世界で一番注目されている電気自動車ベンチャーの米Tesla社が、先週ナスダックにIPOした。
IPO価格は約15ドルとのことだったが、初日の終値は約24ドル。
私は、電気自動車(EV, Electric Vehicleの略)の時代は割と早く到来するだろうと思っていて、
2020年には新車市場の3割がEVに占められる、というシナリオも十分ありうると思っている。
(まあ日本政府としては、2020年には5割をEVにすることを目指してるらしいが。
日本の経済活性化のためにもヴィジョンとしてはこのくらいのつもりでいて欲しいと思う。)
数字の裏づけはともかく、EVが意外と早く普及するかも、と私が思っている理由は次の二つ。
1) EVの長所である、燃料効率の良さと手軽な高性能さ(静かで加速性能高い、構造シンプル)は、内燃機関の車の持続的な開発では実現できないものであり、現在の市場に本質的に評価されるものだから
2) EVの決定的な短所である、電池価格、航続距離、充電時間などは、技術・ビジネスモデルの両面で徐々に解決のめどが立ちつつあるから
イノベーティブな製品が、既存製品よりも最初は圧倒的に性能が劣るのは歴史の常である。
しかし開発を担う人が増え、出荷量が増えると、性能は飛躍的に上がり、コストは下がっていく。
だから新しい技術を見る際に見るべきポイントは常に、
1) その製品の本質的な長所は、既存技術が追いつけないほど圧倒的なもので、かつ市場に評価されるものか
2) その製品の決定的な短所は、解決のめどが立っているか
の二つ。
それ以外の、性能やコストが現状で劣っているか、で議論するのは本質的ではない。
これはガソリン車自身の普及や、最近ではデジカメや液晶テレビなどのイノベーションの歴史が物語っている。
(こういう見方については、またそのうち記事に。今日はEVの話を。)
で、電気自動車については、この条件をどちらも満たしている、と私は考えているということ。
折角なので、今回上場したTesla社が発表している資料などをもとに、この辺りをまとめておきたい。
1) EVの本質的な長所が、既存技術を圧倒していることについて
まず燃料効率とクリーンさについて。
ガソリン車は、石油から精製されたガソリンをその場で燃やしてエネルギーとするのに対し、
EVは石油や石炭などを電気エネルギーにすでに変換したものをつかって充電する。
だから「燃費」のようなもので両者の効率を比較することは出来ない。
そこで、「同じ量の化石燃料を使ってどちらが長い距離を走ることが出来るか?」を比較したのがこちらである。
熱量単位MJ(メガジュール)をつかい、原油や天然ガスなど油井から取れた1MJあたりの航続距離(Well to Wheel)を見たものだ。
左から順にそれぞれ、天然ガス車、水素燃料電池車、ディーゼル車、ガソリン車、ハイブリッドのなかで燃料効率が高いとされているものを選んでいる。
(日本企業が多いのは日本人として誇ってよい(笑)-てか実際にはハイブリッドはHonda Insightの方が効率は高いはずなので、Hondaがスゴイって話かもしれないが。)
一番右は、電気自動車の代表としてTesla社のRoadsterである。
図を見れば分かるように、油井から取れた化石燃料から見た効率では、
EVはあらゆる内燃機関車の2倍以上効率が良い、と言うのがTesla社の主張である。
実際には発電は化石燃料だけでなく、原子力などもつかってるが、ここでは100%化石燃料から、最も効率の良い方法で発電されているという仮定。
更にCO2排出の面から見ても、EVは内燃機関車に比べて圧倒的にクリーンだ、と主張している。
次に、EVの本質的なメリットは、加速が非常に静かなのに加速性能が高いというところ。
加速性能は通常、100km/hに達するのに時間がどのくらいかかるか、というので見るんだけど、
通常のガソリン車が10秒以上、ポルシェなどのスポーツカーが4-5秒程度なのに対し、EVは現在コンセプトカーが発表されてるところのは、どこも4-7秒である。
また、プリウスに乗って既に感じたことがある方も多いと思うが、電気自動車の加速はとても静かだ。
ほとんど音もせず、急速に加速できるのがEVの特徴だ。
Tesla社はこれらの二つの性能をまとめ、次のようなマトリックスにしている。
すなわち、内燃機関車では、燃費は悪いが加速性能の良いスポーツカータイプか、
加速性能は悪いが燃費が良いエコな車のどちらかしかなかった。
電気自動車では、その両方を同時に達成できる、というのが彼等の主張だ。
電気自動車のメリットとしては、これ以外にも「手軽に充電できる」というのがある。
わざわざガソリンスタンドに行かなくても、将来的には自宅で、プラグをつなげば充電できる手軽さが実現できるはずだ。
それから「構造がシンプルで部品点数が少なくてすむ」というのも大きなメリットだ。
自動車業界にとっては大きな打撃となるが、消費者から見れば、構造がシンプルな方が故障の原因なども見えやすく、部品を交換すればすぐに直ることが多いので助かるわけである。
このように、新規技術が既存技術とは異なる評価軸で既存技術を圧倒しているのは、クリステンセンなどが論じている「破壊的イノベーション」に良く見られる現象だ。
最初は劣っている性能が多いから、既存技術が油断しているうちに、
劣っている性能についても、そのうちインフラが整い、開発者が増えるにつれて徐々に既存技術を追い抜き、既存技術の市場を徐々に破壊していく、という話である。
2) 電気自動車の決定的な問題点について、解決のめどが立ちつつある
電気自動車が普及しない可能性がある、最大の問題点は次の4つであると言われている
a. 電池が高い。
b. 一回の充電に時間がかかる
c. 一回の充電での航続距離が100km程度と短い
d. 安全性が低い、十分に確認されていない
これらについては、dを除いて徐々に解決のめどが立ちつつあると私は見ている。
まずa. は、電池が高いのは仕方ないので、売り方を変えることで解決しようという流れ。
自動車各社が考えているのは、車体は普通に販売し、電池をリースにするという発想だ。
実際には、電気自動車のアーリーユーザーは電池を所有したいらしく(汗)、日産も初のフルEV車を電池込みで発売すると言うし、まあどうなるかは分からない。
