「ぼくのメジャースプーン」辻村深月
罪を犯したのにまったく反省しない、後悔しない、そんな相手に
どうやって悔いる気持ちを分からせるのか、
どんな罰を与えるのか。
少年の力を使って罰を与えることは正しいことなのか。
とても難しくて深いテーマ。
被害者であるふみちゃんと少年。
少年は考える、どんな罰を与えることが悔いない犯人に一番の罰か。
そして、命をかけて与えたその罰は、
自分を傷つけ、大切なふみちゃんも傷つける。
彼らは2度傷つく。
罰を与えることは、
周りの人も巻き込むことになってしまった。
罰を人に与えることは、
簡単なことではないのだと気づかされる。
時がたって、ふみちゃんが戻ってきて、少年も元気になったら、
彼らはまた子どもらしく暮らせるかしら、と考えると
普通に過ごしているようでも、
何もなかったことにはならないのだろうと思う。
だとすれば、あの犯人が殺したのはウサギだけではないのだ。
やはり、、少年があの力を使ったことは当然のことなのかもしれない。
はたして、自分にその力があったら、使うだろうか・・
いくら考えても心の中には堂々巡りの問答が続く。
秋先生の存在が救いだった。
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