
日本の酒好きに愛されてきた伝統食品――それが豆腐だと思うの。
豆腐は冷や奴で良し、湯豆腐で良し。季節を問わない訳で、
和風、洋風、中華でも何でも、大抵の味付けを受け入れてくれるし。
ただ酒呑みも品下ると、端然としたたたずまいのまま、呑み続けるのは厳しい。
そうでなくとも、酔いが回るうちに、摘まみを箸で取るのが億劫になって、
いや手でつかむことすら面倒だと感じ出し、洋の東西を問わず、
究極のアテが“塩”になったりするのよねえ。ぺろぺろ。
☆
……そこで妄想したのが、「
枡豆腐」!
(同名の枡に盛り込んだ豆腐もありますが、ここでは枡自体を豆腐に!)
杉や檜の香りが高い枡で呑む日本酒はまた格別ですが、
その枡を豆腐で作る。白山で有名な
堅豆腐などを使って枠を作り、
内側は滑らかな絹ごし仕立てで、しばらく酒が洩れないように。
豆腐の原材料に杉や檜の香料を混ぜるのも有りかな。
枡の角にちょこっとだけ、摘まんだ塩を置くと通っぽい。
そうやって、なみなみと注がれた枡酒を空けた後は、
そのまま(豆腐で出来た)枡も食べられるよ、と。むしゃむしゃ。