しかし電池は半導体とかと違い、量産だけでは中々コストが下がらないものなので、「車はステータスじゃない。足だ」という層にまで普及するには、この電池リースは私は必須だと思ってる。
もう一つは電池の素材を変えることで電池の寿命を増やす、コストを下げるなど、技術で解決する流れ。
リチウム電池以外の可能性を、材料メーカーや電池メーカーが模索中である。
この辺はすぐに実現ってわけにも行かないので、上の売り方と併用で様子見である。
b. は、皆さんも携帯電話などで日々感じてる「電池切れで使えないよ。充電時間かかるし。」が、車で起こったら困るでしょって話。
EVの充電は、7-8割充電するだけでも30分から1時間かかると言われている。
ガソリン車みたいに、「燃料がなくなったらスタンドですぐに補給」が出来ないのがEVの最大の問題の一つだ。
これも、まずはビジネスモデルによる解決方法で、「充電に時間がかかるなら、使いきるごとに電池を交換すればいいじゃない」という発想が始まっている。
米Better Place社などのベンチャーを中心に、EVの電池を各社で標準化することで、「電池ステーション」で電池を新しいのに交換すれば満タンにできる、という動きだ。
安全性とコストに問題はあるが、タクシーやレンタカーなどから実現を狙っている。
また、この問題を解決するのは諦めて、「家と会社とせいぜいスーパーに充電器置いて、通勤と買い物にしか車使わないって層に売ればいいじゃない」という発想の人たちもいる。
こうやってまずは普及することで、次第に充電ステーションを増やしていけば、「すぐに補給」が出来なくて困るのは長距離の旅行くらいじゃないの?というわけだ。
もう一つは、電池自体を急速充電可能なものにする、技術で解決する流れだ。
例えばMITなどを中心に現在研究が進んでいるのは、「そもそも化学電池を基にした充電池を使ってるから時間がかかる。巨大容量キャパシタを使えばよい」という発想。
理系の皆さんはご存知の通り、静電エネルギーをそのまま溜め込むキャパシターは、2次電池と違い急速に電気エネルギーを「溜め込む」ことができるわけで、それを使って充電地にしようっていう発想だ。
もちろん、安全性、コストなど色々問題はあり、すぐには実現できないが、技術の一つの大きな流れにはなりうる。
c. で、一回の充電で走れる距離が短いのも、ずっとネックだった。
特に国土が広くて、普通に通勤に片道30マイル(約50km)とかかかるアメリカでは、航続距離が60マイル(100km)は致命傷だと言われていた。
通勤は何とかなっても、週末にゴルフにも行けないよ、という印象だった。
ちなみに、ガソリン車は一般的に満タンで250マイル(400km)走ると言われている。
しかしこれも、実際にはブレーキやインバーターの開発で、EVの「燃費」は爆発的に上がっており、航続距離はかなり拡大している。
日産や三菱自動車が売り出すEVも航続距離はすでに160km以上の予定だし、Teslaも次のModel Sでは、ガソリン車とほぼ同じ航続距離236マイル(380km)を実現すると宣言している。
(追記:日産リーフの航続距離は、実用ではずっと短いという発表も→こちら参照)
また、いわゆる逆ハイブリッド車、つまり通常は電池で走るが、電池がなくなったらガソリンで走ることも出来る、で解決する案も無視できない。
充電スタンドなどのインフラが普及せず、航続距離も短い間は、これが問題解決の有力な解になりうる。
最後のd. 安全性だけは大きなネックで、家電と違って「新しい技術だからちょっと不具合は仕方ない」では済まされないのが車だ。
最初は自動車各社にぐっとコストの形でのしかかるだろうが、数がはけるごとに徐々に解決するものだと思う。
以上。
もう一度振り返ると、消費者から見れば、環境負荷が少なく、静かで加速性能も高い、家で充電できる手軽さ、というのは、ガソリン車に比べて圧倒的なメリットなのだ。
それで、そのほかの不便な部分は解決のめどが立ちつつあるのであれば、アーリーアダプターが使い始めるだろう。
そうすればコストやインフラ(充電スタンド)の問題は徐々に解決する。
こうなれば、一般消費者も電気自動車を選ばない理由は無いのである。
2020年にどうなってるか、というのはもちろんまだ分からないけれど、こういう理由で私はかなりポジティブに見ている。
参考資料: Tesla "The 21st century Electric car (2006)", その他Tesla資料。
NYTimes Blog "Wheels", Detroit Free Press, その他ネット上記事。
電池は構造が単純ですので、大量生産によるコスト低下はほとんど望め、電池の能力も、技術的な問題はなく、物理化学的な原理の問題で、技術では越えられないので、電気自動車の用途は非常に限られてくるとと言われている方もおられるようですが。
また電池は機械、電気、電子関係の技術者ではなく、その本質は電気化学、材料関係の専門家でないと分からないように思うのですが?
『数字の裏づけはともかく、EVが意外と早く普及するかも、と私が思っている理由は次の二つ。
1) EVの長所である、燃料効率の良さと手軽な高性能さ(静かで加速性能高い、構造シンプル)は、内燃機関の車の持続的な開発では実現できないものであり、現在の市場に本質的に評価されるものだから
2) EVの決定的な短所である、電池価格、航続距離、充電時間などは、技術・ビジネスモデルの両面で徐々に解決のめどが立ちつつあるから』
今のEVを取巻く環境(自動車、インフラ等)は、
女性やお年寄り等の視点から作られている
ようには見えません。
すごく内容的に高度な事が書かれていますが、
ほんとに電気自動車を普及させていくには、
大衆目線での議論がもっと必要ではないかと
思われます。
もっとドロドロした力強い、賢い人の話でない
観点が必要のように思います。
(1)冒頭にあるように、新技術や手法が従来に取って代るのに必要な二つの要素について、Tesla社資料を基にEVについて検証すると綺麗にまとまる。つまりイノベーションの考えが主題であるように残念ながら感じました。
(2)私は、車は人が「面」で移動できる素晴らしい道具だと思います。鉄道は電化が進んでますが「線」ですね。車の電化は「面」いや「網」のインフラ整備が鍵ではないでしょうか?
