NHK BS シネマ 2021/3/3
資本主義社会や機械文明の発展した社会を題材にした作品で、労働者の個人の尊厳が失われ、機械の一部分のようになっている世の中を笑いで風刺した作品。1936年の製作だが、現在でも通じるような発想の斬新さとチャプリンの演技力に驚く
【製作・監督・脚本・音楽】チャールズ・チャプリン
【撮影】ローランド・ドザロー、アイラモーガン
【出演】工員・・・チャールズ・チャプリン
少女・・・ポーレット・ゴタード
大規模な製鉄工場で働くチャーリーは流れてくる部品のボルトをスパナでひたすら回し続けるという単純作業をする仕事をしている。
昼休みの食事時間を短縮し、仕事の効率を上げるために作られた「自動飲食マシン」。チャーリーはその実験台にさせられ、散々な目に遭う。
誤ってベルトコンベアーの別のルートに吸い込まれると歯車の中に取り込まれてしまう。中央の歯車の下にいるのがチャーリー。映画だからだが、大けがか死亡かというところである。チャーリーは次第に精神を病み、病院に入れられる。
その後は、ふとしたことから警察に捕まったり、釈放されたり、再び拘置所に入れられたりしながらも、造船所の技師の助手、デパートの警備員、キャバレーのウェイターなどの仕事を行うが長続きしない。
しかし、護送車の中で知りあったパンを盗んだ浮浪少女ポーレットと意気投合する。二人のために家を建てるという夢を心に持つようになり、仕事を求めようという気持ちになる。
せっかく少女ボーレットの踊りの道が開け、チャーリーも見世物の「ティティナ」を歌って成功し、未来が開けたと思ったが鑑別所から逃げ出したボーレツトに追跡の手が及ぶ・・・・・
それだけにラストシーンは美しく感動的である。
【感想】
無声映画からトーキー映画にと映っていく過渡期の作品、チャーリーが「ティティナ」を歌うまでは、この映画では人物は言葉を発しない。チャプリンが初めて肉声をフィルムに入れ込んだ作品である。。
製作・脚本、演出、監督とこなし、アクロバテックな動き、踊り、歌と彼の持つ全てをつぎ込み映画にした才能を称えずにはいられない。現在になっても惹きつけられる作品である。