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MIUコンサルティングオフィス・社会保険労務士三浦剛のブログです。

内々定取り消し、二審も会社に賠償命令

2011年02月17日 | 労働法
 大阪近郊の社長さん、人事担当者のみなさんへ

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   MIU勉強会5 労務管理基礎講座(採用基礎編)

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【内々定取り消し、二審も会社に賠償命令 「説明不十分」】
  賠償は大幅減額 《日経Web 2011/2/16 14:59》より

 不動産会社コーセーアールイー(福岡市中央区)が採用の内々定を一方的に取り消したのは違法として、30代の男性が同社に約115万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は16日、一審福岡地裁判決に続き会社側の責任を認め、賠償を命じた。賠償額は一審の85万円から22万円に変更した。

 判決理由で広田民生裁判長は「事前連絡や経緯の説明に不十分なところがあったと認めざるを得ない」と指摘し、同社の不法行為と認定。一方で「内々定の撤回には企業経営上の相当な理由はあった」と述べた。

 訴訟の焦点だった内々定が労働契約の成立に当たるかの判断については「内々定は内定と明らかに性質が違い、企業が新卒者を囲い込んで他の企業に流れるのを防ごうとする活動の域を出るものではない」として、一審同様に労働契約とは認めなかった。(以下略)

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 男性は08年7月に内々定を通知され、入社承諾書を提出し就職活動を終了しましたが、同10月の内定式直前2日前に、世界的金融危機など経営環境の悪化を理由に内々定を取り消されました。同社からはその後、具体的な説明はなかったというのが事件の概要です。

 昨年6月の福岡地裁判決は、内々定の取り消しをめぐる訴訟で全国で初めて賠償を命じたものとして注目されました。「原告への影響を十分考慮せず、内定直前に急いで取り消したのは信義則に反する」としました。
 そして、控訴審でも「内々定の撤回には経営上の理由があったが、事前連絡や経緯の説明に不十分なところがあった」として同社の不法行為と認定されました。

 内々定は労働契約にはあたらないという判断は妥当でしょう。しかしながら、労働契約を結ぶ過程での信義則に反するとして違法性を認められました。

 説明を含めた誠実な対応が信頼への一歩ですね。
 人事労務面では「基本の基」です。

日航に整理解雇された146人が違法で無効と集団提訴

2011年01月20日 | 労働法
【日航に整理解雇された146人が違法で無効と集団提訴】
  《PSRネットワーク 2011/01/20》より

 経営再建中の日本航空を解雇されたパイロットや客室乗務員146人が19日、整理解雇は違法で無効だとして、地位確認や賃金支払いを求める集団訴訟を東京地裁に起こしました。

 提訴したのは機長17人、副操縦士57人、客室乗務員72人の計146人で、日航が解雇した165人の約9割に当たります。訴状によると、日航は昨年12月9日、原告らに解雇を通告したうえで、同31日付で解雇したということです。

 日航は1年前の昨年1月19日、会社更生法の適用を申請しました。日航と管財人の企業再生支援機構は同8月末、今年3月末までに約1万6千人のグループ従業員を削減する更生計画案を地裁に提出し、約1500人を目標に社員の希望退職を募りました。全体では社員1700人以上が希望退職に応じましたが、会社側は、パイロットとCAの退職者は目標を下回ったとして、昨年12月9日、パイロット81人、CA84人の計165人に解雇を通告したうえで、12月31日付で解雇しました。

 今後、(1)人員整理の必要性 (2)解雇回避の努力 (3)対象者の選び方の合理性 (4)手続きの妥当性 の「整理解雇の4要件」が満たされているかどうかを巡って争うことになりそうです。

   ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

 訴状によると、
1.日航は営業利益が計画を大幅に上回るなどしているのに、客観性のない人員削減目標を設定。
2.ワークシェアリングなどの解雇回避措置も尽くさないまま整理解雇を強行した。
3.病気欠勤や年齢を人選基準としたのも合理性がない。
4.白紙の業務スケジュールを対象者に示すなど手続きにも問題があった
と指摘しています。「整理解雇の4要件」のいずれも満たしていないとしています。

 どのような判断が下されるのでしょうか?

