![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/76/b9f71657458cf5d486671682b4a04d7d.jpg)
私のブログでは「天井桟敷の人々」はしばらくお休みにしていたが、今日からまた再開である。
(#475 フランス映画「天井桟敷の人々」11から続く)
今はパントマイム劇団で働いている美貌の女芸人ガランスの楽屋にガランスの美しさに惹かれたモントレー伯爵が大きな花を持って現れ、ガランスに愛を語るがガランスはこれを軽くあしらう。
モントレー伯爵が、ガランスの身に何かあったら身も心も投げうってガランスの助けとなりたいと言って名刺をおいて立ち去る。
モントレー伯爵が去った後のガランスの楽屋にバチストが現れる。
バチストは荒れている。
大きな花に驚くバチストにガランスは言う。
ガランス「大きな花葬式の花輪みたいだと言ってやった。」
バチスト「僕の葬式だ。」
ガランス「バカなことを言わないで。」
バチスト「僕だって葬式くらいしたい。人並みにね。
時々想像してみるんだ。
僕は秘密を抱いて墓に入る。いい筋だ。」
ガランス「やめて そんなバカな話は」
バチスト「僕の秘密とはー
小さなときめき永遠の幸せを感じたあの夜の思い出
それに葬式だって そう悲しいもんじゃない。
日でも差せば 昔の気分も晴れる。
考えてごらん 花嫁のいない結婚式より楽しいはずだ。
こんな花は嫌いだ。 結婚式の花なんか。
誰も彼も嫌いだ。
ここにいた男も。
フレデリックも嫌いだ。
自分のことも嫌いだ。」
と言ってバチストは持っていた棒で花をさんざんに叩きこわす。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/3b/293b5cde3d7abd76ce1e6766a17bed07.jpg)
ガランス「バチスト」
バチスト「バチスト? それは誰のことだ?
報われぬ恋に落ち抜け殻になってしまった幽霊のような男。
バチストは死んだ。
彼の生きた証は、一輪の赤い花と緑色のムチと
この白い衣装だけ」
ガランス「愛してないと誰が言った?」
そこにバチストの幼馴染で彼とパントマイム劇団で共演している、バチストを愛する可憐なナタリーが現れる。
ナタリー「私が言ったの」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/fb/5822c9c7b46b8a37375619fcce8545c7.jpg)
ナタリーに向かってガランスは言う。
ガランス「なぜ分かるの?」
ナタリー「バチストのことなら私には何でも分かる」
バチスト「やめろ」
とナタリーに言う。
ナタリー「本当よ 分かっているでしょ
(ガランスに向かって)
あなたにウソはないわ
だけどこの世で彼を愛せるのは私だけよ
そういう運命なの
他の人が愛する余地などないわ」
(ガランスは微笑む)
ナタリー「笑えばいいわ」
ガランス「いつもの顔よ」
ナタリー「幸せな人ね
私はまれに笑うだけ
バチストもそうね
あんなに陽気だったのに」
バチスト「(ナタリーに向かって)
頼むからもうやめてくれ
もう構わないでくれ
出て行くんだ」
ナタリー「(ガランスに向かって)
あなたが彼を変えた
ごめんなさい
でもただの嫉妬じゃないの
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/15/8d1467e3724d6799ab9fac3c8a2ffb45.jpg)
(バチストにむかって)
私は信じてるわ
いつかバチストと結ばれる日が来るって
必ずね」
ナタリーが走って楽屋から出る
ためいきをつくバチストとガランス
暗転
深くガランスを愛していながら自分から機会を逸して、その結果ガランスがバチストの隣室に住むバチストの友人フレデリックと結ばれるのを許したバチストは誰にあたろうとしているのだろう。
男はいつもこのようなものだ。
心の底ではバチストを愛するガランスは、バチストが荒れるのをただ耐えている。
こののち、ガランスはある事件に巻き込まれ、身を守るためにモントレー伯爵の名刺を利用する。すなわち、モントレー伯爵に身をゆだねることになる。
そこで、二部作のこの映画の第一部「犯罪大通り」は幕を閉じる。
第二部「白い男」の幕が上がると、ガランスはモントレー伯爵夫人となっている。
