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moon

「藍を継ぐ海」伊予原新 2025-3

直木賞受賞作品、短編集。
科学と人間の営みの融合。
どの話も、心の根っこをきゅっと掴まれるようだった。

科学の種類に残念ながら詳しくない。
しかし、どれも、
長い長い年月のもと
コツコツとそう、とこつこつと
丁寧に集め、調べ、確認した作業の上に
成り立つもので
私のような人間の生きる一生など
そのたくさんの層の破片にもならないのではないだろうか。
ならないんだろうなぁ~
ただ、もしかしたら、
少しの小さな小さな層のわずかな埃くらいには
なるのかもしれない。

自然に畏敬を持って生きた人々の暮らしは
とても慎ましく、とても美しい。

伊予原さんの科学の小説を読んでいると
文系の民俗学を思い出す。
その土地に沿った抗わない民俗学の話は
ちょっと似てるような気がするのだなぁ。

「狼犬ダイアリー」
送り狼という言葉があり、意味は知られているものとは全く違う。
はぐれた者を仲間のところに送り届けて無事を見届けるという
狼の習性なのだそうで。
なんか、カッコ良い。

「星隕(ほしお)の駅逓(えきてい)」
この話の一番最後に
妻を亡くした老人が孫が生まれることを
「楽しみですね」と言われたときに
「たまらなく」と答える。
ここで発せられる「たまらなく」という言葉の温かさに感動した。

「藍を継ぐ海」
ダイビングをしていた頃に
一度だけ沖縄の海(伊江島か久米島)で
ウミガメを見たことがある。
アオかアカかは知識がなくてわからなかったけれど、
息継ぎのタイミングだったのか
私たちよりも上の方(浅い方)にいて
多分、見降ろされたんだろうなぁ。
「あ」と思ったときには、ものすごい速さで、どこかに行ってしまった。
カメって速いんだって思った。
あのウミガメもいくつもの危機を乗り越えた生命体だったのだなぁ。

伊予原さん、最高です。おめでとうございます。
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