 各紙から、それぞれの思いを…

 乗員組合の宇賀地竜哉委員長は
「4要件はいかなる状況でも厳格に適用されることを、きちんと訴えることが社会の利益」

 CCUの原告団長の内田妙子さん(57)は
「これまで何度も放漫経営の問題点を指摘してきたが、会社は改めなかった。『社員も甘えている』という社会の誤解を取り除きたい。

 日航広報部の話
「会社更生計画の実現・完遂のためには確実な人員規模の適正化が必須。あらゆる策を講じたが、更なる対応が困難になり、やむを得ず整理解雇を実施した。処遇や条件などは希望退職で去られた方とほぼ同等で、理解を得られず非常に残念」

 日本航空の稲盛和夫会長は19日の記者会見で、
「断腸の思いだが、(更生計画に盛り込んだ人員削減の)約束事を破ると今後の(日航)再生のプラスにならない。大変だけど認めて欲しい」

 大西賢社長は
整理解雇に必要とされる「必要性」「人選の妥当性」など4要件について「満たしている」との認識を示した。

 日航の管財人/である企業再生支援機構の瀬戸英雄委員長は
「通常会社だったら破産、清算せざるを得ない会社で3万人以上の雇用を確保したことをご理解いただきたい」


労働政策審議会建議「今後の職場における安全衛生対策について」

2010年12月25日 | 労働法
 労働政策審議会(会長:諏訪康雄法政大学大学院政策創造研究科教授)は、安全衛生分科会(分科会長:相澤好治北里大学副学長)において検討を行った結果、細川厚生労働大臣に対し、今後の職場における安全衛生対策について建議を行いました。

 社労士受験生のみなさんには「建議」はなじみのある言葉ですね。少し前に選択式で出ました?

 労働政策審議会は、労働政策について「諮問に応じて調査審議すること」のほかに、「厚生労働大臣または関係行政機関に意見を述べることができる」となっています。この「意見」が「建議」にあたります。

 22日に出された建議において実施すべきとされた対策の柱は4本です。
 1.機械譲渡時における機械の危険情報の提供の促進  
 2.職場における自主的化学物質管理の促進       
 3.職場における受動喫煙防止対策の抜本的強化     
 4.職場におけるメンタルヘルス対策の推進   


 3の「職場における受動喫煙防止対策の抜本的強化」として、一般の事務所、工場などは全面禁煙や空間分煙とすることを事業者に義務づけるがありました。この内容については、12月8日の本ブログでも伝えています。

 念のために、繰り返します。
 職場における受動喫煙防止対策に関しては、労働者の健康障害防止の観点から、一般の事務所、工場等は全面禁煙(建物全体や車両内全体を常に禁煙とすること)や空間分煙(一定の要件を満たす喫煙室でのみ喫煙を認め他の場所は禁煙とすること)とすることを事業者の義務とするのが適当としています。
 ただし、飲食店などで喫煙可能をサービスに含めて営業している場所については、顧客の喫煙制限が、営業上の支障が生じ全面禁煙・空間分煙が困難な場合、当分の間、可能な限り労働者の受動喫煙の機会を低減させることを事業者に義務づけるのが適当としています。


 平成19年労働者健康状況調査のデータからみます。職場における受動喫煙の現状は、「全面禁煙」又は「喫煙室を設けそれ以外を禁煙」のいずれかの措置を講じている事業所の割合は46%でした。そして、65%の労働者が職場で受動喫煙を受け、92%の労働者が喫煙対策の改善を職場に望んでいます。
 今年6月閣議決定された「新成長戦略」では、「2020年までの目標として、受動喫煙の無い職場の実現」が出されています。

 参考資料として『労働政策審議会安全衛生分科会報告書(案)概要』が公表されています。
 その中では、
▼一般の事務所、工場等については、全面禁煙や空間分煙とすることを事業者の義務とすることが適当
▼飲食店等の顧客が喫煙できることをサービスに含めて提供している場所についても、同様の措置を取ることが適当であるが、それが困難な場合には、当分の間、換気等により可能な限り労働者の受動喫煙の機会を低減させることを事業者の義務とすることが適当
▼罰則は当面付けず、対策の進捗状況を踏まえ対応
▼国は、事業場の取組を支援するため、技術的支援及び財政的支援を行うべき
▼国民のコンセンサスの形成に努め、できるだけ早期に新成長戦略の目標を達成できるよう取組を推進


 飲食店では厳しい問題です。でも、働く人の健康は大切です。「国民のコンセンサスの形成に努め」とありますが、一昔前と比べると「禁煙が当たり前」は広がってきました。少しずつの変化は気がつきにくいですが、振り返ると変わっていることが実感できます。愛煙家には厳しい日が待っていますね。

