8月の歌

8月になると　平和の歌が　流れる
被害者だから　大きな声で
世界に平和を祈る　


血を見るだけで　貧血になるし
痛いと　それだけで　失神するし
とにかく　弱い僕なんだけれど


あの戦争は　なんだったのだろう
どの戦争も　なんだったのだろう


人間は　弱いから　戦うのだと思う
戦争より　平和の方が
たくさんのエネルギーを必要とする


己に強い人は　自分の中で戦える
でも　弱い人は　自分に負けて
外へ挑み　傷つけ合う


戦争は　なくならない


被害者なんだから　胸を張って　
平和を唱える資格があると思ってるようじゃ
本当の平和なんて　望めない


強いから　戦争をするんじゃない
弱いから　戦争になってしまう
それを認めない限り　戦争は　なくならない


僕は　平和主義者には　ならない
かといって　戦争は　それ以上に　大嫌い
僕は　まず　自分に勝ってから　戦争とか平和を語りたい


この国は　世界で一番　恵まれた敗戦国
それも　忘れてはいけないと思う
被害者の前に　加害者であったことも
決して　忘れてはいけないと思う


メシを食って　排泄して
世界なんて　そんな人間の集合でしかない
どんなに　様々なものが　変わっていっても
世界なんて　そんな人間の集合でしかない


ひもじくもなく
満月に癒されて　蝉時雨に癒されて
僕は　とても幸せだと思う