大型車はガソリンエンジンではなくディーゼルエンジンです
アメリカで多いピックアップトラックはほとんどディーゼルです
ディーゼルの燃料は、基本的に燃える液化燃料であれば何でもいいのです
>ガソリン車のEnergy efficiencyの分母のエネルギーが過大に見積もられている
これがガソリン車は「多岐にわたる原油生成物の中でガソリンしか使えない」のを非効率と見るかどうか、という議論です。
Well to wheelでは油井からの生成物を全て分母に入れています。
一方、このTeslaの計算で使ったのは石油ではないですが、発電では本来はもうすこし効率的に原油生成物を使うことが出来ます。
現在、火力発電で用いられる世界の主流はLNGか石炭ですので、石油で計算するのもおかしな話ですが。
現在の石油精製は、最も値段の高いガソリンを多く精製するように最適化されているんです。
発電における石油(重油)の使用が減っているため、重油からガソリンを精製する技術なども発達しています。
しかしながら、それには限界があるわけで。
一方で、発電の場合は本来は重油だけでなく、最も軽い生成物であるLPガス(実際家庭用発電に使われている)までを活用できる、というのは大きなメリットだと思います。
分母の違いはそこに現れています。
ご指摘ありがとうございます。
ご指摘の点をうまく説明するのに、また長文を書かねばならないので、
別の所にまとめて書く記事の中で、お返事させていただきたいと思います。
@Lilacさん、
お返事ありがとうございました。
ご指摘の原典、読まさせていただきました。
(http://www.fcinfo.jp/whitepaper/687.pdf)
送電・充電時のロスは"Well to station efficiency"に
含まれているのは分かっているのですが、
それとは別の議論で、ガソリン車のEnergy efficiencyの
分母のエネルギーが過大に見積もられているので、
同様には比較はできない、という点を伝えたかったのです。
これ以上長文のコメントを書くと、
さすがにご迷惑だと思いますので、まとめて記事を書いてから、
リンクなりトラックバックなりでお知らせさせていただきます。
失礼いたしました。
何度も書きますが、一応Teslaの試算は送電・充電時のロスを想定したものだと本人たちが言ってるので年頭においてあげてください。
ていうか、原点、普通にネット上で手に入りますので、読んでからそういう反論書いてくださいよって感じでございます。
>公平な比較をするためには、ガソリン車で使ったガソリンを
>電気エネルギーに変えた時のエネルギーを基にしないと
>どちらが資源エネルギーの節約になるかという議論のためには使えません。
well to station efficiencyで差がついているので考慮しているのでは?
HONDACNGが86%でTeslaが52.5%ですから。
#52.5%はちょっと高い気もしますが。
ガソリン車とEVでは、単位のkm/MJが同じようで
意味してる事が違うことに注意しないと
公平な比較にならないと思います。
ガソリン車の場合は、エネルギーを
燃料を完全燃焼にさせた時の全エネルギーを基に計算されているのに対し、
EVの場合は既に電気エネルギーになったエネルギーを基に計算されています。
公平な比較をするためには、ガソリン車で使ったガソリンを
電気エネルギーに変えた時のエネルギーを基にしないと
どちらが資源エネルギーの節約になるかという議論のためには使えません。
ガソリンは低効率(40%)な汽力発電しかできませんから、
送電ロス無しとしても0.63[km/MJ(燃焼)]/0.40 = 1.58[km/MJ(電気)]
になります。
そうするとWell-to-Wheel Efficiencyは1.29km/MJになり、
EVより高効率となります。
あとエアコンを使うと、さらにガソリン車が有利になります。
EVには使えるエネルギー資源の種類を多様化させたり、
ガソリン支給インフラが整っていない所でも使えたり、
製造・メンテが用意になるなどのメリットはあると思いますが、
まだエネルギー効率に関しては、
ガソリン車にようやく同程度に追いついたところで、
効率を伸ばして行けるかどうかは、これからの開発次第です。
ネット上で、このEV業界の不公正な比較に気づいている人が
ほとんどいなかったので、このままEV=断然エコという
風潮が広がることを危惧したために書かせていただきました。
こんな事を書いてしまいましたが、
Lilacさんの記事はいつも楽しみにしていますので、
これからもどんどん提案していってください。
では。
参考:
(0.63[km/MJ]が完全燃焼エネルギーを基にしてあることを示すための計算)
ガソリン1Lあたりの発熱量 44MJ/kg
ガソリン(プレミアム)の比重 0.77kg/L
で計算すると、
上記のデータにあるHonda Civic VXの51mpg=21.7km/Lから
1kmあたりに消費するガソリン0.046L分を「完全燃焼」させた時に生じるエネルギーは、
0.046[L/km]*0.77[kg/L]*44[MJ/kg]=1.561 [MJ/km]
となりこの逆数の 0.64[km/MJ]が上記の"Vehicle efficiency"とほぼ等しくなっています。
確かに電気自動車の脅威は技術的な発展が出来るか否かもですが、希少金属の依存度が高まることにもありますよね。(略)
ただそれも、現在のリチウム電池を使用した場合なので、電池の開発というのは今後も重要な位置づけになると思います。
kumasukeさんは、モータの磁石材料の希少金属のことを話されていたと理解したんですけど、それがなぜリチウム電池を使用した場合に限られるんですか。電池が進歩してモータの磁石は多少性能が落ちてもかまわなくなるという意味ですか? けれど、メーカーは性能を競い合うでしょうから、やはり磁石にネオジウムなどを使うと思いますけど。
@kumasukeさん
燃料電池車のモーターにはネオジウムなどは使われていないんですか?