職場の受動喫煙対策 義務化へ ~罰則規定は見送り~

2010年12月08日 | 労働法
【職場の受動喫煙対策 義務化へ ~罰則規定は見送り~】
           《PSRネットワーク 2010/12/07》より

厚生労働省の労働政策審議会は6日、職場での受動喫煙対策の新たな規制に、事業主への罰則規定を設けない方針を決めました。

職場での防止対策はこれまで事業主に対して義務化されておらず、審議会ではことし7月から、対策を強化すべきかの検討をしてきました。 厚労省が同日示した対策の骨子として、事業所に全面禁煙か喫煙室設置による空間分煙を法律で義務付ける一方で、飲食店やホテルなどについても、喫煙を規制することで営業上の支障が生じる場合は、換気など受動喫煙の機会を低減させる代替措置を義務付けるとしています。違反した事業主に対しての罰則は設けず、労働基準監督署の是正指導にとどめるということです。

審議会は今月中に具体的な対策をまとめ、厚生労働省はそれをもとに「労働安全衛生法」の改正案を作成する方針です。早ければ来年の通常国会にも提出される見通しです。

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 本ブログでも、公聴会での様子を11月12日に取り扱ってますが、日経Webを読むと、『この日の分科会では、労働者側が神奈川県の受動喫煙防止条例に罰則規定があることを指摘し「義務化の実効性担保のためにも、罰則は必要」との声が上がったが、事業者側の「罰則まで設けるのは厳しすぎる」との意見に配慮し、見送りを決めた』ようです。

 「受動喫煙」は、心筋梗塞や肺がんなどの病気を引き起こす原因となり、働く人の健康面が重要視されなければならない中、義務化は一歩前進です。が、罰則を望む方は、より実効性を伴ったものになることを期待してですね。裏を返せば、義務化と言いながらも「本当に大丈夫?」という不安が大きいと言うことです。

 一杯飲みながらタバコを、これは日本の居酒屋の風景でした。バーのカウンターの片隅で紫煙とともに感慨にふける姿にあこがれたお父さんもいましたが、難しくなってきましたね。

 職場全体を禁煙にする、もしくは分煙室を設置。飲食店などでも換気設備を整えるなどして、客が吸うたばこの煙の量を一定の基準以下に抑える対策をとることを義務づけ。これからは酒を飲む風景も変わっていくでしょうね。

 中小企業や規模の小さな飲食店にとっては対策への負担が大きいでしょうね、大変です!という声をあって、厚生労働省は財政的な支援についてもあわせて検討しているようですが…、どうなるでしょうか?

日航、整理解雇へ最終調整 希望退職の応募者不足

2010年11月11日 | 労働法
【日航、整理解雇へ最終調整 希望退職の応募者不足】
     《2010/11/10 2:00 情報元 日本経済新聞 電子版》より

 会社更生手続き中の日本航空が9日、整理解雇を実施する方向で最終調整に入った。日航はパイロットと客室乗務員を対象に同日、希望退職の最終募集を締め切ったが、270人の削減目標に対して100人以上が不足していた。これを受けて週内にも正式決定する見通しだが、労組側の反発は必至だ。(以下略)

   ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

 整理解雇は、人員削減の最終的な方法です。
 整理解雇を実施するための要件は、あらゆる解雇の中で最も厳しいものです。
(1)解雇をする経営上の必要性があること
(2)解雇を回避するための手段を尽くしたこと
(3)解雇者対象者の人選(選定基準)が合理的なものであること
   かつ、適正運用がなさえなければなりません
(4)労働組合または労働者代表と協議を尽くすこと(手続きの相当性)

 以上、整理解雇の4要件(または4要素)と言われています。
 どれか一つでも欠けていると無効となるという意味での法律要件ではなく、4つの要素として総合的に考慮し、権利濫用か否かが判断されているので4要素と言われています。

 整理解雇は、一部の者を解雇することにより会社が生き残る手段です。
 とは言え、解雇対象者の社員は「なぜ自分が…」という思いで、なかなか簡単に納得できないでしょう。選定の基準は公平で合理的なものでなければなりません。
 
 すでに、一つの労働組合に加入するパイロット87人が、一部の乗務員に退職を勧める管理職との面談以外は乗務を含む具体的な業務を設定しない勤務を指示ことは不当だとして、退職強要の差し止めを求める仮処分を東京地裁に申し立てをしています。

 ほんとうに難しいですね。