「階段にパレット」東直子
なんと優しいお話だろうか。
夫を亡くして一人、古い古い民家を修理して
絵画教室を始める実弥子。
お隣さんに担当さんに地元の子どもたち。
中でも小学生のルイくんはかなり特別。
絵を描くことが大好きなルイ君は
まるでみんなに魔法をかけていくようだった。
創作をする人はいろんなものを作り始めるハードルが低いような気がしている。
あくまでも、私の娘のみをじっと鑑賞しての感想だが。
小学生になったばかりの頃、
あれほど、ガスの火を使ってはいけないと言っていたのに
親のいないうちにチキンラーメンを作り(袋に入ったやつ)
絵の具は新聞紙を広げてぇと説明している間にサッサと水彩画を描き終わり
粘土だってそうだ。
今は、「パン焼こう」と思ったらすぐに粉を量り始める。
粉だらけになったことなど一度もない。
話はだいぶそれたが東さんは短歌も詠む歌人。
絵も描くし小説も書く。
作ることに対して、
決して簡単ではないのだろうけれど、
喜びの方が大きい人たちの種類だな。