日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

本日の晩酌 -浪乃音-

2011-11-08 23:56:35 | 晩酌
歳に応じた味覚の変化を自覚するようになったのは、三十路に入ってからだったでしょうか。かつては牛丼、ほか弁、マックといったジャンクフードを来る日も来る日もローテーションしていた人間が、今では酒の肴に心躍り、規格化された味にはさほどの感動を覚えなくなりました。このような味覚の変化は酒の好みにおいても例外ではなく、かつてはこの上なく好みだった酒質が、今ではそれほどとも感じなくなったというようなことがあります。本日いただく浪乃音の「ええとこどり」は、まさにその手の酒の一つです。
滋賀といえば、影の薄さにかけては佐賀などと並ぶ全国屈指の存在だけに、滋賀の地酒と聞いて即座にいくつか思いつくのは、よほどの酒好きに限られるのではないでしょうか。しかし、よき酒販店との出会いにも恵まれ、自分の中では近畿地方随一の酒どころといえるのが滋賀県です。そして、滋賀の酒のよさに目覚めたきっかけとなったのが、他ならぬこの「ええとこどり」なのです。九州への行きがけに大津の街へ立ち寄ったとき、たまたま見つけた酒屋で買い求め、今はなき京都発長崎行きの「あかつき」の車内で瞬く間に空けてしまったというのが最初の出会いでした。滋賀の酒のよさを知るきっかけになったという点で、自分にとって思い入れの深い酒でもあります。しかしてその味わいとは、キャラメルのように甘美で濃厚と形容するのがふさわしく、それが今の自分の好みに合致するかというと、必ずしもそうではないのです。思うに、酒よりも焼酎に慣れ親しんだ当時の自分にとっては、この甘美な味わいがなじみやすかったのに対して、酒そのものの味わいを知るにつれて、酒質の好みが徐々に変わってきたということなのかもしれません。
とはいえ、その昔慣れ親しんだ味がいつまでも忘れられないというのもまた事実で、今の自分の好みからして必ずしも最良の選択ではないと分かっていても、目の前に並んだ幾多の地酒の中からこの一本に思わず手を伸ばしている自分がいます。滋賀を訪ねたときには、これからも折に触れて買い求めることになりそうです。

★浪乃音 ええとこどり純米吟醸
浪乃音酒造(滋賀県大津市)
原料米 山田錦
精米歩合 50%
日本酒度 ±0
酸度 1.5
アルコール分 16度
酵母 協会9号
杜氏 3兄弟
滋賀県大津市 小川酒店にて購入
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