「悪徳の輪舞曲」中山七里
このシリーズ、わかりづらい。
何がって、シリーズの何番目なのか、
繋がっているのかだ。
「贖罪の奏鳴曲」「追憶の夜想曲」「恩讐の鎮魂曲」「悪徳の輪舞曲」
となります。
確かに、何となくわかる気もするが、わかりづらい。
御子柴シリーズ1・2・3・4とサブでつけてほしい。
とにかく、たくさんのいろんな作品を書く著者ですから、
サブつけてください。
で、本題。
御子柴弁護士シリーズ4作目。
実母の弁護を担当することに。
これまでのシリーズでは
御子柴の家族の話はほとんど書かれていない。
なので読み手も、
御子柴を描かれている通りに見ていたところがあるけれど、
母親と妹の登場に冷徹な御子柴もペースが乱れる。
母親を見る目や言葉など初めて家族を意識する子ども、
まるで思春期みたいだと思ったりもした。
中二かよ!って感じ。
それも、彼にとってもは初めての人間らしい感覚ということ
なのかもしれない。
法廷ものとしては予想を裏切らない面白さ、
最後はお見事と思わずにはいられない。
中山さん得意のミスリードにもまんまと乗せられて
素直に面白い。
が、本の厚さ以上の深さがこの作品にはあって
いつも私の答えは出ない。
少しだけ登場する稲見先生がとてもよかった。
また、御子柴が人間に近づいた気がする。
中山七里 |
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講談社 |