めいすいの写真日記

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卵焼き ・・・ 江戸時代からの老舗 王子 扇屋

2011-06-05 | 外での食べ物

 王子駅北口から音無川親水公園、北区役所方面に向かって、すぐのところにある卵焼き「扇屋」(北区岸町1-1-7、TEL 3907-2567)。今は、小さな小屋で卵焼きを売っているだけですが、その歴史はとても古く、特筆に値します。

江戸時代中期に作られたという「料亭番付」では最上段左側に「王子 扇屋」として記されています。その右隣の「王子 海老屋」は葛飾北斎の絵に描かれています。

王子は明治・大正の頃までは音無川(現在の石神井川)が渓谷となっていて紅葉の名所として知られ、多くの見物客が訪れていました。また、徳川吉宗が対岸の飛鳥山公園を桜の名所にしました。まさに、王子は江戸・東京の庶民にとっての観光名所でした。扇屋は、こうした地理的条件を上手く生かしていたといえるでしょう。

せっかく来たからということで、扇屋名物の卵焼き半折(630円)を買い、「王子扇屋の沿革」という説明書を貰いました。

  しかし、この沿革を読んでびっくり、なんと「料理屋の折詰は扇屋より始まれリ」と書いてあるではありませんか!!それを知っていれば一折(包装紙もついた1260円の折詰)を買って帰ったのですが、残念なことをしました。


  また、落語「王子の狐」(初代三遊亭円右)では、扇屋が舞台になっていて、お土産に「卵焼き」を持ち帰ったことになっています。

(王子の狐 あらすじ)
  ある男が王子の原で、狐が若い娘に化けるのを見た。誰を化かすのだろうと、周りを見回すと自分一人しかいない。化かされるくらいなら、こちらから化かしてやろうと算段し、「お玉ちゃん」と、声を掛けて料理屋”扇屋”に入る。二階の部屋に入り上座に座らせ、あぶらげでなく天ぷらを注文。男は刺身と酒を頼んで、差しつ差されつやっているとお玉ちゃんは安心して酔いつぶれ、床の間を枕に寝込んでしまう。見計らった男はお土産の卵焼きをもらって、ドロンしてしまった。
 だいぶ寝込んだお玉ちゃんを起こしに行った女中が、お連れはもう帰ってしまったし、お勘定はあなた様からもらえと言われたと告げると、ビックリしたお玉ちゃん、尻尾を出してしまう。それを見た女中はもっと驚いて、階段を股が裂けるほどの勢いで飛び降りてご注進。みんなで上がって見ると狐が考え込んでいた。部屋の狐をとっちめてやろうと 棒きれを持って飛び込むと、狐は必死に逃げ回り追いつめられると、”狐の最後っぺ”を発射して這々の体で逃げ延びた。
 そこに主人が帰って来た。この話を聞いて、「お稲荷さんのお使いに何と言うことをしたのだ。誰のおかげで、この店があるんだ。厄払いにお稲荷さんにお詫びに行くぞ」。
 話変わって、化かした男は友達の家に扇屋の卵焼きをお土産に持って行く。事の次第を話すと、友人は「狐は執念深い。そんなたたりのある物は貰えない」と、脅かして帰す。家に帰ってきたが 、家族に異変が無く、たたりも何事もなかったので一安心。
 翌日、謝りに狐と会った所に手土産を持って訪ねると、子狐が遊んでいた。子狐に事情を話し、お詫びの印だと土産を渡す。
 さんざんいじめられて苦しんでいる母狐に、今人間がきて謝りながらこれを置いていったと渡す。「人間て執念深いんだね」と警戒しながら開けてみると、美味しそうなぼた餅が出てきた。子狐は盛んにほしがるが、母狐は「いけないよ。馬の糞かもしれない」。

 

 お店にいた14代目の店主によれば、「何で料亭を無くしてしまったのか」とお客からよく叱られるとか。

 かんじんの卵焼きですが、ほんのりと甘みがあり、さっぱりとしていて上品、美味しく食べられます。さすが、明治天皇も二度、食べられた料理といえると思います。

CANNON IXY 31S で撮影

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