K・L・ゴーイング 作
久保陽子 訳
早川世詩男 絵
ゲイブリエル・アレン・キングは、五年生になるつもりはなかった。5年生になると東校舎から西校舎になる。西校舎には、自分をいじめる6年生がいた。今度六年生になるデュークやフランキー達だ。終業式も彼らにとっ捕まって、出席することができなかった。
それを聞いた仲良しの女の子フリータがデュークのはなを殴りつけた。その場に居合わせたデュークの父親に差別的な汚い言葉を投げられ、今後彼らに仕返しされないかおどおどしているゲイブリエルだった。
そんなゲイブリエルに、フリータはなんとか5年生になるために、怖いと思うものを書き出し、克服していこうという。
ゲイブリエルや、デュークはトレーラーパークに住んでいます。アメリカでは家よりもトレーラーを買う方がとても廉価であること、そういうトレーラーが並ぶ町があるというのは初めて知りました。
1976年選挙戦で戦っていたジミー・カーターが以前人種差別を無くそうと、町で自分一人だけ白人市民会議に入らないと宣言したそうです。そんなアメリカの歴史に触れることができるストーリーになっています。
著者 パドマ・ヴェンカトラマン
訳者 田中奈津子
講談社
ラクとヴィジはひとつ違いの姉妹。ラクはお姉さんだが年下みたいだった。話し方がたどたどしいし、背中が丸まっているからヴィジより背が低かった。母さんは自分よりカースト(インドの身分階級)の低い父さんと駆け落ちして夫婦になった。しかし、今、父さんは母さんに暴力を振るう。ヴィジの誕生日に父さんは母さんをどなりつけ、母さんの腕の骨を折って家を飛び出していった。次の日、父さんは娘たちへプレゼントだと包みを置いた。しかし、父さんが原因で揉め事になり、反抗した娘たちに暴力を振るった。
ヴィジは、ラクを連れて家出した。バスで街へ出ると、ふたりを無理矢理に連れて行こうとする大人がいた。「このうすよごれた下層カーストのガキが!」逃げる二人に優しくしてくれる大人がいたり、橋の上でともに住む仲間もできた。その仲間はゴミ拾いの仕事を教えてくれた。その日その日を食いつなぐささやかなくらしを脅かすものがいて‥
インドの厳しい現状が書かれていました。家族の問題、カースト制度、障害を持つ子の生きづらさ、ストリートチルドレンのことなど、世界のことに目を向けられる本だと思います。
科学探偵VS暴走するAI
真実と健太はIT企業クロノス車に乗り込んだ。最上階で待ち構えていたレイア。レイアは、レイアが作った作ったAIと人間との知恵比べ対決を要求した。メンバーは、真実と健太と別にやってきていた浜田先生だった。まずは計算専用のAIと先生との計算勝負。7〜8桁の数字をかけたり、割ったり‥先生が悩んでいる間に計算ロボが先に答えを出した。次はアーチェリーロボと人間のアーチェリー対決だ。人間側は真実が進み出た。50メートル先の的だ。アーチェリーロボのほうは正確に的を射った。真実君も同じ。2回目は真実君が先に的を射ることになった。その時真実くんがペットボトルを投げた。そして矢を放った。矢はペットボトルを突き抜け的へと飛んでいった。なぜそんなことをしたのか?
次は料理対決だ。健太はチャーハンを作ることにした。ロボットには三ツ星レストランのレシピがインプット済みだと言う。ロボットは大きなオマールエビなどの高級食材を使って料理を始めた。健太は卵にハムにかまぼこにレタスと普通の食材だ。真実はあることを思いついた!
横沢彰 作
スカイエマ 絵
怪我で部活を休んでいた堂島先輩がやってきた。完全な復帰は目前だ。堂島先輩が復帰したらキャッチャーは堂島先輩のポジションとなる。もともとそうだったから。そうしたら、こころの居場所がない。こころは、「部活やめるかも」と、とうさんに言った。とうさんは、自分の高校三年時の背番号を教えてくれた。19番。三年でベンチ入りできなかったのは、とうさんだけだったという。けど、やめようとは思わなかった。理由は、野球がすきだったから。
翌日、堂島さんはこころに言った。「対決しないか」と。実際の試合と同じように、鉄平とバッテリーを組んで、二人の打者と勝負する。それで誰がキャチャーにふさわしいかを決める。
なぜ野球部にいるのか。レギュラーになれなくてもやれるのか、やりたいのか。くさることに意味はあるのか。など、大切なことをいろいろ感じた一冊でした。
ケヴィン・ヘンクス 著
原田勝 + 大澤聡子 訳
小学館
アミーリアは、アメリカの7年生。(アメリカの7年生は12〜13歳)お父さんに春休みに旅行に連れていってほしいとたのんでいた。しかし、お父さんは連れて行くとは言わなかった。お母さんは幼い時に亡くなっている。他にアミーリアがいる場所といえば、陶芸工房だ。ろくろを回したり、動物を作ったり。
ある日、その工房に見知らぬ男の子がやってきた。ケイシーという。ケイシーはアミーリアと同い年だ。2人は、すぐ仲良くなった。2人でカフェに行っくと、窓の外に学校のいじわるな友達リンディがこちらを覗き込んでいた。リンディは前は仲良しだった。しかし、別の友達のグループに移って行った。そんな嫌な気分もケイシーが楽しい空想遊びで気分を変えてくれた。リンディに変な名前をつけて勝手な物語を作った。その夜ベッドに入ったアミーリアは幸せな気分だった。
また、別の日、2人はカフェで、通りを歩く人たちに勝手な名前や物語を考えて楽しんでいた。すると、ケイシーは、ある女の人を指して、あの人は君に似てると言い出した。そして、アミーリアのお母さんということにして後をつけることにした。
父との暮らしは、寂しさを募らせるばかりのリンディ。しかしオブライエンさんが家に来て食事を作ってくれたり、声をかけてくれたりして、彼女の救いになっている。ケイシーが見つけた、アミーリアのお母さんに似ている女性が、いろいろなところで目撃されてアミーリアの心を揺さぶる。それは、仲良くなったケイシーでも助けにはならなかった。それほど、母親への思いと父親への思いが大きいのだが、全てをすぐ口に出せるほど単純なことではなかった。