腎臓を摘出し、第三者(20代の患者)への移植を行った。骨盤内腎臓の解剖学的な構造がかなり複雑で、難しい手術だったが、何とか無事に終了し、両者とも術後経過良好です。>
この解剖学的位置の異常や腎動脈瘤、血管筋脂肪腫、外傷性腎破裂などの腎臓を修復して移植に使用する「良性修復腎移植」はピッツバーグのAlleghney総合病院のD.D. Nghiem博士が44例を1993年に、Transplant. Procに報告しています。
ところが当時、1980年にコロラド大からピッツバーグ大に移った腎移植のパイオニアトーマス・スターズルがピッツバーグにいた。彼の自叙伝「ゼロからの出発」(講談社)には、デンバーから「腎移植チーム」を引き連れて赴任した結果、移植医療の縄張りをめぐって「医科大学と病院のあいだで、縄張り争いが生じた」と書いており、アレニー病院もナイエム博士のこともちっとも出て来ない。
ピッツバーグで肝移植を始めたスターズルは、たちまちヒーローになったから、「修復腎移植」は無視されたのかもしれません。
デンバーでスターズルはUCLAからも勧誘を受けており、もし彼がカリフォルニアに行っていたら、事態は変わっていたかも知れない。歴史には往々にしてそういうことがあります。
ともかく、米国では次第に修復腎移植がひろく実施されつつあるようで、好ましい事態だと思います。結局日本は、「海外で広まったから日本でもやろう」ということになるのかもしれません。情けない話ですが…
4)「一日中、机に座っていると下肢静脈血栓症(エコノミー症候群)になるぞ」とある医師の友人に忠告され、彼がPILOTという名称の、褥創防止用クッションを贈ってくれました。老人の患者に長時間の手術をおこなうと、術中に体位変換ができないので、床ずれが起こることがあるそうで、それを防止するために開発された商品だそうです。
使った感じは、昔の「あずき枕」をフラットにした感じで、裏面がざらざらになっているのでずれませんし、上面は柔かでクッション機能が優れています。
目下、一番下に普通のクッションを敷き、その上に座骨の突起部(座骨結節)がはまる穴のあいた、特殊クッションを載せ、その上にこの「床ずれ防止クッション」を敷いて、デスク・ワークをしています。臀部の脂肪がなくなったので、普通の椅子だとお尻が痛くなりますが、これだと10時間坐っていても平気です。(添付1)
このクッションは重いので、下の2つのクッションを押さえてくれ、ズレが起こらないので助かります。おかげで下肢血行不良も起こらず、下肢静脈瘤も発生していません。ありがとうございました。
私と同じように「座業」が主要時間を占めている方には、おすすめの品です。
アメリカの「Action Products」という会社の製品で、「The Pilot」という商品名です。会社の所在地を見ると、マリーランド州・ハガースタウンとなっています。(これはゲティスバーグの古戦場の西にある町で、確か昔、行ったことがあります。)
医療器具ではありませんので、AMAZONで購入できると思います。
1)エフロブ「買いたい新書」書評にNO.189: 水島昇「オートファジーの謎」をアップしました。
http://www.frob.co.jp/kaitaishinsho/book_review.php?id=1380867758
当初、メディア予測でこの現象を解明した日本の研究者、大隅良典と著者の水島昇が今年のノーベル医学生理学賞の最有力候補と報道されたので、「予定稿」として用意したのですが、美事にはずれました。
そういう意味では失敗書評です。物理学賞のヒッグス粒子は適中し、翌週、書評を掲載できましたが…
白血球やマクロファージが、「掃除屋」として細菌や他の死んだ細胞を食べる現象は「貪食作用」としてよく知られています。他者(ヘテロ)を食べるので異種貪食(ヘテロファジー)とも呼ばれてきました。
細胞が自分を食べる現象を「オートファジー(APG)」といいます。「自分」といっても、ヘビが自分の体を尻尾から呑みこむような現象ではなく、自己の細胞質の中にある旧くなった「細胞内小器官」などを水解小体(リゾソーム)という袋に取り込み、消化分解するわけです。
我々の体の細胞が、脳細胞を例外として絶えず入れ替わっているように(例えば口の粘膜細胞の寿命は2日、胃や腸の上皮細胞は2~3日、赤血球は120日)、細胞の中にある細胞内小器官も入れ替えが必要になります。
APGは主に酵母菌で研究されて来ましたが、哺乳類や植物でも働いていて、 飢餓に対する耐性をもたらします。その仕組みとして, p62という特異なタンパク質の細胞内蓄積を防ぐことが解明されています。細胞内にp62が過剰蓄積すると酸化ストレスが活性化され、寿命の短縮や免疫力の低下をもたらすことが明らかになっています。他にもAPG病ともいうべきものが見つかっています。
