日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

キーテキ一声

2009-10-14 23:41:47 | 旅日記
10月14日は鉄道の日です。家族の誕生日は忘れても、汽笛一声新橋を初めて汽車が発ったこの日を忘れることはありません。一愛好者として、まずは我が国鉄道を137年にわたって支えた先人の労苦をしのぶとともに、138年目の出発を祝したいと思います。

しかし、自分の中では鉄道への興味、関心というものがこの数年で急速に薄れつつあるのを感じます。かつては北海道にも九州にも必ず列車で旅していたこの自分が、今年に入って汽車旅に出たのは東北を旅した一月の連休のみ、それ以外は日常の移動で月に数回電車に乗る程度になってしまいました。月に一度の恒例行事である「書泉詣で」も、気がつけば二、三ヶ月のご無沙汰になっていることが増えました。鉄道関係の書籍(いわゆる「鉄本」)は両手で勘定できる程度の数しか買っていません。確実にいえることは、今は我が生涯において鉄道趣味から最も遠ざかっている時期だということです。
マイカーをもつようになったこと、酒やB級グルメなど他の趣味が多様化したことなどもあるのですが、原因は何といっても「鉄道趣味がつまらなくなった」ということに尽きると思います。それはとりもなおさず「鉄道が廃れた」ということでもあります。味わいのある古い車両や駅はことごとく姿を消しました。ローカル列車や夜行列車は自動車との競争に敗れ去り、汽車旅は新幹線で直行直帰するだけの味気ないものに変わり果ててしまいました。貨物列車もコンテナと石油を除けば風前の灯火です。十数年前まで模型や写真などと並ぶ鉄道趣味の一大カテゴリであった乗車券収集は、POS化という時代の流れによって、「対象物自体がなくなる」という状況に陥ってしまいましたが、それ以外にも少なからぬ分野が乗車券収集と同じ道をたどりつつあることを肌で感じます。

三月の「ブルトレ狂騒曲」に象徴されるように、鉄道趣味が一般に認知されつつある昨今ですが、その一方で鉄道友の会など古くからの趣味団体は年を追うごとに衰退しています。地道な車両研究や歴史研究など、昔ながらの鉄道趣味というものは確実に廃れ、一般人が好奇心からデジカメ片手に手当たり次第にシャッターを切るといった、「お手軽な鉄道趣味」とでもいうべきものが受入れられているというのが実情ではないでしょうか。自分より一回り上の年代では、「鉄道ピクトリアル」こそが鉄道雑誌の王道とされ、「旅と鉄道」の愛読者は白眼視されたといいますが、時代は後者の流れに傾きつつあるのでしょう。いや、その「旅と鉄道」でさえ昨冬を最後に幕を閉じたというのですから、鉄道趣味の世界は自分が想像する以上の劇的な変化にさらされているようです。

何やら否定的なことばかりを並べてきましたが、それは愛すればこその発言でもあります。社会復帰などするつもりはありません。鉄道趣味の再活性化、それが自分にとっての138年目の課題になります。果たしてどんな旅路になるのでしょうか…
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