「トーヨー新報」食客日記

豆腐などの大豆(加工品)、こんにゃくを中心に、日本・世界の食文化……その他諸々について、あれやこれやと夢想する日々です。

Release It

2012-03-22 12:13:44 | 業務連絡

また別の企画が動き始める。内々の物だけれども、
それでもやるからには、きちんとしたものに作り込む。
編集魂が燃えるよね。

ギリヤーク人

2012-03-22 08:36:10 | 文学的な

村上春樹の『1Q84』を読んでいると、
天吾がふかえりにチェーホフサハリン島』を朗読してあげ、
気の毒なギリヤーク人」について、ひとしきり話し合う
シーンがありました。唐突であると言えば唐突で、
意味ありげと言えば意味ありげですが、そういう思わせぶりは
村上春樹の小説のデフォルトなので、迂回や脱線を楽しめば良し。
       ☆
しかし、読んでいる最中は小説家としてのチェーホフに
目を奪われていたのですが(作家・村上春樹のチェーホフ評みたいな)、
実はこれ、ギリヤーク人そのものに力点が置かれていたのでは?と。
というのも、フロイトの『トーテムとタブー』にも
やはり、ギリヤーク人が登場しているから。
春樹の諸作品における夢の重要な位置付け、
あるいはユング心理学者の故・河合隼雄との対談などから、
フロイトも読みかじっているのだろうな との推測も無理ではないし。
       ☆
『トーテムとタブー』で触れられるギリヤーク人のタブー
――ギリヤークの狩人が狩猟に出掛けている間は
家にいる子供たちは木や砂の上に絵をかくことを禁じられる」。
何故ならば、子供たちの絵に描いた線で、リアルな森林の道が
こんがらかって、狩人が家路を見失ってしまう」から。
子供の描く絵と 現実の森林のパラレルなシンクロニシティ。
ああ、あまりに春樹的な! と感嘆する時点で、術中に嵌まっているのかも。