コメント有難うございます。
ライブドアの方は転載していますが、あちらのコメントは私はたまにしか見ないし、基本的に変身はしていないです。
>多くが電気自動車に変わったとき,それを賄える程の量が存在するか?
これはおっしゃるとおりで、希少金属に頼らない電池の開発が必須になってくると思います。
特に希少金属を産出しない日本のメーカーはこの辺り、やっきになって開発をしているところだと思います
>電気に関して,発電所からの送電のロスを考慮していないのか不明ですし、充電している以上,自然放電がありそうなのですが
是非原典を見ていただければ、と思うのですが、一応彼等の試算では50%のロスを仮定してさっぴいている計算になっているようです。
ライブドアブログのほうにコメントさせていただいたのですが,こちらの方が主なんですね.
概ねその通りだと思います.ただ,技術者の卵の自分としては電気自動車が持続可能であるのか疑問です.バッテリー,モーターなどの性能は技術者の努力であり喜ばしいことです.
その一方で,電気自動車をはじめとした新しい技術に関しては,レアメタルの使用は重要な要素だと思います.リチウム,ネオジムなど,名前を挙げればきりがないですが,性能は良いが希少金属を大量に消費するというのは,大きな問題だと思っています.電気自動車以外にも,太陽光発電や熱電材料など,他の多くの技術に関しても希少金属が大きな要素になっていると思います.
多くが電気自動車に変わったとき,それを賄える程の量が存在するか?というのが,自分のなかでは大きな問題であると思っていて,その点から考えると,電気自動車は難しいかと思います.あくまで,現時点の技術でリチウムなどを大量消費するということが前提ですが.今使っているような希少金属を使わない,新たな素材,例えば酸化物系などでよい性能の電池が新たに開発されれば,話は変わってくると思います.自分はそちらのほうが専門ではないので,詳しいことは分かりかねますが...
他の方が指摘されているように,市場価格の問題もあり難しいと考えています.
それに,本文中の「同じ量の化石燃料を使って」の件は,少し不公平な比較だと思います.電気に関して,発電所からの送電のロスを考慮していないのか不明ですし,大規模発電の効率が良いのはまあ当然です.専門でないので分からないのですが,充電している以上,自然放電がありそうなのですが,そのあたりのガソリンとの比較もしてあればと思います.
長々と失礼致しました.以前から大変面白いブログだと思っておりましたので,今後も読ませていただきます.
Jobs-To-Be-Doneはクリステンセン教授が最近言い出した概念だと思いますが、個人的には余り強いメッセージはないと思っています。
おっしゃるように、特に成熟した製品の場合はセグメントによって求めるものが全く異なるから、Jobs to be doneまで掘り下げた共通ニーズがあることは通常は困難だからです。
クリステンセンが1997、2001の著作で挙げているイノベーションのジレンマの大量の例とも矛盾するものは沢山ありますしね。
ただ仮にこだわるならば、記事中に書いたように、「自宅で充電して使える」「静かで加速性能が良い」というところがそれに当たるのではないでしょうか?
私自身、これまで多数のR&Dプログラムのマネージメントに携わってきました。その個人的な経験の範囲内でいうと、EVのような新しいプラットフォームによるValue Network の変化は、事業の収益性と 消費者のValue Equationには影響を与えますが、市場を塗り替えるような革命的な新製品普及(PC, 携帯電話などのような)にはつながるのかどうかは疑問です。やはり、消費者 のJobs-To-Be-Done に対して、いかに既存の製品から差別化された、Step Change なベネフィットと製品経験を提供できるかが、新製品成功のポイントだと思っています。その点からEVはどうなんだろうと疑問に思ったわけです。
このような思考の機会につながるような貴重な記事ありがとうございます。
すみません、こちら見落としておりました。
電池がご専門なのですね。
非常にポイントがわかりやすいコメントで、参考になります。
>・鉄系材料について、モバイル向けには不利ですが自動車向けとしては本命視されています。キャパシタも当然組み込みます。原理的にキャパシタは充電速度がバッテリーの100分の1です。キャパシタかバッテリーか、というのは誤りで、両方を組み合わせるのが工学的には正しいアプローチ
これは私は勉強不足でわかっていなかったです。
もう少し電池については勉強しなければなりませんね
@SAGAさん
有難うございます。
おっしゃるとおり、新興国・途上国でのEV普及は無視できないどころか、市場の大きな部分を占めるようになる可能性があると私も考えます。
途上国では、固定網が普及する前に携帯電話網が普及し、携帯電話市場の半分近くを占めるに至ったのと同様のことが、新興国・途上国では起こる、というシナリオも十分にあると思います。
ここで使われているWell to Wheelというのは、エネルギー源によらず、油井からのエネルギー単位で算出したトータルの燃料効率ですよ。
石油(CxHy)も天然ガス(CH4)も、全ての化学エネルギーは分子構成からどれだけのエネルギーが取れるか計算できますのでそれを使ってるわけです。
ただし、原子力発電は化学エネルギーでは無いので、算出は出来ない、ということです。
@Asさん
>ルーチンが決まってる人(駅への送り迎え等)以外買える状態
その通りですが、車を通勤に使ってる人などルーチンが決まってるひとは結構いますよね、と言うことです。
日本にも車を2台以上所有している人たちや、ご指摘のように都会などに住んで車を買い物や送り迎えにしか使わない人は結構いて、そういう人たちが最初のターゲットになるでしょう。
@Willyさん
インフラ重要ですね。どれだけインフラ整備コストがかかるのかは試算が必要。
@YSJournalさん
発電所の話は、昔の記事でも書いた気がしますが、化石燃料と新エネルギーのあわせ技で対処するしかないかと思います。