ストレスが体に悪いということは、現象的にはよく知られていますが、それが細胞レベルでどのように悪影響を及ぼすかという点については不明の点が多かったのですが、p62というタンパク質の発見とそれを調節するメカニズムの解明が進んでいますので、やがて「APG病」という新しい概念が整理され、病気を分子レベルで理解し、新しい治療薬の開発にも役立つだろうと思います。
最終的にはノーベル賞から落ちましたが、まだ望みが完全に消えたわけではありませんので、ご一読をおすすめします。
2) 11/1「産経」に渡辺昇一:「名著で読む世界史」(扶桑社)の広告が4段で、半面を使って載っている。扶桑社は産経資本だから、別に不思議ではないが、挙げられている13冊がすべて戰争か陰謀の書だ。
①ヘロドトス「歴史」=ペルシア戦争の由来を述べた有名書。小アジアのハリカリナッソスに生まれた著者は、ペルシア、エジプト、ギリシアと広く旅行して資料を集めて、これを書いた。古典中の古典である。これは岩波文庫に3冊本がある。
②トゥキディデス「歴史」=ペロネソス戰争の原因とアテネの戦いぶりを途中まで書いたもの。ここに記録されたアテネの政治家ペリクレスの演説は、リンカーン大統領が「ゲティスバーグ演説」の手本にしたので有名。
「戦史」という訳名で岩波文庫に3冊本がある。
③カエサル「ガリア戦記」=ガリア(今日のフランス)における自分の戦いを記録したもの。この書でカエサルは文人としても名を残した。これも岩波文庫にある。
④タキトゥス「ゲルマーニア」=ライン川の向こうに住むゲルマン人の風習とその戦い方を記録。堕落したローマ人に「ゲルマン人に倣え」と叱咤激励した書。これも岩波文庫にある。
⑤塩野七生「ローマ人の物語」=モンタネッリ「ローマの歴史」(中公文庫)をタネ本に、ディオドロス「歴史の図書館」、ポリュビオス「世界史」、プルタルコス「対比列伝」などから抜き書きしたもの。日本の財界人のバイブル。
⑥ドーソン「ヨーロッパの形成」= Chrisopher Dawson(1889-1970)はカトリックの作家だが、その名前は英語の「ウェブスター人名辞典」に載っていない。{The Making of Europe」(1923)は邦訳が1種だけある。
http://www.amazon.co.jp/ヨーロッパの形成―ヨーロッパ統一史叙説-名著翻訳叢書-クリストファー-ドーソン/dp/4423492156/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1383478195&sr=1-1&keywords=ドーソン%E3%80%80ヨーロッパの形成
英語WIKIにはこの書は代表作に入っていない。
http://en.wikipedia.org/wiki/Christopher_Dawson
なんでこんな本が名著として選ばれるのか、不思議だ。
⑦マキアヴェッリ「君主論」=独裁君主の心得と政敵を倒すための術策を述べたもの。
塩野七生の愛読書。岩波文庫に1冊本がある。
⑧クラウゼヴィッツ「戰争論」=「戰争とは武力による政治の延長」というテーゼが有名。岩波文庫に3冊本がある。
⑨渡辺昇一「ドイツ参謀本部」(中公文庫)=ゲルリッツ「ドイツ参謀本部興亡史(上・下)」の抜粋本。本家の本が邦訳される前に出したから、日本では「盗作」騒ぎにならなかった。
⑩シュペングラー「西洋の没落」=ワイマール時代に書かれた非観主義の書。
文庫本では出ていない。
⑪チェスタートン(渡辺昇一訳)「アメリカ史」=「チェスタートン」という名前の有名人には「ブラウン神父」シリーズの探偵小説を書いたG.K.Chestertonしかいないし、彼にアメリカ史に関する本はない。AMAZONのコマーシャルを見ると、
http://www.amazon.co.jp/アメリカ史の真実-チェスタトン/dp/4396650477/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1383296641&sr=1-1&keywords=チェスタートン%E3%80%80アメリカ史
訳者が渡辺昇一となっている。恐らくこれはかつて山本七平が「日本人とユダヤ人」をイザヤ・ベンダサン著(山本七平訳)として刊行したのと同じだろう。
⑫マコーリー「イングランド史」=1859に死んだ英国の貴族で、明治・大正時代にはその「英国史」5巻はよく読まれたが、現在では「ウエブスター人名辞典」にも収録されていない。
⑬ベロック「The Jews」= Hilaire Bellocの「The Jews」は、1922年にカリフォルニア大学から出版されている。
http://www.amazon.co.jp/The-Jews-Hilaire-Belloc/dp/B006EVNZM4/ref=sr_1_4?s=english-books&ie=UTF8&qid=1383298057&sr=1-4
しかし邦訳の存在も、名著だという評価も知らない。ユダヤ人についてなら、C.ロス「ユダ人の歴史」(みすず書房)、ポール・ジョンソン「ユダ人の歴史(上・下)」(徳間書房)という手頃な概説書がある。
