最後の堕落

雨は上がった
最後のコンサートが始まった
高すぎる湿度に　ガットは堕ちる


出来ることは
全てやった
僕にできるのは　それだけ


アンコールが終われば
楽器を　慌ただしく積み込んで
この旅　３回目の舟に乗る


夜が明ける頃
四国を　東に走ってることだろう
眩しい朝日に　目を細めるのだろう


でも今は
堕ちるガットが
耳と心に痛い

すっぽんぽん

深い山の中
ジグザグに　上昇して
ギザギザに　下降して　
たどり着いた　小さな温泉郷


激しい雨が
葉々に　屋根に　川に　飛び込んで
子音だらけのノイズに　包囲される


雨か


近くの食堂に入った
スッポンを食べた
さ　頑張らなきゃ

僕の中の他人

夢の中の
全ての事象は
僕の中の記憶だけで　できている


登場人物
景色　脚本
そして　台詞のひとつひとつまで


昨夜の夢で
僕は　クイズを出されて
誤答してしまった


すると　
クイズを出してくれた人が
正解を　教えてくれた


僕の中の記憶は
夢の中ですら
ややこしい