ただ、現状で発電に使われる化石燃料は3割、自動車に化石燃料を一切使わなくなると、その分が大分浮きますので、化石燃料の全体使用量は急激に減るでしょう。
>そんな日が来る事は私の生きている間にはないと思います
意外と10年後には買ってると思いますヨ。
ただYSJournalさんがお住まいのアメリカの中西部は様々な予想でも一番普及が遅いとされてるので、わかりませんが。
@samraiusaさん
電気自動車についてはChristensen教授とも議論させていただきましたが、彼はValue-networkが既存の自動車と変わってくることを重視していますね。
実際製品のアーキテクチャが変わると、Value-networkが変わるという議論はクリステンセンがイノベーションのジレンマを出す(1997)以前から行われていますので、ご参考ください。
Henderson, Clark (1990)
Christensen, Rosenbloom (1995)
そこまで自惚れていないのですが、こんなに上手そうな餌に手を出さない訳には行きません。電気自動車については、自分でもまとまり切っていないので、Lilacのエントリーに素直に意見してみました。
Teslaのデータを信じるて、環境への負荷が2分の1としても、それがどうしたという感じです。アメリカの電気自動車の電力消費量を自分のブログで考えた事があるのですが、アメリカの車が全部三菱のアイムーブになると、消費電力が12%アップします。アイムーブでこのざまですから、実際には30%アップとか言った大変な事になると思います。
インフラ整備としてチャージステーションの話題になりがちですが発電所の話も同時に考えないと普及がおぼつかなる可能性が大です。
補助金の継続に疑問を持っているのは、先進国の財政に余裕が無くなってきているので、経済成立するまで続けられないと思います。第一、継続的で大規模な補助金を当てにしたビジネスモデルはナンセンスだと思います。(ヨーロッパはエアバスの成功体験があるが、全く違う分野だし、振る袖のない現時点ではむり)
>本質的なのは「ガソリンスタンドに行かなくても家で充電できる」という手軽さが一番本質的なインパクト
これマジですか?私は車の良いところは、いつでもどこでもガソリンさえあれば自由に行ける事だと思っております。
もう車に入れ込んでもいないので、自分の好みとしてある程度のサイズと経済性があれば、電気自動車を買う事に迷いはないと思うのですが、そんな日が来る事は私の生きている間にはないと思います。社会の車に対する期待度が落ちて、これで良いのだとなって、普及が始まると言うシナリオもあると思います。
ゴルフガートも電気よりエンジンの方が好きなのと通じる所があるかもしれません。
時代遅れの恐竜の雄叫びでした。
ルーチンが決まってる人(駅への送り迎え等)以外買える状態ではないですよね。100kmだと通常の車の給油サインがでる距離でしかありません。日産のようにバッテリーを交換する方式なら実用に耐えられるかもしれませんが、普及するラインまで持っていくのにもう少し時間がかかると思います。
原油を精製するとガソリンだけでなく、軽油やC重油などもできるので、それらを利用するものも考慮する必要があるかと。
大型船舶は電気に切り替えるのは難しそうなので、C重油は必要。となるとついでにできるガソリンや軽油も利用した方がトータルでは効率が良いのではないかと思います。
この記事はYSJournalさんを釣るために書かれた記事と言っても過言では無いので(冗談です)、来てくださって嬉しいです。
さて
>もう少しデータを見てみないと真偽の判断は出来ないと思います
Teslaのデータが怪しいというのはいろんな技術者が言ってることですが、どこがどのように怪しいのか数字で具体的な反証・反論が無いんですよね。
あと日本の技術者とは計り方が違う、というのもどの業界にもある話ですし。
>静かで加速性が高いという事は、本質的な問題ではないと思う
これはそうかもしれませんね。
私も本質的なのは「ガソリンスタンドに行かなくても家で充電できる」という手軽さが一番本質的なインパクトだと思っています
>補助金等の下駄を外しても成立するのかが、普及するかどうかの最大ポイントになると思う
これは私も同感ですが、国によって違う、というのが現実的でしょう。
EVは最終的には下駄を外しても成立するようになる。
しかし「どの段階で」成立するか、が国によってどこまで補助金を出すかによって違うからです。
例えば、欧州や日本は比較的補助金で支援されて普及も速いと思います。
私は米国は、環境税のかかるカリフォルニア州とニューヨーク州以外では、結局ガソリン車のコストが圧倒的に安いので普及は難しいと思っています。
ただCAとNYでは普及するだろう、という読みです。
@NaokiChibaさん
燃料電池に関する詳しくわかりやすいまとめ、有難うございます。
そうすると特に車の場合は安全性の問題で普及しにくいと思われますね
@Junaさん
整備工場の普及については、ハイブリッド車の整備工場がモデルになるかと思います。
しかし、ポイントはEVはアーキテクチャがシンプルで、部品点数も少ないため、整備がより容易になるというところです
@Kumasukeさん
燃料電池に関して、情報有難うございます。
実は電池の話は「ドミナントデザイン」の視点からも面白いので、もう少し勉強したら展開したいです。
@Vertigoさん
こちらのコメントは、全体的に同意できる部分が多いです。
記事紹介有難うございます。
>一般の消費者から見ると電気か内燃機関かという中の違いはあまり大きな選択ポイントでなく使い勝手の面でどれだけの違いが出せるかということの方が大切です
全く同感です。
そして「家や会社の駐車場で充電できる」手軽さは大きなメリットになると思います
>安全性はどうなんでしょう?水没した時の感電などありますがガソリン車以上に危険という話は聞かないです。
リチウム2次電池の一番の問題点は衝撃に弱い、ということですね。
ただ、安全性問題の多くが「実証数・年数が少ない」から来てる話が多いですので、こればかりは実際普及しないとガソリン車を越えられるわけ無いわけで。
私はEVは最終的にはベンチャーよりも、大手車メーカーが有利だと思ってます。
