【先が見えた】東京行きにSVD「カサブランカ」を持参した。機内で観たが、離陸と着陸の時に電子器機の使用を禁じられるので半時間も見ていられなかった。3度目だが、やはり名画だと思う。
ナチス強制収容所を脱出して、モロッコのカサブランカに妻とともに逃れてくるオーストリアのレジスタンス指導者は、日本人と結婚したクーデンホーフ・カレルギーの息子だという説があるが、確かめていない。
「リベルテ・エガリテ・フラタニテ」とフランス語で書かれた看板が写る。英語人には自明だから邦訳はでない。
「自由・平等・博愛」、フランス革命のスローガンだ。
そのフラタニテに相当する英語がフィランソロピーPhilanthropy=人類愛、博愛主義だ。19世紀、ユダ系英国人サー・モーゼ・モンテフィオーレは奴隷制廃止、アメリカ・インディアンへの差別廃止、ユダヤ人の救済のために活動した。ホジキン病の発見者トマス・ホジキンは彼の同志としてパレスチナに同行する途中、消化器病で客死した。墓はイスラエルのジャッファにある。
モンテフィオーレの名は、世界各地の「モンテフィオーレ病院」に残っている。
徳洲会は世界各地に病院を建設している。その収益は「現地で使う。日本には持ち帰らない」というのが方針だ。
ブルガリアの首都ソフィアで会ったベルギー人に、「徳洲会とはどういう組織ですか?」と聞かれ、そういう説明をしたら、即座に「それはフィランソロピーだ」といわれ、「なるほどそういうことか」と得心がいった。これまで「個人的なボランティア活動」をいうと思っていたからだ。
「日揮」の関係者の葬儀が報じられている。これまでのところ、犠牲者の半数が「派遣社員」だったことが判明した。彼らは博愛精神で現地に行ったわけではない。働き口がないから行ったのだ。日揮はどうか、これも外資ベンチャーから仕事を請けおっただけで博愛主義ではない。金儲け主義だ。
だから現地の信頼も尊敬もない。外国政府やメディアからも「お気の毒だ」というひと言もない。葬儀にアルジェリア大使が参列するのか?
アルジェリア人を血も涙もない人だと考えるとしたらそれは間違いだろう。「眼には眼を、恩には恩を」が砂漠の掟だ。現にアルジェリア人に生命を救われた人質もいる。
事件への政府の対応を「評価する」と答えた国民が6割もいると新聞が報じているのに驚いた。政府は遺体運搬に専用機を出しただけではないか。本来は日揮がすべきことを政府が負担する。おかしな話だ。
その同じ国民がイラクでは、人質にされた民間人のボランティアを「自己責任」と非難した。
自己責任は海外へ進出する企業がまず考えなければいけないことだろう。従業員の生命をまもる、これが何よりも重要なことだ。この原則が放棄されても非難されなければ、国内の企業も同じことをやるだろう。
安倍首相はそのことを自覚していない。
それどころか、「財政出動、日銀人事」が「危機突破」だそうだ。
小渕首相は「40兆円の借金」を財政出動でつくり、自らを「借金王」と自嘲したが、経済は復興せず、脳梗塞で死んだ。口の悪い田中真紀子が「小渕さんがおだぶつになった」と発言して物議をかもした。
その後の小泉首相は160兆円の国債を発行した。
財政出動のねらいは、公共投資による景気刺激という従来のケインズ経済学の手法によるものだ。
インフレは起こるが、今の資本主義は昔と違うから、景気は回復しない。そもそも「景気」の概念がいまは変わっているのだ。
起こるのは悪性インフレ。第一次大戦後のドイツでは、レストランに入る前と勘定をする時では値段が変わるほど、急激な物価上昇が起こり、困り果てた国民は、結局ナチス党に望みを託した。
日銀とその独立は、明治10年の西南戦争で政府が通貨を発行しすぎ、戦後猛烈なインフレが起こったために、通貨管理を政府から独立した日銀が行うことにし、設置されたものだ。西洋先進国はもっと前にこれをやっている。
紙幣が兌換券で、発行額にみあった金塊を日銀が金庫に保管しなければいけない時代には、悪性インフレは起きなかった。
戦後のインフレは、昭和の初めに政府が「兌換性停止」を行ったから起きた。あれで国際は紙くずになったのである。
安倍首相は、政府のいいなりになる日銀総裁を選ぼうとしている。国会人事だから野党を買収しなければ通過しない。
ねらいは明白で、「日銀による国債引き受け」である。政府が発行する国債を日銀が自動的に購入する。日銀は紙幣を増刷すればよいだけだから、いくらでもキャッシュを政府に提供できる。
こうして打出の小槌が手に入るわけだから、思うように政府が金を使えるというわけだ。いったんインフレが始まったら「2%」などという目標値がコントロールできるはずがない。みなが「インフレだ」と思えば、「宵越しの金」をもたなくなりすぐにモノに換えるので、通貨の流通速度が速くなり、結果として「流通通貨量/単位時間」が増えて行くからだ。
これは日銀でも政府でも制御不能である。そうなれば国債は紙くずになる。
