最後のランチ(13)

赤坂で愛用したランチについて綴るこの企画、少し間は開きましたがまだまだ終わったわけではありません。
先日、前の職場の頃はイタリアンがやや不作だったと申しました。ただし、世の中にイタリアンの店は星の数ほどあるわけで、多少足を延ばせばよい店があったのも事実です。職場からではやや遠く、頻度の点では他店に及ばなかったものの、内容面では一番だったのが"ESSE DUE"でした。
場所は繁華街を少し外れた、住宅と事務所が混在する裏通りです。1階がピッツェリア、地下にトラットリアという二本立てで、明るい雰囲気のピッツェリアと、落ち着いた雰囲気のトラットリアが好対照。その中でも、自分が主に利用したのはピッツェリアでした。というのも、ランチでピザが選べるところは滅多にないからです。
ピザは注文の都度生地から作り、店内の石窯で焼かれる本格派で、1200円と少々割高なのも納得できます。懐に余裕があれば、あと300円追加して前菜とデザートを選ぶのも悪くありません。少し贅沢すれば、かけた金以上の満足感が得られるという点では、この店が「オステルリースズキ」と並ぶ双璧でした。通う頻度が少なかったのは、職場から遠いのもさることながら、少し贅沢したいときに行くというこの店の位置づけにも由来していたわけです。
今の職場の近辺にもイタリアンはいくつかあり、ピザを出す店も探せばあるのかもしれません。しかしこの手の店は、腹を満たすためだけに行くのではなく、雰囲気を楽しむために行くものです。かような観点からすれば、無味乾燥なビジネス街に同等の店があったとしても、気分が高揚するかどうかは微妙でしょう。ささやかな贅沢がしたくなったら、赤坂まで自転車を飛ばすことになりそうです。

★Pizzeria ESSE DUE
東京都港区赤坂6-11-13 FABLICビル1F
03-3585-2232
1130AM-1430PM(LO)/1800PM-2200PM(LO)(祝日 2100PMLO)