もちろん彼等がガソリン車モデルに固執しなければ、と言う話ですが。
ただ私がよく訪問するバングラデシュやタイなどでは燃料の入手のしやすさ、低価格などから現在CNG車の割合が非常に高い状態です。
こういった課題は車両の問題だけでなくインフラや政情などが大きく絡んでくると思います。
またトラックなどの物を国を超えて輸送する運輸関係の車両までの普及はまだ掛かるのではないかと思います。
これからの日本は「外」の動きを見なければ生き残っていけませんが「先進国」ばかりが「外」でないこともご理解いただければと思います。
・現時点での問題点について、既存技術に比べて不利な点が挙げられるのはLilacさんのおっしゃるとおり「歴史の常」ですね。しかし現状すでに方向性が見えているのは事実(しかも方向性は複数ある)。あとは進捗の度合いの問題です。
・バッテリーの寿命(や性能)は使い方に依存する点、まさにその通りです。ガソリン車のように「残量がゼロに近づきそうだから補給する」という発想が根本的に無くなると思います。航続距離についても、最終的にはユーザが工夫する部分ではないかと思います。
・鉄系材料について、モバイル向けには不利ですが自動車向けとしては本命視されています。キャパシタも当然組み込みます。原理的にキャパシタは充電速度がバッテリーの100分の1です。キャパシタかバッテリーか、というのは誤りで、両方を組み合わせるのが工学的には正しいアプローチ。
・補助金が鍵という意見について、その通りだと思います。ということは、逆にいえば「解決策が明確」と僕は考えています。
【追記】
アフガニスタンでリチウムが。
http://www.cnn.co.jp/business/AIC201006150008.html
おっしゃるとおり将来的には原油も枯渇に向かい1バレル100ドル時代が普通になると思われ長期的にはガソリン車はEVのような乗り物に移っていくでしょう。
しかし、マジョリティにまで普及するにはまだいくつかの課題があると思います。
Teslaはプロモーションが非常にうまいので、データに関しては鵜呑みにしないほうがいいかもしれません。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20100525/214582/
EVの課題は大きく分けてコストとユーティリティですね。
まず自動車という商材が耐久消費財の中でも最も高価な部類に入ること、北米のような土地では生活の一部となっていることからコストはもっとも重要な部分です。
一般の消費者から見ると電気か内燃機関かという中の違いはあまり大きな選択ポイントでなく使い勝手の面でどれだけの違いが出せるかということの方が大切です。
環境負荷に関してはプリウスの普及の変遷を見ればある程度予測出来そうでセレブリティやアーリーアダプターには大人気でしたが、多くの一般人には「同じ値段なら環境に良いほうを選ぶ」程度の認識でした。日本でも補助金による補正があってやっと広い普及に至っています。
しかし、家で充電できる手軽さはガソリンスタンドに寄らなくてもいいという点で結構大きなポイントかもしれません。
コストに関しては構造がシンプルで部品点数が少ないという部分は大きなメリットです。
現在コストの約3分の2を電池が占めているということですがこれが下がればこのシンプルさのメリットが生きてきます。
ということでもっともネックなのが電池です。
電池の問題は多く挙げられているように航続距離、劣化度合い、充電設備などのインフラがなどでしょう。
これをどのようなイノベーションによって解決するかで普及年数はかなり変わってくると思います。
また、外部要因として政府の補助金などの後押し(ブラジルのバイオ燃料車普及など参考)、業界団体のバッテリー形状、サイズの規格統一、バッテリースタンド?の形式、インフラの整備などどのように展開させる予定によってもかなり左右されるでしょう。
安全性はどうなんでしょう?水没した時の感電などありますがガソリン車以上に危険という話は聞かないです。ただしパソコンのバッテリー爆発事件などを鑑みると長期テストは必要でしょう。
初期の電気自動車も電池がネックとなりコストとユーテリティーに勝るT型フォードに敗れ去りましたが、21世紀にまたパラダイムシフトが起こると面白いですね。
青色LEDは20世紀中には実用化は無理と言われていましたが、中村修二氏の開発によって爆発的に普及しました。
薄型ディスプレイ市場では北京オリンピック前にSEDや有機ELといった次世代技術を実用化させると各社息巻いてましたが、思ったような成果が得られず
また液晶やプラズマが弱点を克服してきた経緯もあり現在はキャノンはSEDを凍結、有機ELも小画面もものが実用化されただけです。
もちろんまだ終わった訳ではありませんが。
結局どれだけ早く普及するかは、破壊的な技術イノベーションがあるかないかがかなり重要ではないかと感じています。
既存メーカー、Tesla、BYD、エリーカ、それともまだ聞いたことないメーカーが?どこからイノベーションが生まれるのかも楽しみです。
燃料電池のメリットは、発電効率が良いこと。方式によっては30%~70%になります。据え置きタイプの燃料電池は徐々に普及しているそうですが、すいませんデータを見つけられませんでした。
問題は、コスト。設備だけでなく、ランニングコストも高い。水素は燃焼する時に周りの物質を劣化させる(水素脆化)そうで、部品交換などを定期的に行う必要があるそうです(燃料電池は運転温度がとても高く、100度以上必要で、1000度近く必要な方式もあります。運転温度が高いほど効率も良いです)。
あ、良く考えたら、燃料電池車も作った電気でモータを回して走るのですから、電気自動車ですね。
それと電気自動車に限った話ではありませんが、特に新興国において、恐らく現時点では外部不経済と化しているであろう自動車保険についても今後は社会問題になるだろうと思います。
携帯端末用は性能とインフラと言われます。性能が中途半端なのでインフラ整備の踏み切る会社がない。
燃料をメタノールで供給するDMFCが注目されていますが、コンビニなどで全国津々浦々、どこでも買えるようにインフラを整備せねばなりません。
