11月31日(金)、新国立劇場へヴェルディ作曲「リゴレット」を見に行きました。
このオペラは、あまりにも有名なアリア「女心の歌」や「麗しき人の名は」などで知られ、ヴェルディの中期の傑作です。原作はヴィクトル・ユーゴー「逸楽の王」(1832年)。
初演は1851年のヴェネツィアのフェニーチェ劇場で、ヴェルディはセンセーショナルな成功を収め、オペラ作曲家としての地位を不動のものとしました。このオペラの主人公は「背中にコブを持つ醜い道化」のリゴレット(バリトン)で「娘への愛」は純粋さを貫くが、心は歪んでいるという設定です。四重唱、合唱を用い、管弦楽では嵐の場面を表現するなど当時としては斬新なオペラでした。新国立劇場では7年ぶりの上演です。
管弦楽は、ダニエル・カッレガーリ指揮の東京フィルハーモニー管弦楽団。
合唱は新国立歌劇場合唱団、バレエは東京シティバレエ団
演出はアルベルト・ファッシーニ。ファシーニはあの映画監督ルキノヴィスコンティのアシスタントからキャリアを積み上げたというだけあって、貴族趣味の豊かな舞台となっています。美術・衣装も素晴らしい。私は新国立劇場でオペラは十数回見ていますが、「アイーダ」は別格としても、この「リゴレット」の舞台の豪華さは、その中で一、二を争うものだと思います。特に第一幕の初めの部分、宮殿の舞踏会で美しい弦のアンサンブルに合わせて踊られるバレエはロマンチックで感動的です。
出演者は、リゴレットがラード・アタネッリ。ジルダにアニック・マッシス。マントヴァ公爵にシャルヴァ・ムケリア。スバラフチーレに長谷川顕。マッダレーナに森山京子。
第3幕 ミンチョ河畔の居酒屋 (写真)
リゴレットとその娘ジルダが外に佇む。そこに士官姿の放蕩者のマントヴァ公爵が颯爽と登場し「女心の歌」を歌います。モテ男の面目躍如といった雰囲気で、いつ聞いても、心が躍るアリアです。
公爵は店に入り、亭主スパラフチーレの妹マッダレーナを口説きます。マッダレーナは巧みにあしらいます。さらわれて、公爵から辱めを受けたジルダは公爵の戯れを見て苦しみ、リゴレットはそんな娘に復讐が必要なのだと説きます。この四人の性格と言葉が同時に理解できる「四重唱」も聴き応えがありました。
リゴレットがスパラチーレに公爵殺しを依頼すると、それを耳にしたジルダが身代わりになることを決意します。あたりは嵐になり、稲妻が走ります。ジルダは建物に飛び込み、刃を受けます。リゴレットは、死体の入った袋を開いて、娘の変わり果てた姿を目にし、「あの呪いめ!」と絶叫します。
このオペラには、有名な合唱曲はありませんが、いろいろなところで効果的にコーラスが用いられています。三澤洋史合唱指揮の新国立劇場合唱団のコーラスは素晴らしく、日々実力を上げているように思います。
また、今回は二階席中央ということもあって、オーケストラの音がきわめて鮮明に聞こえたこともあり、東フィルの演奏も楽しめました。一階だとオーケストラボックスから演奏する音が頭の上を通っていってしまうのかも知れません。
ところで、こうした立派な舞台と貴族趣味の良質な衣装が、すでに新国立劇場には、用意できていているのに、内容も優れた、このオペラが7年目にして、やっと再演されたということは、どうしたことなのでしょうか?
