NHK プレミアム・シアター 2021/12/12
クラシック音楽の名曲「ホフマンの舟歌」で知られる「ホフマン物語」。ダニエル・フィンツィ・バスカルの演出は、
サーカス的手法を使用し、幻想的でカラフルで、見応えのある出来映えとなっている。
また、4人の宿命の異なるヒロインを姿を変えて演じるオルガ・ベレチャツロの活躍は見事と言うほかはない。
【作曲】オッフェンバック
【演出】ダニエル・フィンツィ・バスカル
【出演】
ホフマン・・・バンジャマン・ベルネーム
・姿を変えてホフマンの前に現れる宿命のヒロイン・・・オルガ・ベレチャツロ
オランピア
アントニア
ジュリエッタ
ステッテラ
・ホフマンの友人に変身し彼の流転を見守る詩の女神・・・アンジェラ・ブラウザー
ミューズ
ニクラウス
・ホフマンの恋路を妨げる悪魔の化身・・・ルカ・ビザローニ
リンドルフ
コぺリウス
ミラクル
ダッペルトゥット
・姿を変える悪魔とヒロインに付き従う・・・アンドリュウ・ディッキンソン
アンドレ・シュニーユ
フランツ
ピティチョオチョ
【管弦楽】ケント・ナガノ指揮 ハンブルク国立歌劇場管弦楽団
【合唱】ハンブルク国立歌劇場合唱団
【上演】2021年9月19・22日 ハンブルク国立歌劇場(ドイツ)
【第1幕】
舞台はニュルンベルク、ルーテルおやじの酒場。ホフマンの才能を愛する詩人ミューズ
が友人の姿を借りて彼を見守る。
近くの歌劇場ではモーツァルトのオペラが上演中、学生達や代議員リンドルフなど出演中の
歌姫、ステッラの信奉者が集まっている。
学生達は、ホフマンが゛現れるのを待ち望んでいるが、リンドルフにとってはステッラの愛を争うライバルなのだ。
ミューズが登場。
ホフマンの友人ニクラウスに変身し、 ホフマンを悪魔から守ると宣言する。
ホフマンは「クラインザックの一代記」を歌う。
「昔アイゼナハの宮廷にクラインザックという、こびとがいた
そいつがクラインザック 明日になったらぶちのめせ」
【第2幕】オランビア
ここは物理学者ハパランザーニの家、彼の弟子であるホフマンは娘だと紹介された美しい
オランピアに一目ぼれする。
大勢の客を招いたパーティが開かれオランビアも歌を披露する。しかし、彼女の出生には秘密
があってそのカギを握る奇妙な目玉商人として物理学者との間にトラブルが発生して・・・
オランピアは「オランビアの歌」を歌う
自動人形がここまでやるとは・・・オランピアはホフマンとダンスを踊るが力が強すぎてホフマンを倒してしまう。
【第3幕】アントニア
舞台はミュンヘン、クレスペルとアントニアの父娘家、父は娘をホフマンから遠ざけるために
この地へやって来た。
病身のアントニアは父から歌うことを禁じられている。若くして無くなった元歌手の母
と同じ目に遭うのではと心配しているのだ。
母を死に追いやった幻術の使い手、医師ミラクルが現れ・・・・
ホフマンはアントニアと愛を語るが・・・
アントニアの母が現れ、ミラクルの魔力でアントニアは天に昇ってしまう。
【第4幕】ジュリエッタ
舞台はゴンドラの行き交うベネチア、度重なる失恋に懲りたホフマンは愛を
否定し、酒に溺れて大騒ぎ、そこに現れた正体不明のダッペルトゥットが,高級娼婦ジュリエッタに
怪しくささやく。「ホフマンを誘惑し、彼の鏡像を奪え」と・・・・
幕が開き、ジュリエッタとニクラウスは「ホフマンの舟歌」を歌う。
ジュリエッタはダッペルトゥットの依頼を受け、ホフマンから鏡像を奪う。
ダッペルトゥットから盲目にされたホフマンは怒り、ジュリエッタの恋人
ピティキナツチョを剣で刺す
【第5幕】ステッラ
ホフマンの告白は終り、舞台はニュルンベルクの酒場へ戻る。愛に裏切られ続けたホフマン、ステッラ、リンドルフ
の三角関係の結末は・・・。
そうか、3つのドラマが1つのドラマに・・・3人は結局、同じ女性ステッラなんだ!
ミューズは、その姿をニクラウスから戻し
「天賦の才が再び燃えさかる、あなたの苦しみに笑いかけなさい
人は愛を通して高貴になり、涙を通してさらなる高貴へと至る」
とホフマンに歌い話しかける。
ステッラはホフマンと別れ、リンドルフのもとへ
【感想】ホフマンの前に現れる宿命のヒロインをすべてオルガ・ベレチャツロが演じたことにより、
難解な物語が分かりやすくなった。また、オルガ自身もなかなか魅力的で舞台を盛り上げた。
NHKが協賛していることもあってか、カメラワークも良く、映像も音声もよかった。