唯一市販されている携帯端末用燃料電池は、東芝製ですが、燃料カートリッジを東芝から通販で購入せねばなりません。となると、出張先で購入はできず、予め準備して持っていかなければなりません。それならば、予備の二次電池を持ち歩くのと変わらない。
という具合です。
以外と早く普及するかもの理由への疑問
1)EVの本質的な長所が、既存技術を圧倒している
まず、燃費。このTesla社の資料は、怪しい。根拠は、Tesla以外の並びと比例が、ちょっとも他だけでも変だと思います。Honda VX がどの車を具体的に言っているのか不明ですが、記載通りガソリン車なら、燃費はプリウスより40%低いはずです。その上、『EVはあらゆる内燃機関車の2倍以上効率が良い』は主張であって、もう少しデータを見てみないと真偽の判断は出来ないと思います。
高性能を低燃費でという事も、同じ根拠で怪しい。
そして、静かで加速性が高いという事は、本質的な問題ではないと思う。
2) 電気自動車の決定的な問題点について、解決のめどが立ちつつある
技術、ビジネスモデルとも進化しているのは認めるが、補助金等の下駄を外しても成立するのかが、普及するかどうかの最大ポイントになると思う。(私は、補助金でのインフラ整備の継続に疑問を持っている)
Teslaはあだ花的に成功する可能性があると思うが、Back to the future のデロリアンの様に、将来ノスタルジックに思い出される車になる様な予感が。電気自動車の普及は、シェアの5%未満で終わる様な気がします。(2020年の新車市場という同じ時間軸で)
原油の高騰、そして本当に枯渇の恐怖が出てくるまでは、本格的な普及は無いと思います。
コメント有難うございます。
電池劣化の問題はおっしゃるとおりで、だからこそ各メーカーがしのぎを削って電池開発をしているのだと思います。
ただ、そうするとベタープレイス的なビジネスモデルは正直難しくなるでしょうね。
日産の市場調査で出てきたように、少なくともアーリーユーザについては「電池は保持したい」ユーザが多いというのも興味深いです。
リチウム2次電池は充電の仕方、使い方で持ちが全く違うことを体で理解しているユーザが多いからかもしれませんね。
一方で、そんなことがそんなに普及のネックになるだろうか?と考えると、正直疑問符です。
一番のネックは安全性だと私は思ってます。だから普及に多少時間はかかるはず。
それに恐らく一番左右されるのは原油価格でしょうし。
「家と職場にタダで充電器設置してくれるなら、電気自動車買うよ」というセグメントは10年後にはかなり増えてると思っています。
航続距離については、記事中に引用したとおり、エアコン使用時・都市部は75キロに落ちると日産はいってますね。
@Ryoさん
電池価格はおっしゃるとおり、リチウム価格にも左右されるので分からないです。
個人的には鉄系材料の2次電池やキャパシタにも期待してます。
重いですが。
中国→たしか70万円くらいで売られてる鉛電池のやつですね。新興国ですらあれが主流になるとは思わないんですが(笑)
現在の自動車の代替技術になるとは思えないので、イノベーションのジレンマって言う意味では、違うのかなと。
@Shinさん
補助金の問題と、自治体などが中心になってどれだけ充電器・充電スタンドなどの整備やカーシェアリングなどのインフラを整備していけるかにかかってると思います。
@kumasukeさん
そういえば燃料電池は車に限らず、なかなか普及しませんね。
なにがネックなのでしょうか?
確かに電気自動車の脅威は技術的な発展が出来るか否かもですが、希少金属の依存度が高まることにもありますよね。
既に自動車は白金価格などに大きく影響されているのに、これ以上リスクがある金属を採用していかなければならない、というのは大きなリスクですね。
ただそれも、現在のリチウム電池を使用した場合なので、電池の開発というのは今後も重要な位置づけになると思います。
日産のリーフいいですよね。
ただ、買うかと問われたら、う~ん・・・(笑)
電気の弱点は、蓄えておくことができないこと。電池を使ってこれを蓄えるのですが、なかなか難しい。材料の研究開発に強い日本の得意分野でもあります。カーボンナノチューブを使ったり、空気電池なんてのも再び研究されるようになりました。
電池以外は準備OKな感じがしますが、実は大量に作っていくときに問題なりそうなのが、モーターです。これはもっと開発の余地があります。ほとんどの電気自動車には高性能磁石であるネオジウム磁石が使われています。ネオジウムを使ったモータが増えるとこのネオジウムは希少金属ですから材料費が高騰してしまい、他の家電製品にも影響してくる恐れがあります(ハードディスクはネオジウム磁石が使われているので、自動車生産に回されたら大変・・・)。またディスプロシウムなど磁石の性能を向上させる希土類金属の高騰も懸念されてます。これらの希少金属がほとんど中国から産出されるというのも政治的な意味で怖いです。
こうしたことから磁石を使わないモータの研究開発がされています。
私は、クリーンエネルギーということから燃料電池車に期待しています。
希土類金属がとれる場所は放射性物質が多く含まれているため、ネオジウムを採取するのには大変なコストがかかります。唯一、中国の鉱山だけ放射性物質を含まないそうなので、低コストで採掘できるのだそうです。本当に環境のことを考えるのならば、電気自動車を作る上での素材の調達コスト、調達ルートも検証していくべきだと思いますよ。
単なるイノベーションではなく、環境重視のイノベーションとしての電気自動車が位置づけられているならば、素材や製造工程も見ることが必要ではないでしょうか。
ただ、リチウムは希少資源なので産出国が価格をつり上げに行く事がネックになりそうですが・・・
以前に中国の農村部用に電気自動車を作っている中国のベンチャー(?)の話をテレビで見ましたが、彼らはなんと普通の自動車用のバッテリーを大量に搭載した物を作っていました。
性能は低いですが、そこそこ使えるそうです。そこからイノベーションが生まれてくるとは考えにくいのですが、この先「イノベーションのジレンマ」の例になるのでしょうか?
