ももママの心のblog

猫が大好き。有料老人ホームで生活相談員をしています。映画が好きだけど、なかなか見られません。

草の乱

2007-11-23 | Weblog
秩父事件は、120年前に起こった。これは山間の地、秩父に広い視野を持った人々がいたことを歴史に残しているのだ。緒形直人が好演。

2004年 日本 ヒューマンドラマ、時代劇
2007年11月4日 大宮ソニックビル(自主上映会)
監督 神山征二郎(ハチ公物語)
出演 緒形直人(陽はまた登るほか)、藤谷美紀、杉本哲太、林隆三
(出演作品などは私が観たものに限る)

秩父は当時、養蚕が盛んでありそれを通じて世界とつながっていたため、山間でありながら人々の目は世界に向けられていた。自由民権運動と連動する形で大規模な一揆が起こったのはそのような背景があったのだ。あえなく鎮圧されてしまったが、首謀者の一人・井上伝蔵(緒形直人)は北海道まで逃れ、名前を変えて33年の間生きていた。本人がいないまま、死刑の判決が出ていたため、家族にも死ぬ直前まで本名を明かすことができなかったのだ。

自主上映会がなければ見ることがなかっただろうという一作である。邦画をあまり見ない私には神山作品にそもそもなじみがなかった。しかし、正攻法で描く時代劇は安心感があり、脚本もなかなか見事だった。地味な作品にありがちな、脇役の弱さもまったくなく、配役は子役も含めて相当なレベルをそろえてある。演技ももちろんのこと、たたずまいそのものが、明治時代の革命を語っているようだった。
緒形直人は正義感あふれる庄屋の旦那・井上伝蔵にぴったり。年老いた彼を演じるときに少々童顔なのが残念であるが、まっすぐな目線ときりりとしまった口元に政府を正し、困っている人たちを助けたいという意思が現れていた。このような立派な人物は返って演じにくいのが常であるが、その人柄に現実感を与えたところはさすがである。
林隆三も見事。声のよさは相変わらず抜群で、戦いの場面に映える。重鎮という役柄にはこの人を当てて失敗はないだろう。
総勢8000人という多くのエキストラを使い、地方ロケを多く使った撮影には困難が多かっただろうと思われる。しかし、その甲斐があって重厚な画面を作り出すことができている。こんな作品をもっと多くの映画館で、長く上映してもらえないだろうか?どこへ行っても同じようなハリウッド作品ばかり上映してるのでは面白みがない。

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