この懐かしき本たちよ!

まだ私の手元に残っている懐かしい本とそれにまつわるいろいろな思い出、その他、とりとめのない思いを書き綴りたい。

#353 大宅歩著「詩と反逆と死」2

2007年06月19日 | 宗教 思想 科学

編者は大宅歩氏の文章を次のようにわけて編集している。序章「詩そして死」
第1章「情熱の放浪」(15歳~19歳)第2章「愛と衒い」(20歳~24歳)第3章「孤独な道化」(25歳~33歳)あとがき。

残念ながら著者は33歳でその若妻と満4年3ヶ月の長女を残してその一生を終えているのである。

序章に著者の「臨終」という文章が載せられている。それは著者が19歳の時に書いたものだという。

それから著者が27歳の時に書いた「断片」という文章がある。
自分が死んだ時には、後をこうしてほしいということが書いてある。

そして31歳のときに書いた、まだ幼い娘にあてた遺書と妻にあてた遺書が載っている。

あとがきには著者の父母の著者を偲ぶ切々たる文章がのっている。

著者、大宅歩氏はそう呼ばれることを好まなかったようであるが、社会評論家大宅壮一氏の長男である。

序章の最初に編者は著者をこう紹介している。
(大宅壮一氏自身が編者なのではあるまいかと私はおもうのだが。)

「昭和41年2月13日午前4時35分、大宅歩は息を引き取った。三十三歳。死因は心臓麻痺と診断された。
 中学時代、熱中していたラグビーで頭をケガし、その後遺症で発作を起こすようになってから、ある意味では、いつも死に直面していた。
 彼は文章がうまかった。純粋なもの、一生に一度でいいから、残るようなものを書きたいと考えていた。「大宅壮一のせがれ」という枠から必死になって脱出しようとしていた。
 この章には、死後天井裏から出て来たつづら一杯の文章の中から、彼の特質をもっともよく示していると思われるものを収めた。
 なお2通の遺書は彼が手術のため入院する直前に書かれた。結局、手術はしなかったのであったが。」
                 (つづく)

画像:筆者撮影


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