ももママの心のblog

猫が大好き。有料老人ホームで生活相談員をしています。映画が好きだけど、なかなか見られません。

ヒトラーの贋札

2008-06-27 | 映画 は行
第二次世界大戦中の実話を基にして、ナチスに利用されたユダヤ人たちの視点から描いている。大量虐殺と同時に、ナチスはこんなこともやっていたのか・・・。その事実にも驚くが、人間模様が見逃せない。

2008年(公開) ドイツ・オーストリア ヒューマンドラマ、歴史、
2008年5月28日 ワーナーマイカル・シネマ・多摩センター
監督 ステファン・ルツォヴィツキー
原作 アドルフ・ブルガー
出演 カール・マルコヴィクス、アウグスト・ディール
(出演作品などは私が観たものに限る)

ナチス・ドイツは敵国の経済を混乱させるため、ユダヤ人を使って収容所で大量の贋札を作った。イギリスのポンド紙幣に挑んだ「ベルンハルト作戦」は現実のものである。世界的詐欺師サリー、印刷技師ブルガー、美術学校生のコーリャがそこにいた。

もう、見たのがだいぶ前で、レビューを書こうとしても記憶が薄れてきてしまいました。忙しさに取り紛れたとはいえ、秀作のレビューがますますお粗末になってしまって悔しいです。しいかし、全然書かないというのも残念すぎます。・・・で、薄くなってきた記憶を元に、不完全ながらレビューを書くことにしました。
「完璧なポンド札」を作るために劣悪な収容所の環境から、清潔なシーツで寝られる部屋へ移されまともな食事にありついた彼ら。しかし、彼らも色々なのですよね。詐欺師の分際と一緒に仕事をさせられたとプライドを傷つけられる金融関係者もいました。本来贋札を見破るのが本職の彼に贋札作りをさせること自体が、大変なのに・・・。また、本当は鉄道員なのに印刷工だと偽って紛れ込んできた者までいます。サリーは彼らの総まとめ役。一匹狼でやってきた彼が、こんな雑多な人たちのそれぞれの立場を考慮して絶妙なバランス感覚で業務を遂行していくあたりが印象に残ります。何しろ、国家をゆるがす贋札の大量作戦など本当は断じてやりたくない人もいますし、なかなか出来上がらないとなると、ナチス側からのプレッシャーもあるのです。そのうえ、早く作戦が終了してしまうとお役ごめんで自分たちは用済みでガス室送りになるのでは・・・という恐怖も常にあります。
コーリャは結核にかかってしまいますが、ばれると感染を恐れてガス室送りになりそうなので薬が取り寄せられません。暗室に隠し、かばうのですがなかなか良くなりません。親衛隊の一人は、戦争の形勢が不利になってきたことを感じ、自分と家族の偽造パスポートつくりをサリーに依頼してきます。その引き換えに結核の薬を手に入れようとするサリー。このくだりは、なかなか見ごたえがありましたね。サスペンス映画といってよい感じでしたね。
また、収容所とはいえ特別待遇で清潔なシーツのベッドを与えられ、シーツを触るシーンが印象に残ります。与えられた服は、みんなガス室送りになった人たちのものであり、偽造パスポートつくりのために本物が運び込まれるのですが、その中に自分の子どもたちのものを発見して、子どもたちの安否をしってしまうエピソードも忘れられません。ユダヤ人はいかにもユダヤ人的な顔立ちの俳優さんを集めていますし、ドイツ人もそんな風に見えます。実際はどうなんだろう?どんな気持ちで演じていたのでしょうか?私の知らない俳優さんばかりでしたが・・・
サリーが戦後贋札を持ってホテルに泊まり、カジノでわざと負けて大量に贋札を使ったエンディング・・・。誰も贋札と見破ることで出来ませんでしたね。詐欺師としてのプライドで、贋札の精度を確かめたかったのでしょうか?贋札を使って服をあつらえるのですが、ホテルに入ったときはまだ収容所からの服装のまま。スーツの背中に番号が入った布が縫い付けてあった痕がありました。印象に残るシーンです。


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2 コメント

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Unknown (hiropechi)
2008-07-29 09:38:39
昨日、「ヒトラーの贋札」を観、映画として楽しむことができました。

「ベルンハルト作戦」を知り、意外な歴史を知り、アカデミー賞に値する映画と思いました。



TBさせていただきました。
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値しますよね (ももママ)
2008-07-31 09:27:32
私も同じようにアカデミー賞に値すると思いました。事実を描くこと、人物を血の通う存在として描くこと、そして俳優さんたちの演技も見事でした。
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