
近い将来、まず間違いなく、自動車産業は転換を迫られる。
いや、そうせざるを得ないと、関係者はとっくに気付いていて、
それでも巨大化した自動車産業界が、容易に方向転換できないのは、
自社が生き残るための方策をまだ固めていないためかもしれない。
現在の自動車メーカーの最大の強みがどこにあるかと言えば、
(ガソリンを用いた)
エンジンに関する技術の蓄積になる。
ところが、ガソリンを使用しない電気自動車にシフトした場合、
そのアドバンテージが従来のようには通用しなくなる。
極端な話、家電メーカーでも同レベルの電気自動車を生産しかねない。

ひとつの産業を成り立たしめている根本の土台が揺らぐことになる。
近年の
バイオ燃料などの研究開発は、ガソリンなど化石燃料を用いた
旧来の技術の延命工作、時間稼ぎにしかならないだろう。
となると、電気。それも
電池が大きくクローズ・アップされる。
(燃料電池の話は聞き飽きた節もあるので、しばらくは触れない)
携帯電話などに採用されている小型の
リチウムイオン電池を大型化?!
大量生産されるようになれば、製造原価も下がる――というプロジェクト
(例の「
エリーカ」=慶應義塾大学などの開発)から目が離せない。
自動車の歴史から考えると、ガソリンから電気へ、は先祖返りでもあるのよね。
小型リチウムイオン電池は、リチウムと(高価な)コバルトが原料だけれど、
リチウムと(安価な)二酸化マンガンに代えれば、原価はより抑えられる。

遅かれ早かれ、電気(電池)自動車の時代は来る。人類の文明が滅びない限り。
(完全実用化された燃料電池の登場は、いつになるのだろうね?)
その際、自動車に求められる次の機能は、
本当の自動運転となるだろう。
目的地や途中ルートなどを入力すれば、利用者はその間、ハンド・フリー。
車の免許証など要らない時代だ。PCが家電扱いされるのと同じ。
ホンダやトヨタが
ロボット事業を着々と進めているのは、エンジンが廃れた後の
自動車産業の未来を見据えているからではないかと思う。
“先を読む”とは、現在手にしたテクネーを見極めつつ、
次なる新たなテクネーを駆使する状況(インフラ整備など)を待つことなのだろう。