バチストはパントマイム役者として成功し、フレデリックもシェークピアの舞台俳優として成功している。
いよいよ次は、第二部「白い男」である。
(つづく)
画像:映画「天井桟敷の人々」より
(#475 フランス映画「天井桟敷の人々」11から続く)
今はパントマイム劇団で働いている美貌の女芸人ガランスの楽屋にガランスの美しさに惹かれたモントレー伯爵が大きな花を持って現れ、ガランスに愛を語るがガランスはこれを軽くあしらう。
モントレー伯爵が、ガランスの身に何かあったら身も心も投げうってガランスの助けとなりたいと言って名刺をおいて立ち去る。
モントレー伯爵が去った後のガランスの楽屋にバチストが現れる。
バチストは荒れている。
大きな花に驚くバチストにガランスは言う。
ガランス「大きな花葬式の花輪みたいだと言ってやった。」
バチスト「僕の葬式だ。」
ガランス「バカなことを言わないで。」
バチスト「僕だって葬式くらいしたい。人並みにね。
時々想像してみるんだ。
僕は秘密を抱いて墓に入る。いい筋だ。」
ガランス「やめて そんなバカな話は」
バチスト「僕の秘密とはー
小さなときめき永遠の幸せを感じたあの夜の思い出
それに葬式だって そう悲しいもんじゃない。
日でも差せば 昔の気分も晴れる。
考えてごらん 花嫁のいない結婚式より楽しいはずだ。
こんな花は嫌いだ。 結婚式の花なんか。
誰も彼も嫌いだ。
ここにいた男も。
フレデリックも嫌いだ。
自分のことも嫌いだ。」
と言ってバチストは持っていた棒で花をさんざんに叩きこわす。
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ガランス「バチスト」
バチスト「バチスト? それは誰のことだ?
報われぬ恋に落ち抜け殻になってしまった幽霊のような男。
バチストは死んだ。
彼の生きた証は、一輪の赤い花と緑色のムチと
この白い衣装だけ」
ガランス「愛してないと誰が言った?」
そこにバチストの幼馴染で彼とパントマイム劇団で共演している、バチストを愛する可憐なナタリーが現れる。
ナタリー「私が言ったの」
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ナタリーに向かってガランスは言う。
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ガランス「なぜ分かるの?」
ナタリー「バチストのことなら私には何でも分かる」
バチスト「やめろ」
とナタリーに言う。
ナタリー「本当よ 分かっているでしょ
(ガランスに向かって)
あなたにウソはないわ
だけどこの世で彼を愛せるのは私だけよ
そういう運命なの
他の人が愛する余地などないわ」
(ガランスは微笑む)
ナタリー「笑えばいいわ」
ガランス「いつもの顔よ」
ナタリー「幸せな人ね
私はまれに笑うだけ
バチストもそうね
あんなに陽気だったのに」
バチスト「(ナタリーに向かって)
頼むからもうやめてくれ
もう構わないでくれ
出て行くんだ」
ナタリー「(ガランスに向かって)
あなたが彼を変えた
ごめんなさい
でもただの嫉妬じゃないの
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(バチストにむかって)
私は信じてるわ
いつかバチストと結ばれる日が来るって
必ずね」
ナタリーが走って楽屋から出る
ためいきをつくバチストとガランス
暗転
深くガランスを愛していながら自分から機会を逸して、その結果ガランスがバチストの隣室に住むバチストの友人フレデリックと結ばれるのを許したバチストは誰にあたろうとしているのだろう。
男はいつもこのようなものだ。
心の底ではバチストを愛するガランスは、バチストが荒れるのをただ耐えている。
こののち、ガランスはある事件に巻き込まれ、身を守るためにモントレー伯爵の名刺を利用する。すなわち、モントレー伯爵に身をゆだねることになる。
そこで、二部作のこの映画の第一部「犯罪大通り」は幕を閉じる。
第二部「白い男」の幕が上がると、ガランスはモントレー伯爵夫人となっている。
バチストはパントマイム役者として成功し、フレデリックもシェークピアの舞台俳優として成功している。
いよいよ次は、第二部「白い男」である。
(つづく)
画像:映画「天井桟敷の人々」より