クローバーフィールド/HAKAISYA

全編家庭用ビデオで素人が撮った手振れ画像・・・という設定。詳しい情報が何もないまま逃げ惑うニューヨークっ子5人。何がニューヨークに起こったのか？J.J.エイブラムスが、従来にない手法で作ったパニックムービー。臨場感が迫る！

2008年（公開）　アメリカ　SF、サスペンス、パニック
2008年4月6日　ワーナーマイカル・シネマ新百合ヶ丘
監督　マット・リーヴス
製作　J.J.エイブラムス(M:I:Ⅲ)、ブライアン・バーク
（出演作品などは私が観たものに限る）

ニューヨーク。ロブは日本へ副社長として赴任することになり、友達がさよならパーティーをサプライズで開いてくれた。パーティーの最中、原因不明の振動があり、停電する。「またテロ？」いや、そうではないらしい。軍隊が出動し、爆撃が行われているが、攻撃相手は？詳しい情報がない中、ロブと兄のジェイソン、その恋人リリーそしてパーティーのビデオ係りだったハック、ハックの意中のマリーナは一緒に逃げる。しかしパーティーの途中で帰ったベスの身も案じられる。

最初はセントラルパークを臨む高級アパートの画像から始まります。撮影者はロブ。ビデオは美しい恋人のベスを映し出し、幸せなカップルの日常が感じられます。しかし、なぜかビデオは重ね撮りされていて、兄のジェイソンから撮影係りを頼まれたハックの手によるぐだぐだのパーティーの様子が映し出されるのです。時は幸せなカップルの映像から数週間後。やっと登場人物の人間関係が分かってきた頃に「それ」は起きます。
最初はビルの合間から見え隠れしていた「それ」は、次第にその姿を現していきます。しかし、なかなかその全貌はわかりません。深夜。ブレブレの素人ムービー。外部からの情報はほとんどなし。完全に怪獣映画で足元を逃げ惑う人たちの視点なのです。
私は運よく車酔いのような症状は出ませんでしたが、確かに気分の悪くなる人もいるでしょう。なので、「警告」も確かに必要かもしれません。そして、数ヶ月前から映画館に最初に貼られていたポスターに何の文字もなかったところも含めて、プロモーションすべてがこの作品って感じがします。煽って煽って、煽られて～。
人によってはこんな手段で煽られることも、「素人の手ぶれムービー」を見せられることも、正体の分からない「それ」がその後どうなったか知らされないことも、映画の結末もすべて嫌でしょうね。でも、私はあまり嫌じゃなかったです。J.J.エイブラムスが用意してくれた「アトラクション」を楽しんでやろうという気持ちでした。そして、しっかり楽しませてもらいました。
最初のうちはKYハックにうんざりさせられましたが、それが一番不快だったかな？でも、ハックが素人なのに「何が起きたか記録に残さなくちゃならない」と命がけで使命感を持ってくれたおかげで残った映像・・・という設定なのです。仕方ないなあと思っているうちに、物語に引き込まれていきました。
ベスとロブの幸せカップルの映像が、重ね撮りの下から時々覗きます。「それ」に襲われ大惨事になっている「今」とのギャップが大きくて効果的です。ベスのアパートが傾いて隣のビルに寄りかかる形になっていた映像は、「阪神淡路大震災」の時に報道された震災現場の写真に触発されたのでしょうか？とても似ていました。あの地震にあわれた方には、観たくない映像かもしれません。私には「手振れ」より、そっちが気になりました。
それから、モンスターの形状がどこかで見たことあるような、オリジナルティーに欠けていたことが唯一の不満でしょうか？

追記：ミチさんのコメントで思い出しましたが、ビデオをまわしていたのはハックではなくハッドでしたね。失礼しました。