前に「死ぬ前に読んでおきたい1001冊」という英語の本を紹介したが、日本人の本はもちろんのこと、ここに挙げられた外国人の著書は1冊も含まれていない。
こういう本をいちいち原本邦訳で読んでいてはきりがない。
幸い講談社学術文庫に、林健太郎・澤田昭夫による「原典による歴史学入門」という好著があり、マキャベリまでの著者とマコーリー「英国史」は要約が載っているので、それを通読するのが便利だろう。⑬のベロックの本は、アマゾンからキンドル版が100円で出ている。
それにしても自著、自訳書2冊を名著として推薦するのは厚かましいと思うが、推薦する方にしてみれば、それほど自信があるのだろう。
東大名誉教授で歴史学専攻の山内昌之「歴史学の名著30」(ちくま新書)があげている本と渡部本に共通しているのは、ヘロドトスとツキジデスの2点しかない。
3)青山淳平「小説・修復腎移植」が好評のようです。「NPO移植への理解を求める会」(向田陽二会長)の会報最近号が、AMAZONのレビューを採録していますので添付します。(添付A)


高橋幸春「透析患者を救う!修復腎移植」(彩流社)は出たばかりで、新聞広告もまだだし、今からだと思います。
◆米ユタ州マレー市におられる藤田先生からメールがあり、自病院でも「修復腎移植」を行ったそうです。お元気でご活躍のご様子、何よりです。
<ドナーは20代後半女性で、右腎臓が骨盤内にあり、長年痛みを訴えていた。本人が腎臓摘出を希望し、腎臓内科医師から相談を受けた。
患者に、解剖的な理由で、腹腔鏡手術は危険なので、開腹手術になること、もし使えなら、移植に用いていいか尋ねたところ、快く承諾を受けた。別の医師による面接ののち、腎臓を摘出し、第三者(20代の患者)への移植を行った。骨盤内腎臓の解剖学的な構造がかなり複雑で、難しい手術だったが、何とか無事に終了し、両者とも術後経過良好です。>
この解剖学的位置の異常や腎動脈瘤、血管筋脂肪腫、外傷性腎破裂などの腎臓を修復して移植に使用する「良性修復腎移植」はピッツバーグのAlleghney総合病院のD.D. Nghiem博士が44例を1993年に、Transplant. Procに報告しています。
ところが当時、1980年にコロラド大からピッツバーグ大に移った腎移植のパイオニアトーマス・スターズルがピッツバーグにいた。彼の自叙伝「ゼロからの出発」(講談社)には、デンバーから「腎移植チーム」を引き連れて赴任した結果、移植医療の縄張りをめぐって「医科大学と病院のあいだで、縄張り争いが生じた」と書いており、アレニー病院もナイエム博士のこともちっとも出て来ない。
ピッツバーグで肝移植を始めたスターズルは、たちまちヒーローになったから、「修復腎移植」は無視されたのかもしれません。
デンバーでスターズルはUCLAからも勧誘を受けており、もし彼がカリフォルニアに行っていたら、事態は変わっていたかも知れない。歴史には往々にしてそういうことがあります。
ともかく、米国では次第に修復腎移植がひろく実施されつつあるようで、好ましい事態だと思います。結局日本は、「海外で広まったから日本でもやろう」ということになるのかもしれません。情けない話ですが…
4)「一日中、机に座っていると下肢静脈血栓症(エコノミー症候群)になるぞ」とある医師の友人に忠告され、彼がPILOTという名称の、褥創防止用クッションを贈ってくれました。老人の患者に長時間の手術をおこなうと、術中に体位変換ができないので、床ずれが起こることがあるそうで、それを防止するために開発された商品だそうです。
使った感じは、昔の「あずき枕」をフラットにした感じで、裏面がざらざらになっているのでずれませんし、上面は柔かでクッション機能が優れています。
目下、一番下に普通のクッションを敷き、その上に座骨の突起部(座骨結節)がはまる穴のあいた、特殊クッションを載せ、その上にこの「床ずれ防止クッション」を敷いて、デスク・ワークをしています。臀部の脂肪がなくなったので、普通の椅子だとお尻が痛くなりますが、これだと10時間坐っていても平気です。(添付1)

このクッションは重いので、下の2つのクッションを押さえてくれ、ズレが起こらないので助かります。おかげで下肢血行不良も起こらず、下肢静脈瘤も発生していません。ありがとうございました。
私と同じように「座業」が主要時間を占めている方には、おすすめの品です。
アメリカの「Action Products」という会社の製品で、「The Pilot」という商品名です。会社の所在地を見ると、マリーランド州・ハガースタウンとなっています。(これはゲティスバーグの古戦場の西にある町で、確か昔、行ったことがあります。)
医療器具ではありませんので、AMAZONで購入できると思います。
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