この道を歩む限り、安倍内閣の命運は見えたも同然だ。
ナチス強制収容所を脱出して、モロッコのカサブランカに妻とともに逃れてくるオーストリアのレジスタンス指導者は、日本人と結婚したクーデンホーフ・カレルギーの息子だという説があるが、確かめていない。
「リベルテ・エガリテ・フラタニテ」とフランス語で書かれた看板が写る。英語人には自明だから邦訳はでない。
「自由・平等・博愛」、フランス革命のスローガンだ。
そのフラタニテに相当する英語がフィランソロピーPhilanthropy=人類愛、博愛主義だ。19世紀、ユダ系英国人サー・モーゼ・モンテフィオーレは奴隷制廃止、アメリカ・インディアンへの差別廃止、ユダヤ人の救済のために活動した。ホジキン病の発見者トマス・ホジキンは彼の同志としてパレスチナに同行する途中、消化器病で客死した。墓はイスラエルのジャッファにある。
モンテフィオーレの名は、世界各地の「モンテフィオーレ病院」に残っている。
徳洲会は世界各地に病院を建設している。その収益は「現地で使う。日本には持ち帰らない」というのが方針だ。
ブルガリアの首都ソフィアで会ったベルギー人に、「徳洲会とはどういう組織ですか?」と聞かれ、そういう説明をしたら、即座に「それはフィランソロピーだ」といわれ、「なるほどそういうことか」と得心がいった。これまで「個人的なボランティア活動」をいうと思っていたからだ。
「日揮」の関係者の葬儀が報じられている。これまでのところ、犠牲者の半数が「派遣社員」だったことが判明した。彼らは博愛精神で現地に行ったわけではない。働き口がないから行ったのだ。日揮はどうか、これも外資ベンチャーから仕事を請けおっただけで博愛主義ではない。金儲け主義だ。
だから現地の信頼も尊敬もない。外国政府やメディアからも「お気の毒だ」というひと言もない。葬儀にアルジェリア大使が参列するのか?
アルジェリア人を血も涙もない人だと考えるとしたらそれは間違いだろう。「眼には眼を、恩には恩を」が砂漠の掟だ。現にアルジェリア人に生命を救われた人質もいる。
事件への政府の対応を「評価する」と答えた国民が6割もいると新聞が報じているのに驚いた。政府は遺体運搬に専用機を出しただけではないか。本来は日揮がすべきことを政府が負担する。おかしな話だ。
その同じ国民がイラクでは、人質にされた民間人のボランティアを「自己責任」と非難した。
自己責任は海外へ進出する企業がまず考えなければいけないことだろう。従業員の生命をまもる、これが何よりも重要なことだ。この原則が放棄されても非難されなければ、国内の企業も同じことをやるだろう。
安倍首相はそのことを自覚していない。
それどころか、「財政出動、日銀人事」が「危機突破」だそうだ。
小渕首相は「40兆円の借金」を財政出動でつくり、自らを「借金王」と自嘲したが、経済は復興せず、脳梗塞で死んだ。口の悪い田中真紀子が「小渕さんがおだぶつになった」と発言して物議をかもした。
その後の小泉首相は160兆円の国債を発行した。
財政出動のねらいは、公共投資による景気刺激という従来のケインズ経済学の手法によるものだ。
インフレは起こるが、今の資本主義は昔と違うから、景気は回復しない。そもそも「景気」の概念がいまは変わっているのだ。
起こるのは悪性インフレ。第一次大戦後のドイツでは、レストランに入る前と勘定をする時では値段が変わるほど、急激な物価上昇が起こり、困り果てた国民は、結局ナチス党に望みを託した。
日銀とその独立は、明治10年の西南戦争で政府が通貨を発行しすぎ、戦後猛烈なインフレが起こったために、通貨管理を政府から独立した日銀が行うことにし、設置されたものだ。西洋先進国はもっと前にこれをやっている。
紙幣が兌換券で、発行額にみあった金塊を日銀が金庫に保管しなければいけない時代には、悪性インフレは起きなかった。
戦後のインフレは、昭和の初めに政府が「兌換性停止」を行ったから起きた。あれで国際は紙くずになったのである。
安倍首相は、政府のいいなりになる日銀総裁を選ぼうとしている。国会人事だから野党を買収しなければ通過しない。
ねらいは明白で、「日銀による国債引き受け」である。政府が発行する国債を日銀が自動的に購入する。日銀は紙幣を増刷すればよいだけだから、いくらでもキャッシュを政府に提供できる。
こうして打出の小槌が手に入るわけだから、思うように政府が金を使えるというわけだ。いったんインフレが始まったら「2%」などという目標値がコントロールできるはずがない。みなが「インフレだ」と思えば、「宵越しの金」をもたなくなりすぐにモノに換えるので、通貨の流通速度が速くなり、結果として「流通通貨量/単位時間」が増えて行くからだ。
これは日銀でも政府でも制御不能である。そうなれば国債は紙くずになる。
この道を歩む限り、安倍内閣の命運は見えたも同然だ。
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