ってかいてあるけど、このエントリ見るかぎりぜんぜん解決のめどたってないじゃんと思うのは俺だけ?
既存プレイヤーの多くがEVの早期普及に懐疑的なのは
よくメディアで語られているものとは異なる技術的な課題が多いからだと思います。
例えば航続距離はコメント欄に書かれている方もいらっしゃるように
エアコンを使用すると極端に落ちます。
外気と設定温度にもよりますが、半分程度になってしまうこともあるのです。
あとは電池劣化の問題です。
これはバッテリーの使い方によって大きく変わるということと、
測定が難しいという2つの問題があります。
バッテリーはその充電量の上限下限一杯まで使っていると
劣化が早くなるという特性があります。
なのでベタープレイスのような各社が同じバッテリーを使うというのは
非常に難しい(競争力になるノウハウを共通規格にしなくてはならない)
2つ目は測定の技術がないため、どれぐらい劣化しているのか把握が難しいのです。
これは個人が使う時も困りますし、再販ビジネスなども難しくなります。
つまり今の技術ではまだまだ「普通の車」として使うには
至らないというのが大筋の考え方です。
電気自動車が既存のガソリン自動車の代替品と考えている人達に
受け入れられるのはまだまだ先のことでしょう。
(セカンドカーや公共交通機関ならアリかもしれません)
こうした技術の違いを大手メーカーがEV 普及を目指して
積極的に啓蒙するということは考えにくいと思います。
一般ユーザー向けに普及をするとしたら
「普通の車」という概念が確立していない新興国になるのではないでしょうか?
イノベーションのジレンマという言葉はもはや誰もが知ってるもので
大手はどこもまだまだだと思いつつも注目はしています。
過去の事例を生かして二の舞にならないと良いのですがね。
こちらこそ失礼したかもしれません。色々参考になります。有難うございます
Teslaの方は割とよくMITにも講演に来ることがあり、今回はそのときの資料を一部使って書いてみました。
EVがどうなるのかはまだ見えないところがありますが、どれかは普及していくのだろう、ただ前のエネルギーベンチャーの記事では無いですが、分母が大きすぎて、分子がいくら増えても、割合としてはそこまで行かないということも起こりうるだろうな、とも思っております。
新興国でも別の形でEVは進んでますが、これが評価されるのかは未知数ですし。
@Yumemakuraさん
これですが、結構怖いんですよ、電気自動車。
いつの間にか後ろに迫ってるので。
このへんの安全性については色々仕組みが作られるでしょうね。
でも乗ってるほうは(特に車に思い入れの無い普通の人なら)、音がしないほうを評価しそうですが。
私は、この分野に非常に近いところにいるメーカーの人間で、思わず反応しました。
同時に2008年までシリコンバレーに駐在し、ベンチャー企業連携をしていたので、新技術創出にも大変興味があります。Teslaも実車を見ました。大したものです。
駐在当時、携帯用燃料電池の会社やMobile WiMAXの会社の紹介を行いましたが、今となっては、残念な結果になってしまいました。
さて、EVはどうなるのか、興味深いですね。
Twitterの議論は楽しかったです。有難うございました。
慎重な見方は新奇な意見に比べて根拠が圧倒的に多いので、そういう見方をされる人は多いですが、かといってそればかりだと、新しい芽を見過ごしかねますよね。
クリステンセンは、大企業が破壊的技術の萌芽を見逃す理由の一つとして、破壊的技術は市場調査や技術の積み上げ的な考え方ではネガティブに出ることが多いことを挙げています。
市場調査でも、存在しないものや既存技術と異なるものに対しては人々はネガティブに出ます。
でも実際には出てくるとなれて普及したりするから、読めないんです。
そういうことに煩わされて、新奇技術に十分に投資できないでいると、いつの間にか既存技術の市場が縮小している、というのがイノベーションのジレンマの一つの要因です。
だから新技術は(冒険が出来る)ベンチャーから出てくるのだというのが彼の考えです。
慎重な意見も、今回の日産の航続距離のように、必要なインフラを楽観視しすぎない、という方向に使うべきで、新技術を否定する方向にはしたくないなあ、と個人的には思います。
EVについては、マスコミが簡単に書き表せないほどに、技術の方向性が多岐にわたっている、というのは私が一番ポジティブに見ている理由の一つです。
マスコミは一つの技術だけを取り上げて、それを煽るのはかなり良くやります。
で、その技術が失敗すると、全体がぽしゃる。
だからマスコミの煽りにネガティブな印象を持ってる人は多いでしょう。
しかし、現在のEVは、一つのやり方が失敗しても、代替できる方法が沢山出てきている、という多様性が強みだと思ってます。
100年前のガソリン車の開発・普及の歴史を彷彿とさせます。
@Unknownさん
上記に引用されている日産の航続距離に関する記事をお読みください。まさに、そういう話です。
一番の理由は、電池の値段を下げる決定的な技術革新が今のところ見当たらないこと。マスコミはすぐにでも価格が7分の1になるなど無責任な発表をしたりしますが、目標値としてはあっても、予測値ではない。BetterPlace社の電池交換は、商用車では普及するかも知れませんが、一般の車ではどうでしょう。
今朝の日経の記事では、2020年、全世界販売台数予測は9000万台で電気自動車は450万台で、5%の普及率。
電気自動車のブームは、今回で3回目くらい。3Dテレビもそうですが、メーカーの人間は冷静に見ています。マスコミやベンチャー投資とは見方が異なっています。