この懐かしき本たちよ!

まだ私の手元に残っている懐かしい本とそれにまつわるいろいろな思い出、その他、とりとめのない思いを書き綴りたい。

#74 随想15「I家の人々」Ⅱ(理科クラブ)

2005年04月30日 | 随想
(#73からつづく)私達は「理科クラブ」の一員としてI家を訪問したのだった。理科クラブとは聞きなれない言葉であろう。説明を要する。私達の大学の教養学部(前期2年は全員が教養学部に所属した。)では学生部がいろいろと骨を折って学生の生活ををサポートしてくれていた。早野先生と西村秀夫先生、大場先生という立派な先生方が学生部を指導管理しておられた。勿論学生部は学生に家庭教師の斡旋もしていたが、この先生方は . . . 本文を読む

#73 随想14「I家の人々」Ⅰ(ロマンスグレイの紳士)

2005年04月29日 | 随想
この写真には私達夫婦がもう一組のご夫婦と写っている。 このご夫婦と今日逗子で楽しく一緒に食事をした。 このご夫婦はI氏とK子夫人。I氏は背の高いロマンスグレイの紳士。K夫人も長身ですらりとした宝塚の女優さんを思わせるような美人。東京の六本木のお住まいから私達夫婦をわざわざ訪ねて来てくれた。170センチちょっとあるはずの私がすっかり小さく見えている。ゴールデン・ウイーク初日、東京から愛車ベンツを駆っ . . . 本文を読む

#72 随想12「女優 マリア・シェル」(映画 居酒屋)

2005年04月28日 | 映画、ドラマ
女優のマリア・シェルが4月26日に亡くなったとのニュースが今日の新聞で報道されている。マリア・シェル。懐かしい女優だ。享年79歳とのこと。インターネットで外国のニュースを見るとどこでも報道されている。主要通信社から配信されている。 外国メディアの報道に添付されている写真は最近の彼女の写真のようだ。昔の彼女の面影はあまりない。いい写真ではない。ちょっと意地の悪い報道の仕方だと思うのは、私がかつての . . . 本文を読む

#71 D.H.ローレンス著「息子と恋人」Ⅱ(母親と息子)

2005年04月27日 | 英米文学
 D.H. ローレンスのこの作品はよく読まれているようである。私があらすじを書く必要もないかもしれない。この作品の主人公はポール。重要な登場人物としてはその母親とポールの二人の恋人。一人は読書好きで霊的なことに夢見る志向のある幼馴染のミリアム。彼女は宗教心も深く、性についてはネガティヴである。もう一人の恋人は肉体的に美しい婦人権運動家でもある年上の人妻クララ。その他の登場人物としては若くして死ぬ長 . . . 本文を読む

#70 D.H.ローレンス著「息子と恋人」Ⅰ(葉山 一葉会英文学サロン)

2005年04月26日 | 英米文学
この本、D.H.ローレンス(D.H. Lawrence 1885~1930)著「息子と恋人」(Sons and Lovers)は必ずしも私の「懐かしき本」というわけではない。「現在」、仲間と地元葉山の読書会で読んでいる本だ。私が「仲間」というのはおこがましい。私はここの新参者だ。新参者と言っても私がこの会に入ってもうほとんど5年にもなる。普通の会なら古参といわずとも中堅どころのはずなのだが、私の後 . . . 本文を読む

#69随想11 「園長先生のH君」(信証幼稚園)

2005年04月25日 | 随想
K君の「最後のコンサート」(Cf.#68)の終了後、クラスメートのH君が久里浜まで戻るということなので、逗子まで帰る私は一緒に帰った。H君も私がいた三鷹の学生寮に住んでいたという話を聞いているうちに、彼の学生時代の顔が見る見ると思い出されて来て彼の今の顔と重なって来た。記憶というものは不思議なものだ。ちょっとしたきっかけで、忘却のかなたに行ってしまっているものが、急にはっきりと蘇ってくるものだ。2 . . . 本文を読む

#68 随想10 「K君の最後のコンサート」(音楽葬)

2005年04月24日 | 随想
このプログラムの曲目にはこう書いてある。 K(独唱)  啄木短歌集 合唱団 ソフィアアンコール 懐かしき愛の歌               ソフィアの歌   K(独唱)  ブラームス歌曲集        中田喜直歌曲集        スコットランド民謡集        歌劇アリア集 中島陽一 (独唱)  楽に寄せる        参列者一同      花 ( K(独唱)     フォスター . . . 本文を読む

#67ハンス・カロッサ著「美しき惑いの年」Ⅲ(かくして本を獲得)

