船長、衝突前に飲酒し泥酔状態 漁船衝突(日テレニュース24)
沖縄・尖閣諸島沖で中国の漁船と日本の巡視船が衝突した事件で、漁船の船長が衝突する前に酒を飲み、海上保安官が立ち入った際にも、自分では歩けないほどだったことを中国の当局者が明らかにした。
中国当局者によると、先月7日、尖閣諸島沖で中国の漁船と海上保安庁の巡視船が衝突する前、漁船のセン其雄船長(41)が酒を大量に飲んでいたことを、事件の6日後に帰国した乗組員14人が中国政府に証言していたという。
中国の漁船は午前10時過ぎから11時ごろにかけて相次いで2隻の巡視船に衝突し、午後1時ごろ、海上保安官が漁船に立ち入ったが、漁船の乗組員の証言では、その際、船長はまだ酒に酔っていて、自分で歩けない状態だったという。
★セン其雄の「セン」は「擔」のつくり
尖閣沖での海保巡視船への中国船衝突事件において、逮捕した船長を釈放した理由として、仙谷氏をはじめ、しばしば挙げられるのが、刑事訴訟法248条、すなわち、起訴便宜主義である。
現在の法務大臣が知らない、法学部の学生なら知っているこの基本的な制度は、検察官が公訴権を行使するのもしないのも、その裁量に委ねられるというものである。すなわち、不起訴処分にする場合に、公訴時効が成立しているために訴訟条件を欠く場合、もしくは訴訟条件は具備しているものの、犯罪の嫌疑が不十分な場合に問題になる。
なお、訴訟条件も嫌疑も十分であるにもかかわらず、諸般の事情を考慮して不起訴にするのは「起訴猶予」であるが、今回の船長釈放は、形式的には明らかにこの起訴猶予にあたるような処分をしておきながら、処分保留のまま、つまり何らの処分もしないまま釈放したのだから、法的に大いに問題があるのは言うまでもない。
しかも、今回明らかになったことは、船長は泥酔状態で巡視船に衝突してきたということである。これはつまり、飲酒運転してパトカーにぶつけたようなものだ。ならば、法律論の知・不知に関係なく、今回の「処分」は明らかに起訴便宜主義から逸脱したものであることは、素人目からも分かりそうなものだ。
起訴便宜主義にもとづいて被疑者を釈放するための指針として、刑事訴訟法248条は、「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況」を挙げ、これら事情にもとづいて判断するものとしている。
すなわち、①犯人自身に関する事情、②犯罪自体に関する情況、③犯罪後の諸々の事情を総合的に考慮して、起訴すべきか否かを決定することになる。
以上のことを踏まえて今回の問題を考えると、まず①についてであるが、船長が巡視船衝突時に泥酔状態であったのだから、これは起訴をすべき理由にこそなれど、起訴を見送る理由にはならないのだから、犯人自身に関する事情を考慮するに、釈放の条件は満たしていない。
次に②について見るに、中国船のほうから巡視船に衝突してきており、さらにその際、スピードを緩めることなくぶつかってきたということのようだから、②についても、釈放の条件は満たされない。
最後に③についてはどうか。一部報道によると、この船長と接見した中国領事館員が船長に対し、「すぐに釈放されるから何もしゃべらず、サインもするな」と指示した後から船長は黙秘を繰り返すばかりで捜査に非協力的だったおいうことからしても、③の要件もまた満たされることはない。
したがって、刑事訴訟法の主旨に照らし、船長が248条にもとづき釈放される理由はどこにもないのである。現に、検察は那覇地裁に対し、拘留延長を請求し、これが認められていることからして、検察としては起訴する方向で捜査を進めていたのは間違いない。
よって、今回のこの一件は、船長釈放の理由がますますなかったということを証明するものである。
沖縄・尖閣諸島沖で中国の漁船と日本の巡視船が衝突した事件で、漁船の船長が衝突する前に酒を飲み、海上保安官が立ち入った際にも、自分では歩けないほどだったことを中国の当局者が明らかにした。
中国当局者によると、先月7日、尖閣諸島沖で中国の漁船と海上保安庁の巡視船が衝突する前、漁船のセン其雄船長(41)が酒を大量に飲んでいたことを、事件の6日後に帰国した乗組員14人が中国政府に証言していたという。
中国の漁船は午前10時過ぎから11時ごろにかけて相次いで2隻の巡視船に衝突し、午後1時ごろ、海上保安官が漁船に立ち入ったが、漁船の乗組員の証言では、その際、船長はまだ酒に酔っていて、自分で歩けない状態だったという。
★セン其雄の「セン」は「擔」のつくり
尖閣沖での海保巡視船への中国船衝突事件において、逮捕した船長を釈放した理由として、仙谷氏をはじめ、しばしば挙げられるのが、刑事訴訟法248条、すなわち、起訴便宜主義である。
現在の法務大臣が知らない、法学部の学生なら知っているこの基本的な制度は、検察官が公訴権を行使するのもしないのも、その裁量に委ねられるというものである。すなわち、不起訴処分にする場合に、公訴時効が成立しているために訴訟条件を欠く場合、もしくは訴訟条件は具備しているものの、犯罪の嫌疑が不十分な場合に問題になる。
なお、訴訟条件も嫌疑も十分であるにもかかわらず、諸般の事情を考慮して不起訴にするのは「起訴猶予」であるが、今回の船長釈放は、形式的には明らかにこの起訴猶予にあたるような処分をしておきながら、処分保留のまま、つまり何らの処分もしないまま釈放したのだから、法的に大いに問題があるのは言うまでもない。
しかも、今回明らかになったことは、船長は泥酔状態で巡視船に衝突してきたということである。これはつまり、飲酒運転してパトカーにぶつけたようなものだ。ならば、法律論の知・不知に関係なく、今回の「処分」は明らかに起訴便宜主義から逸脱したものであることは、素人目からも分かりそうなものだ。
起訴便宜主義にもとづいて被疑者を釈放するための指針として、刑事訴訟法248条は、「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況」を挙げ、これら事情にもとづいて判断するものとしている。
すなわち、①犯人自身に関する事情、②犯罪自体に関する情況、③犯罪後の諸々の事情を総合的に考慮して、起訴すべきか否かを決定することになる。
以上のことを踏まえて今回の問題を考えると、まず①についてであるが、船長が巡視船衝突時に泥酔状態であったのだから、これは起訴をすべき理由にこそなれど、起訴を見送る理由にはならないのだから、犯人自身に関する事情を考慮するに、釈放の条件は満たしていない。
次に②について見るに、中国船のほうから巡視船に衝突してきており、さらにその際、スピードを緩めることなくぶつかってきたということのようだから、②についても、釈放の条件は満たされない。
最後に③についてはどうか。一部報道によると、この船長と接見した中国領事館員が船長に対し、「すぐに釈放されるから何もしゃべらず、サインもするな」と指示した後から船長は黙秘を繰り返すばかりで捜査に非協力的だったおいうことからしても、③の要件もまた満たされることはない。
したがって、刑事訴訟法の主旨に照らし、船長が248条にもとづき釈放される理由はどこにもないのである。現に、検察は那覇地裁に対し、拘留延長を請求し、これが認められていることからして、検察としては起訴する方向で捜査を進めていたのは間違いない。
よって、今回のこの一件は、船長釈放の理由がますますなかったということを証明するものである。