舞台はスペインのセビリヤ。真面目で純朴な衛兵ホセは、婚約者のミカエラがいるのに、自由奔放なジプシー女のカルメンの危険な魅力に心を奪われる。そしてついに職務さえ忘れて罪を犯し、ジプシーの密輸団に入る。ところが当のカルメンは花形闘牛士のエスカミーリョに夢中。ホセはカルメンによりを戻すよう懇願するが・・・・ホセからもらった指輪を投げつける。嫉妬に駆られたホセによりカルメンは殺されてしまう。(パンフレット抜粋)
第1幕、幕のあがる前から演奏される『前奏曲』テンポの良い馴染みの曲に、期待で心臓もアップテンポです。『カルメン序曲』。『ハバネラ(恋は野の鳥)』の「恋は野の鳥、気まぐれ気ままよ、呼べど招けど、あちら向くばかり、手管こわもて何の役にも立ちゃしない、恋知らぬ人に すりよる恋鳥、恋はジプシーの子、法も掟もありゃしない、あんたが嫌いでも、私は好き、私が好いたら御用心」と色っぽく歌うカルメンにホセでなくてもフラフラっと。
第2幕、カルメンを訪ねてホセが訪れた居酒屋で、『あんたのために踊ろう』をラララのフレーズだけでフラメンコをゆったりした動作で踊るカルメンは良かった。ホセの歌う『花の歌』は恋する者の心を歌ってたんですが、このドン・ホセ役は太鼓腹の人しかならないのでしょうか? 声がもっと響くと良かったにゃ。
第3幕、婚約者のミカエラのういういしい清純な歌唱と表現力は絶品でした。情熱のカルメンに負けてないミカエラの抑えた恋心が、ホセの心を捕らえたのかもしれません。カルメンの赤と、ミカエラの白、情熱的なエスカミーリョと、不器用なホセ、対称的な4人の恋は何処へ行くのでしょう。
第4幕、『トレアドール(闘牛士の唄)』、華やかな場面と、ホセに刺されるカルメンが対称的です。悲しい話なのです。題はカルメンになっていますが、ホセが主人公の話ですね。
オペラ・カルメンはオペラの方を見た事がない人でも、この中の何曲かは必ず知ってると思います。あの音楽がこのシーンだったのかと納得するでしょう。言葉(フランス語上演)の訳は左右のポールに字幕が出るので、解ります。しかし、このカルメンは音楽としてはいいのです。ただね。フランス語が子守唄の様に心地いいのです。ちらほらコックリする人が・・・・。
原作者こぼれ話
原作『カルメン』は、プロスペル・メリメ(1803パリ~1870)の作です。彼がスペインに出かけた時に聞いた「脱走して山賊になった兵士が、嫉妬から恋人を殺し処刑された」のを素に「カルメン」を書いたと伝えられています。このメリメと言う人はかなりな博識だった様です。パリ大学で法律を学び。英語、ギリシャ語、スペイン語、ロシア語。ラテン語にも精通。古典文学から美術史、考古学、デッサンも上手だったらしい。25歳の時に愛人の夫と決闘をして怪我をしたり、1852年には禁固15日の刑で刑務所に服役してます。50歳の時に皇帝ナポレオン3世モンチホ伯爵の娘ウージェニーと結婚(晩婚ね)してるんですが、その間も愛人はいた様です。恋に生きた人だったんでしょうか? それとも、この時代の人は皆そうなの?
作曲者こぼれ話
ジョルジュ・ビゼー(1838年10月25日~1875年6月3日)、『カルメン』の初演は、ヒロインが女性労働者だったこともあり失敗に終わった。彼は『カルメン』の初演3ヵ月後に亡くなくなりました。37歳だった。
小さな木(こ)の実
原曲はオペラ『美しいパースの娘』で歌われるアリア 『セレナード』に日本語の歌詞を付けたものです。
作曲:ジョルジュ・ビゼー 日本語詞:海野洋司
1 小さな手のひらに 一つ
古ぼけた木の実 握りしめ
小さな足跡が 一つ
草原の中を 駆けてゆく
パパと 二人で拾った
たいせつな木の実 握りしめ
今年 また秋の丘を
少年は一人 駆けてゆく
2 小さな心に いつでも
幸せな秋は あふれてる
風と よく晴れた空と
温かいパパの 思い出と
坊や 強く生きるんだ
広いこの世界 おまえのもの
今年 また秋がくると
木の実はささやく パパの言葉
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