この懐かしき本たちよ!

まだ私の手元に残っている懐かしい本とそれにまつわるいろいろな思い出、その他、とりとめのない思いを書き綴りたい。

# 236 ボードレール著 詩集 「悪の華」

2006年01月20日 | フランス文学
詩といえば、私は詩をわからないままに、このボードレール(CHARLES BAUDELAIRE)の悪の華(LES FLEURS DU MAL)を持ち続けている。フランス綴じ332ページのこの本の106ページまでしかペーパーナイフで開いていない。この本には私が1957年3月12日に購入したと書かれてある。50年前だ。これを購入したのは丸善だったろうか東京堂だったろうか。覚えていない。私は大学の2年目を終えようとしていた頃だ。この時点では私はフランス語はまだ丸1年しか学んでいない。フランス語を教えて下さった先生は私には勿体無いような立派な先生だった。朝倉季雄先生と武者小路実光先生。私は武者小路先生がテキストとして使われた、ロマン・ロランの「ピエールとリュース」を全文暗記しようなどと柄にもないことを試みていた。

ロマン・ロランの「ピエールとリュース」とは両極端のようなボードレールの詩にも惹かれるものがあったのであろう。わざわざ原書を買っている。

悪の華というと私はすぐにL’albatros「信天翁」(あほうどり)という題の詩を思い浮かべる。

この詩の最後の節はこうである。

Le Poete est semblant au prince des nuees
Qui hante la tempete et se rit de l’archer;
Exile sur le sol au milieu des huees,
Ses ailes de geant l’empechent de marcher.

「詩人(うたびと)」も、哀れ似たりな、この空の王者の鳥と、
時を得て嵐とあそび、猟夫(さつを)が矢弾あざけるも
罵詈満つる俗世の地に下り立てば
仇しやな 巨人の翼 人の世の行路の邪魔よ
       (堀内大学訳)

私はこの詩も理解できていないだろう。
しかし、この「青空の王者の鳥」が船員に生け捕られて甲板の上で
嘲られ、痛めつけられる「信天翁」(あほうどり)を詩人にたとえた
ボードレールの気持ちは少しはわかり気でいたのである。

この本は長く私の本棚にある懐かしい本である。


画像: CHARLES BAUDELAIRE著 詩集「LES FLEURS DU MAL」(悪の華)
   CLASSIQUE GARNIER 叢書 パリGARNIER社刊 
(302フランという価格ラベルがついている。)


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