2005年04月23日 | ドイツ文学
(#66よりつづく)約束の時間から20分ほどたって誰もいないうす暗がりの公園に遠くに自転車のヘッドランプが一つ見えて来た。そしてこちらの方に近づきて来た。そして私達が座っているのを見つけて自転車は止まった。一人の女性が自転車から降り立った。 前に会ったときにいたもう一人の女性が都合が悪くなったので、自分も来るのはやめようかと思ったけど、もし待ちぼうけをさせては申し訳ないので自分一人で来た、と私達 . . . 本文を読む

#66ハンス・カロッサ著「美しき惑いの年」Ⅱ(証明)

2005年04月22日 | ドイツ文学
(#65よりつづく)私は寮に帰り、その夜自慢げにこの出来事を同室のものに話した。しかし同じ寝室にいた2人の上級生のうちの一人のOさんが、私の話したことはいつもの?作り話だろうと言った。確かにちょっと出来すぎたできごとだ。K君と2人で行った夜の公園に2人の女性がいて、会話を楽しんで、しかも再会を約束して帰って来た、などと言うのはまさに眉唾の話だ。信じろという方が無理だろう。 信じないのなら彼女達と . . . 本文を読む

#65 ハンス・カロッサ著「美しき惑いの年」Ⅰ(深大寺公園)

2005年04月21日 | ドイツ文学
ドイツ文学の作品には魅力的な題をもつものが多い。ハンス・カロッサ(1878~1956)の「美しき惑いの年」もその一つだ。何のてらいもなく、「美しき」という言葉を題に用いているのもドイツ文学らしい。ヘルマン・ヘッセの「青春は美し」もそうである。Das Jahr der Schonen Taushungen.というのが原題のようだ。 Taushung という言葉、独和辞書を引くと、欺かれること、思い . . . 本文を読む

#64 随想9「ゲイリーさんとHさん」(帆船海王丸の出航)

2005年04月20日 | 随想
昨日、ゲイリーさんの乗った帆船「海王丸」の出航日の画像を載せたら、どうしてももう1枚画像を載せたくなった。今日の画像は出航前のゲイリーさんの船上の写真だ。肖像権の問題があるので顔は小さいのを選んでいる。ゲイリーさんは岸壁の私を見つけて手を振っておられる。意気揚々だ。隣におられるのが、Hさん。 おつきあいの良すぎるのが仇になって?ゲイリーさんと一緒に帆船の乗組員としてハワイまで行くことになってしま . . . 本文を読む

#63 随想8「藤沢のゲイリー・クーパー」Ⅱ(FAMOATE)

2005年04月19日 | 随想
何故、私の藤沢の師匠を私がゲイリーさんとお呼びするかの説明をしよう。ゲイリーさんはリーダーらしく、アイデアが豊富でおられる。次々と新しいアイデアが浮かび、浮かぶとすぐ実行して見たくなるようだ。あるとき、私はゲイリーさんからEメールを頂いた。 ゲイリーさんがリーダーの私達の仲間のいくつかあるメーリング・リスト(ML)に新たに英語で通信しあうMLを新設するというアイデアである。私はすぐ賛成した。ゲイ . . . 本文を読む

#62 随想7「藤沢のゲイリー・クーパー」Ⅰ(師匠は湘南紳士)

2005年04月18日 | 随想
私が「鎌倉のジャンギャバン」の話をするなら、私は「藤沢のゲイリー・クーパー」の話もしなければならない。藤沢のゲイリーさんも私の師匠のお一人である。私がこのブログをこうやって書いて楽しんでいるのも、藤沢のゲイリーさんのおかげである。私がこの方をゲイリーさんとお呼びしても私達の仲間のごく限られた人しかそれが誰のことかわからない。 藤沢のゲイリーさんは、私よりほんの少し若い湘南紳士。ロマンス・グレーの . . . 本文を読む

#61 随想6 「鎌倉のジャン・ギャバン」(髭の老紳士)

2005年04月17日 | 随想
私はIさんを「鎌倉のジャン・ギャバンさん」とお呼びしている。私が勝手にこう呼ばせて頂いているのは、Iさんがダンディーな方だということもある。最初にお目にかかったときには、流石鎌倉にはこういうかっこういい人がいるものだと感心した。まさに鎌倉紳士だ。 もう一つの理由として、Iさんの名前を音読みにしてローマ字で書くと、GABIN、ギャバンになる。ご本人はそれを意識しておられたかどうかはわからないが、所 . . . 本文を読む

#60 「老年のイェーツの写真」

2005年04月16日 | 英米文学
出淵博他による「現代批評の展望」(1974年学生社刊)は、シンポジウムの司会者の川崎寿彦がとりまとめておられる本である。川崎氏はそのあとがきで、こう書いておられる。 「本巻は、立案・司会者としての私が地方(名古屋)在住であったこと、出席予定者の病気、さらには途中で急に決まった私の海外渡航の件などで、予想外に障害が多かった。 これらの障害をどうやら乗り越えることができたのは、ひとえに出淵博氏のおか . . . 本文を読む