この懐かしき本たちよ!

まだ私の手元に残っている懐かしい本とそれにまつわるいろいろな思い出、その他、とりとめのない思いを書き綴りたい。

#288 ニコライ・ベルジャーエフ著「共産主義の問題」

2006年04月29日 | 宗教 思想 科学
ベルジャーエフのこの本はやはり私が50年ほど前に買った本です。私の本棚にずっと並んでいました。目次はこうなっています。1.共産主義という名の宗教2.自由主義、社会主義、共産主義3.ロシア国民の宗教的心理と。そして訳者によれば、2.の題の英訳名は「自由主義、社会主義、神政」 となっていたとのことです。(Liberalism,Socialism,Theocracy)そして3.の原題も英訳名は「ロシア人の宗教的心理と共産主義的無神論」だったのだそうです。そして仏訳名は「ニヒリズムの心理とロシア人の無神論」(Psychologie du Nihilism et l’Atheism Russe)となっていたのだそうです。

これだけ聞いて、著者は何を言いたいのかわかるような気がします。当時の現実のソ連の共産主義がまるで「神政」のようなものになっていることを、著者が書いているのだろうということがよくわかって面白く思います。

「共産主義の反宗教的心理は実は裏返しされた宗教的心理である。」(とベルジャーエフはこの論述の中で述べています。よくわかる論述です。

大きなレーニン、スターリンの肖像をかついで練りまわるソ連の民衆を見て、感激したのが正常の心理なのでしょうか、笑ってしまったのが正常な心理なのでしょうか?笑えるだけの自由がある社会にいたこと、またいることを幸いだと思わねばならないでしょう。

この本の中で著者は
「社会主義は、その権力にもとづき、人間の全てをーー肉体ばかりでなく霊魂までもーー要求する。」
と書いています。
社会主義はといってしまうのは間違いで、当時のソ連の共産主義は、というべきなのでしょうが。

言論の自由だけでなく、内心の自由もない社会、いやですね。
多くの多くの人命を損なったロシア革命、何が成功で何が失敗だったのでしょうね。

政治や権力(宗教の権力も同様)はいつの世でも恐ろしいものです。国民がきちんとそれを監視できるような体制、国民のためになるような体制が必要ですね。

画像:ニコライ・ベルジャーエフ著「共産主義の問題」野口啓祐訳 
   現代教養文庫 社会思想研究会出版部刊 昭和29年8月初版


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