
現在の日本で評価されているうま味を3つ挙げ、ポイントをまとめてみる。
1.
昆布(
グルタミン酸)
[発見者]
明治41年(1908)、
池田菊苗博士が昆布のうま味成分、グルタミン酸を発見。
明治42年(1909)、鈴木三郎助、忠治兄弟が池田博士と共に商品化(=「
味の素」)。
[歴史]
霊亀元年(715)、蝦夷の族長・須賀君古麻比留が元正天皇に
広布(=昆布)を献上(『続日本紀』)。
2.
かつお節(
イノシン酸)
[発見者]
大正2年(1913)、
小玉新太郎博士がかつお節のうま味成分、イノシン酸を発見。
昭和35年(1960)、イノシン酸ナトリウムを調味料として商品化。
[歴史]
10世紀初期、『延喜式』(913年)の「民部主計」に、煮堅魚、堅魚に続き、
「
堅魚煎汁(いろり)」の名が記される。かつおだしの素と目される。
※『古事記』、『日本書紀』に記される「堅魚」とは、魚としてのカツオでなく、
カツオを乾し固めたもの。だしとして使用されたかどうかまで不分明。
3.
椎茸(
グアニル酸)
[発見者]
昭和35年(1960)、
国中明博士が椎茸のうま味成分を発見。
[歴史]
鎌倉時代初期、
道元禅師の記録において、椎茸の名が初見。道元の船が
宋の寧波に入港したところ、大陸の人々が干し椎茸を買い求めに来たという。
道元は貞応2年(1223)に入宋し、安貞元年(1227)に帰国。