もっと人気が出て、数多く公開されても良かったのではと思うのですが・・・。やはり、ストーリー展開に残忍なところがあるので、日本人には共感できないところがあるのでしょうか。
今回、この「リゴレット」公演を見て、私はイタリアオペラを堪能できる、とても優れた公演だと思えたのですが・・・。
詳細は、めいすいの音楽随想81 オペラ「リゴレット」をご覧下さい。
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このオペラは、あまりにも有名なアリア「女心の歌」や「麗しき人の名は」などで知られ、ヴェルディの中期の傑作です。原作はヴィクトル・ユーゴー「逸楽の王」(1832年)。
初演は1851年のヴェネツィアのフェニーチェ劇場で、ヴェルディはセンセーショナルな成功を収め、オペラ作曲家としての地位を不動のものとしました。このオペラの主人公は「背中にコブを持つ醜い道化」のリゴレット(バリトン)で「娘への愛」は純粋さを貫くが、心は歪んでいるという設定です。四重唱、合唱を用い、管弦楽では嵐の場面を表現するなど当時としては斬新なオペラでした。新国立劇場では7年ぶりの上演です。
管弦楽は、ダニエル・カッレガーリ指揮の東京フィルハーモニー管弦楽団。
合唱は新国立歌劇場合唱団、バレエは東京シティバレエ団
演出はアルベルト・ファッシーニ。ファシーニはあの映画監督ルキノヴィスコンティのアシスタントからキャリアを積み上げたというだけあって、貴族趣味の豊かな舞台となっています。美術・衣装も素晴らしい。私は新国立劇場でオペラは十数回見ていますが、「アイーダ」は別格としても、この「リゴレット」の舞台の豪華さは、その中で一、二を争うものだと思います。特に第一幕の初めの部分、宮殿の舞踏会で美しい弦のアンサンブルに合わせて踊られるバレエはロマンチックで感動的です。
出演者は、リゴレットがラード・アタネッリ。ジルダにアニック・マッシス。マントヴァ公爵にシャルヴァ・ムケリア。スバラフチーレに長谷川顕。マッダレーナに森山京子。
第3幕 ミンチョ河畔の居酒屋 (写真)
リゴレットとその娘ジルダが外に佇む。そこに士官姿の放蕩者のマントヴァ公爵が颯爽と登場し「女心の歌」を歌います。モテ男の面目躍如といった雰囲気で、いつ聞いても、心が躍るアリアです。
公爵は店に入り、亭主スパラフチーレの妹マッダレーナを口説きます。マッダレーナは巧みにあしらいます。さらわれて、公爵から辱めを受けたジルダは公爵の戯れを見て苦しみ、リゴレットはそんな娘に復讐が必要なのだと説きます。この四人の性格と言葉が同時に理解できる「四重唱」も聴き応えがありました。
リゴレットがスパラチーレに公爵殺しを依頼すると、それを耳にしたジルダが身代わりになることを決意します。あたりは嵐になり、稲妻が走ります。ジルダは建物に飛び込み、刃を受けます。リゴレットは、死体の入った袋を開いて、娘の変わり果てた姿を目にし、「あの呪いめ!」と絶叫します。
このオペラには、有名な合唱曲はありませんが、いろいろなところで効果的にコーラスが用いられています。三澤洋史合唱指揮の新国立劇場合唱団のコーラスは素晴らしく、日々実力を上げているように思います。
また、今回は二階席中央ということもあって、オーケストラの音がきわめて鮮明に聞こえたこともあり、東フィルの演奏も楽しめました。一階だとオーケストラボックスから演奏する音が頭の上を通っていってしまうのかも知れません。
ところで、こうした立派な舞台と貴族趣味の良質な衣装が、すでに新国立劇場には、用意できていているのに、内容も優れた、このオペラが7年目にして、やっと再演されたということは、どうしたことなのでしょうか?
もっと人気が出て、数多く公開されても良かったのではと思うのですが・・・。やはり、ストーリー展開に残忍なところがあるので、日本人には共感できないところがあるのでしょうか。
今回、この「リゴレット」公演を見て、私はイタリアオペラを堪能できる、とても優れた公演だと思えたのですが・・・。
詳細は、めいすいの音楽随想81 オペラ「リゴレット」をご覧下さい。
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